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弥生、美を保つための手入れ 「未生流笹岡家元に学ぶ、華やぎあるくらし」vol.7

弥生、美を保つための手入れ 「未生流笹岡家元に学ぶ、華やぎあるくらし」vol.7

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未生流笹岡三代目家元・笹岡隆甫さんに、“華やぎあるくらし”のヒントを学ぶ連載も後半戦に突入です。綺麗にいけたら完成ではなく、日々のささやかな変化を愛でるという「いけばな」の神髄を、実践してみましょう。

2025.02.17

まなぶ

如月、空間と調和する花との対峙 「未生流笹岡家元に学ぶ、華やぎあるくらし」vol.6

琳派に倣う、古典への飽くなき挑戦

桃の節句が過ぎ、開花宣言が待ち遠しい今日この頃。3月のお家元作品は、2015(平成27)年に手掛けた大作に注目します。

笹岡隆甫さんが参加された、琳派400年記念プロジェクションマッピング「21世紀の風神・雷神 伝説~琳派の未来を垣間見る七条の夜、4日間限定~」は、映像作家・土佐とさ尚子なおこさんと大蔵流狂言師・茂山逸平しげやま いっぺいさんとのコラボレーション企画でした。

このイベント開催に合わせて、会場となった京都国立博物館には全7か所にいけばなが展示されました。その中のひとつ、エントランスに飾られた縦横3mにも及ぶ大きな作品がこちらです。

「未生流笹岡家元に学ぶ、華やぎあるくらし」vol.7

「プロジェクションマッピングが斬新な作品に仕上がっていたため、花はあえて京都らしい和を感じられる王道の取り合わせにしました。

琳派のイメージといえば、“挑戦の歴史”。このときは400年を記念するイベントもたくさん開催され、京都にいると半ば強制的に挑戦しなければいけない雰囲気に押されて(笑)、古典に対するチャレンジの場をいただけたことはありがたかったです」

御所車をイメージした存在感ある花器にいけこまれているのは、本桜(品種に関係なく、太くて花が大きいものを指す)。大きく立ち上げた桜との印象的なコントラストを生み出しているのは、緑が眩しいハウチワカエデです。

常に花と向き合い、花の美を大切に

先述のイベントが行われたのは、3月12~15日の4日間。

「水が凍るほど寒かったのを憶えています。その寒さのせいかは分かりませんが……7つのうちのひとつで、竹製の花器を使った作品の竹が割れたほどです。急遽、落としを入れていけ直しました」

※落とし……竹筒や籠などにいける際に水漏れなどを考慮して中に仕込む器。

家元イメージカット

「初日のスタートが夕方からだったので、当日の朝からいけて、毎日様子を見に行きました」

汚れた水を換えるのはもちろん、傷んだものは取り除くなど、細かく手を入れることで美しさが保たれると言います。

「いけばなは、いけたら終わり、ではない。移りゆく変化を愛でてもらえるよう、そのときの最上の美をつくりだすため、お世話をするのが華道家の仕事とも言えますね。

ご自宅で花を飾られる際も、日々の変化に気を配りながら、移ろう美しさを愉しんでみてください」

今月のお家元 ―弥生の華やぐ思い出

日本一予約が取れない割烹級の居酒屋として知られる京都の名店「食堂おがわ」さんの新店舗、「オテル・ドゥ・オガワ」さんに初めて伺いました。

家元イメージカット

本店から徒歩30秒ほどの場所にオープンされた和食屋さんで、高瀬川沿いにあるカウンターだけの店舗です。予約不可、並ぶのもNG。空いていれば案内してくださるスタイルで、当日は14:00オープンに合わせて訪れ、運よく8名の枠に入れました。

おまかせコース一斉スタートのお店が多くなってきた京都で、気軽にアラカルトでお料理が楽しめるお店はありがたいですね。

撮影:笹岡隆甫
撮影:笹岡隆甫
撮影:笹岡隆甫

お酒に合うようにしっかりした味つけでした。写真は、すっぽん鍋とシメにいただいたじゃこチャーハン。ポーションは大きめなので、少食の方はシェアするのがおすすめです。

「食堂おがわ」さんの予約が取れない!という方は、一度こちらに挑戦してみてはいかがでしょうか。

笹岡隆甫

2025.03.05

まなぶ

大蔵流狂言師・茂山千五郎家の365日

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