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着ない着物(使わない帯)、着られない着物(使えない帯) 「きものは布」 第一回

着ない着物(使わない帯)、着られない着物(使えない帯) 「きものは布」 第一回

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大事にしなくてはならない着物や帯はどう決めていけばいいか。 その答えは、自分のこれからの人生や生活を考えて判断していくことです。 自分自身でその価値を判断していくためのポイントをお伝えいたします。

新コラム 「きものは布」

きものは布

古代の人は、樹皮や草を編んだり、獣の皮などが身体を覆うものでした。
身体を衣服で覆う唯一の動物である人間は、布でできた“衣服“に進化をさせ、洋服としてそして和服として受け継がれ、そして楽しみになりました。
洋服だけでも生活がまっとうできる現代、着物は通常着ではないながらも、日本の文化として纏い、憧れ、大事にしています。
すでにある着物や帯、そしてそれらを作り、着ていた先人達への尊敬の念も含めて、
まずは身近なタンスやその他収納の内側と向き合うことからはじめましょう!

第一回 着ない着物(使わない帯)、着られない着物(使えない帯)
     “コレ着られるかしら…”

第二回 着物や帯として再生させる
     “やっぱり着たい!”

第三回 手数を減らして着まわす工夫
     “いい(良い)加減がいい”

第四回 そばに置き、使えるモノへ
     “鋏を入れる勇気と捨てる前に生かすこと”

第五回 すっきりとしたその先は
     “次世代へ着姿やキモノを伝えていくアイコンとして”

第一回 着ない着物(使わない帯)、着られない着物(使えない帯)

大事にしなくてはならない着物や帯をどう判断するか

きものや帯は、人の生活に合わせて“布”でかたち作られています。
当たり前のようですが、遺されたものや大切にしなくてはというきもの・帯を前にした時、しばしそれを忘れてしまいます。

その結果、“必要かどうか“よりも別な扱いをしなくてはならないという気持ちで、しまいっぱなしになったり触らなくなったりします。
多くは自分自身でその価値を判断していくことが大事だと思います。

そこで大事にしなくてはならない着物(帯)はどう決めていけばいいか。
その答えは自分のこれからの人生や生活を考えて判断していくことです。
もちろんさまざまな理由で別扱いをするべき物もありますが、大きなポイントは以下のようになります。

◆きもので出かける場(式事も含めて)があったら着たいと思うか
◆自分はもう着ないかもしれないけど、家族や親族に譲る人がいる
◆着られないし譲れないけど捨てたくない
◆色や柄が気に入っている
◆「何か」別の形にしてでもそばに置きたい

つまり価値をみつけて自分の判断で選別すると、そのきものや帯に一層愛着がわきます。
よく聞かれるのが「売ってお金になりますか?」という質問です。
もちろん多少の金額になる時もありますが、きものは一度も着たことがなくても仕立てた以降は中古扱いです。
購入時の金額や想像したりする値段とはかけ離れたものになります。
やはり一旦自宅のたんすに入ったものは自己解決が一番です。

着物や帯の価値の判断とは

すべてを判断するということは大変かもしれませんが
次の三点のように分けてみると少しずつ魅力を見いだせるかもしれません。

①何もしなくても着られるし着ていきたいと思うもの

 コーディネートを考えてみましょう。
  ・合わせる帯やきものがあるか
  ・長襦袢・帯締め・帯揚げや草履は揃っているか、合うものがあるか
 ここまでがワンセットです。

②捨てられない、手直しをしないと着られない

 グレーゾーンのきものや帯は優先順位をつけるといいと思います。
  ・愛着や思い出がある場合は大切に保管しましょう。タンスに入れなくても収納ボックスを利用する方法も有効です。
  ・寸法直しやしみ抜きなどが必要でしたら、一度に出さなくても、気に入っているものからメンテナンスをしてくれる業者さんへ見積を頼んで直してみましょう。

③着物や帯としてはもう使わないし譲れない

 実はここが布としての本領発揮です。
 そのままでは着ないので、何もしないとまたタンスの肥やしとなります。
 譲られたものは無駄にしないという精神と、かつての自分の選択から好みが変化してもそこには工芸品として、人が手間を積み上げてできあがったものとして、別の形にしてハギレにしてでもそばに置いて布として最大限に活用してください。
  ・別のアイテムへ変えてみる ex.きもの⇒羽織 羽織⇒帯 帯⇒きものバッグ
  ・自由に想像力を働かせて生活の小物へ変えていく

以上の分類作業をしていくうちに、家にあるきものや帯に対するさまざまな意識が芽生えてきます。
外のきもの姿の人に目が行き、持っているきものに似たものを見つけると注視するようになるでしょう。

ネガティブな言葉があっても、そこには必ず解決策があります。
現代は”何かを知ろうとする人”には十分な情報があるので、ぜひ活用してください。
着られなくても、着付けをしてくれる人はいます。
たためなくても、動画の見よう見まねで平たくなります。
買えなくても、家にあるきものや帯に、買える範囲の小物でコーディネートしなおしてみてください。

きもので出かけるためのハードルはさまざまあるかもしれませんが、まずは手持ちのものをしっかりと見つめなおして、さらなるおしゃれなきもの姿を目指しませんか?

手持ちのものをしっかりと見つめなおす

第二回は、「着物や帯として再生させる」です。
具体例を挙げながら、気に入った色や柄のきものや帯をどう蘇らせるかをお伝えします。

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