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如月、空間と調和する花との対峙 「未生流笹岡家元に学ぶ、華やぎあるくらし」vol.6

如月、空間と調和する花との対峙 「未生流笹岡家元に学ぶ、華やぎあるくらし」vol.6

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未生流笹岡三代目家元である笹岡隆甫さんに、“華やぎあるくらし”のヒントを学ぶ連載6回目。作品と表現するものの、いけばなではタイトルをつけないのが原則なんだとか。その理由やいかに?

2025.01.14

まなぶ

睦月、新年を寿ぐ花の役割 「未生流笹岡家元に学ぶ、華やぎあるくらし」vol.5

建築空間に添うように花をいける

節分を終え、一年で最も静かな京都から。

お届けするのは、2012年、未生流笹岡の東京支部発足に際して、ホテル椿山荘東京で行われたいけばな展の家元作品です。

作品カット

「2月ですが、華やかな藤が手に入ったので、藤の一枝を垂らした作品をいけ上げました。

いけばなは、空間との調和が第一。

未生流笹岡の東京支部展は、現在は築地本願寺で開催していますが、初回の会場となった椿山荘は、作品を展示する場所の壁紙がとても素敵だったのと、作品を置くアンティークの台に合わせて、花器を選びました」

印象的な藤の花の足元には、渋い色のユキモチソウとクロユリ。藤の華やかさとの対比が際立つ、シックな取り合わせです。

花が教えてくれる他人との付き合い方

いけばなでは、作品にタイトルはつけないといいます。

「作品という言い方をしますが、いけばなでは目の前の花がいかに際立つかに心を砕きます。花自体がテーマで、作者の意図より大事なのは花そのもの。花が主役なのです。

いけばなは、宇宙や自然を映す象徴。いけばなでは、作品の最も高い部分を『天』、低い部分を『地』になぞらえますが、伝書には、天地創造やそれ以前にも想いをはせなさい、と書かれています

ですから、そこに(言葉による)余計な情報は必要ないので、題名をつけることはありません」

向き合うべきは、目の前の花。
そのいけばな精神は、ときに花以外のものにも通ずるのでは。

目の前にいる人との対話、自らを取り巻く環境を受け止めて心を寄せること――いけばなから学ぶことは尽きません。

家元直々のお稽古体験にて、弊社代表との一幕

家元直々のお稽古体験にて、弊社代表との一幕

「先月に続き、ぐんと冷え込む2月は、凛とした空気感で気持ちが改まる季節です。この時季は毎年梅をいけますね。

梅は、とても香りがいい花。家にいけるのは難しくても、天神さんの梅苑に行って香りを楽しむだけでも自然と近しくなれると思います」

今月のお家元―如月の華やぐ思い出

家元正面カット

立春を迎え、先日「山ばな平八茶屋」さんで、「DO YOU KYOTO? ネットワーク」「KYOTO Sustainable Network」の新年会を開催しました。同店は、祖父の代からのお付き合いです。

こちらは、その名が示すとおり、鯖街道の街道茶屋として創業され、多くの旅人や著名人に愛され続けている老舗です。

撮影:笹岡隆甫

撮影:笹岡隆甫

正面玄関に建つ特徴的な風格ある「騎牛門」という門が出迎えてくれて、その門をくぐると四季折々の美しさに満ちた庭が広がります。お座敷から高野川と東山の風景を眺めながら、440年以上にわたって受け継がれてきた伝統の味を堪能することができます。

中でも、名物の「麦飯とろろ汁」と、その名物にちなんで考案された「むぎとろ饅頭」は絶品です。

笹岡隆甫

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