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京都の伝統工芸 × ウクライナデザイン。平和を願う想いが、素敵なプロダクトに

京都の伝統工芸 × ウクライナデザイン。平和を願う想いが、素敵なプロダクトに

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ウクライナデザインと、京都の伝統工芸の出会いによる素敵なコラボアイテムが誕生。長引く戦禍の中でも日常の暮らしの営みを継続したいと願う若きデザイナーたちと、京都の伝統工芸士たちがオンラインで繋がって、新しいものづくりに挑戦しました。

ウクライナ×京都の伝統工芸

ウクライナとのコラボアイテム

ウクライナと京都、その距離、約8,000km。

長引く戦禍の中でも日常の暮らしの営みを継続したいと願う若きデザイナーたちと、京都の伝統工芸士たちがオンラインで繋がって、新しいものづくりに挑戦しました。

ウクライナデザインと京都の伝統工芸の出会いによる、素敵なコラボアイテムをご紹介いたします。

戦禍のウクライナから届いたメッセージ

3月のある日、京都在住のプロダクトデザイナー・福定良佑さんに、かねてから親交のあるウクライナのデザインスタジオから1通のメッセージが届きました。

2022年3月、京都在住のプロダクトデザイナー福定良佑さんに届いたメッセージ

「デザインの仕事を続けて国を助けたい」

彼の名前は、Denis Sokolovch(デニス)。

2008年にウクライナの都市ドニプロに現地出身の6人が立ち上げたインテリア・プロダクトデザインスタジオ『SVOYA studio(スボヤスタジオ)』の代表です。

ウクライナの都市・ドニプロに拠点を置くインテリア・プロダクトデザインスタジオ『 SVOYA studio(スボヤスタジオ)』のメンバー
左上がDenis

ご存知の通り、ウクライナでは2022年2月からロシア連邦による軍事侵攻が続いています。

「ウクライナのデザイナーに何かをデザインしてもらい、それを販売することでウクライナへの継続的な支援ができるかもしれない。そんな思いから、ウクライナとの商品開発をしてくれる京都のものづくり企業を探しはじめました」と、福定さん。

京都の伝統産業を担う『京都異業種交流会Kyoohoo (キョフー)』に商品開発の協力を仰ぎ、その想いに賛同した6社の京都企業と一緒に、あたらしいものづくりへ取り組み『UKRAINE DESIGN KYOTO CRAFT』プロジェクトがスタートしたのです。

京都の伝統工芸に、ウクライナを感じられるものを

そして、9月。

ウクライナから、はじめのメッセージが届いてちょうど半年後、初秋の京都・無鄰菴にて、京都のものづくりとウクライナの伝統を組み合わせた”友好の証”のような商品たちがお披露目されました。

9月22日に京都の無鄰菴でお披露目された「UKRAINE DESIGN KYOTO CRAFT」の商品

無鄰菴でお披露目された『UKRAINE DESIGN KYOTO CRAFT』の商品

福定さんは、京都企業とウクライナデザイナーとの繋ぎ役として奮闘。

工芸の世界において、発案からたった半年で商品が販売までこぎつけるのは異例のはず。

面識もなく、言語も文化も異なる両者とのやりとりは、さぞかし大変だったのでは……と尋ねると、

「基本的にウクライナとは、WhatsAPP(ワッツアップ)でやりとりできました」と、サラリ。WhatsAPPとは、日本のLINEのように世界中で使われているアプリのこと。スマホがあれば、距離も言語も国境も飛び越えて、繋がれる現代ならではの頼もしさがそこにはありました。

「今回の商品は、ウクライナで古くから使われてきたモチーフや民芸品、思想などを元にデザインされています。京都で受け継がれてきた技術を使い、ウクライナで大切にされてきたものを表現することは “変わらない未来をつくる” という強いメッセージになるはずです」と福定さん。

ウクライナのお守り・モタンカ人形や伝統的モチーフ「世界樹と鳥」

ウクライナのお守り・モタンカ人形

ウクライナのお守り・モタンカ人形や伝統的モチーフ「世界樹と鳥」

ウクライナの伝統的モチーフ「世界樹と鳥」

ウクライナに伝わる最古のお守り・モタンカ人形をモチーフにした日本のこけし、ウクライナの特徴的な陶器のシルエットを元にした京焼・清水焼、伝統的な民族画「世界樹と鳥」の絵をモチーフにしたまめさらと風呂敷。そして、中には私たちもよく知るようになった、青と黄色のウクライナカラーを基調にしたプロダクトも。

京都の伝統工芸にウクライナのモチーフやエッセンスを取り入れたデザインは、実は最初からスムーズに生まれたわけではなかった、と福定さんは言います。

「最初に上がってきたデザインは、彼らの置かれている厳しい状況を反映するかように、どこか暗く悲しい気配を帯びていました」

ウクライナから、最初に上がってきたデザインの一つ。爆風対策のため、住宅の窓に貼るガムテープを、希望をこめた花のモチーフ

ウクライナから、最初に上がってきたデザインの一つ。爆風対策のため住宅の窓に貼られたガムテープをテーマに、希望を込めた花のモチーフ

今の社会的な情勢を考えれば、強く心打たれるデザインなのですが、今回の『UKRAINE DESIGN KYOTO CRAFT』プロジェクト第一の目標は、商品を販売することでウクライナへの継続的な支援を続けること。そのためには、より多くの方に、買いたい、使いたい、暮らしの一部にしたい、と思ってもらうことが大切です。

社会的なメッセージを強く打ち出すよりも、協力各社の意向も反映しつつ、まずは日本で手に取ってもらいやすいデザインへと軌道修正。そうしてようやく、京都の伝統工芸らしく晴れやかで、ウクライナの平和で明るい未来をイメージさせるようなモダンな商品が完成したのです。

「シンプルに見えますが、新しい青の色味に挑戦したり、直線づかいでモダンなデザインに仕上げたり。いずれも細部に両者のこだわりが生きています。たとえば、このプロジェクトをきっかけに、ウクライナでお弁当を風呂敷で包むという新しい習慣が生まれたりするのかな、と勝手に想像してみると、心も晴れやかになりませんか。そんな明るい未来を思い描ける商品が完成したと思っています」

ウクライナの伝統的な民族画「世界樹と鳥」の絵をモチーフにした、風呂敷のデザイン

ウクライナの伝統的な民族画「世界樹と鳥」の絵をモチーフにした、風呂敷のデザイン

クラウドファンディング、スタート!

より多くの人にこのプロジェクトを知ってもらうため、まずは、2022年10月31日(月)までクラウドファンディングによる支援が行われています 。リターンはもちろん、本記事で紹介した商品たち。

またクラウドファンディング終了後も、日本の国内外で『UKRAINE DESIGN KYOTO CRAFT』プロジェクトとして商品の販売を続け、ロイヤリティをウクライナに送金することにより、継続的な支援を続けることが決定しています。

ロシア連邦が2月に開始したウクライナへの軍事侵攻。遠い国のできごととはいえ、連日の報道に心を痛めている方も少なくないと思います。さりげなくウクライナを感じる工芸品を暮らしの中に取り入れることで、同じ時代を生きるクリエイターたちを応援できる。そんな小さな幸せのアクションに、みなさんも加わってみませんか?

井助商店 | 漆まめさら2種

井助商店 | 漆まめさら2種

芸艸堂 | がま口コインケース

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奥村企画 | 徳利1個+ちょこ2個セット

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木村桜士堂 | こけし2種

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谷口清雅堂 | 花瓶2種

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丸和商業 | 小風呂敷2種

丸和商業 | 小風呂敷2種
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