商品番号:1560579
【 仕入れ担当 中村より 】
国画会会員の型絵染作家、岡本隆志氏による、
心揺さぶられる紬着尺のご紹介でございます。
つい先日、岡本先日のアトリエにお邪魔させていただきました。
神奈川県湯河原にある先生のご自宅兼工房は、
海のみえる丘の上にあり、この美しい自然の中で
インスピレーションを受けているのだと感じました。
型絵染について一から教えていただき、
バイヤーとして素晴らしい時間を過ごすことができました。
本当にお優しい方で、芹沢けい介先生の思い出話を語る際の柔らかいお顔が印象にのこっています。
今回ご紹介のお品は、
無理を言って染め出していただいた作品。
生地には加藤改石の牛首紬を使用していただきました。
特に節の多い加藤改石の牛首紬、
このような地を染めることは、
非常に高い技術が求められますが、
本当に綺麗に染め上がっております。
お手元でこれほどご覧いただきたい作品も
なかなかございません。
岡本先生らしい作風が本当に素敵な一枚でございますので
ファンの方は必見でございます。
どうぞお見逃しなくお願い致します。
【 お色柄 】
加藤機業場の紬地を白生地に使用した一枚。
素材感たっぷりの、素朴でしっかりとした牛首独持の風合い。
通常の縮緬地とは違い、紬地に描き出すためには高い技術と根気が必要とされます。
節感の強い生地には染料溜りなどができやすく、難しいものです。
節感の豊かなその紬地を
爽やかな水色で染め上げて…。
一面に桔梗、落ち葉、蝶のデザインが表現されました。
意匠の彩りが鮮やかに、そしてみずみずしく映ります…
優しい表情の逸品が、岡本隆志氏の感性により生まれました。
【 岡本隆志について 】
岡本隆志氏はご存知人間国宝、芹沢けい介氏に師事、
芹沢門下生として出会った型絵染作家・岡本紘子氏とご結婚後、
ご夫婦で創作活動をしている。
工房内でほぼすべての工程を行っており、
型紙の制作では小刀だけでなく、錐彫りも用いる。
糊も自宅で製作、長年の経験で独自の配分で用意し、
その道60年の熟練の技で糊置きを行う。
芹沢氏の工房時代は一日500枚ポスターを糊置きしていた。
柄部分には顔料を用いて彩色、地染は染料。
地染の際には柄すべてを糊伏せして染めていく。
■岡本隆志 経歴
1943年 静岡県浜松市生まれ
1962年 芹沢けい介氏(型絵染 人間国宝)に入門
1964年 国展初入選・日本民藝館展初入選
1965年 日本民芸館展奨励賞
1968年 芹沢先生の門を退き、独立
1973年 国画会会友に推挙される
1976年 神奈川県湯河原町に工房移転
1981年 国画会会員も推挙される
【 国画会について 】
【国画会】は、京都在住の日本画家、入江波光、小野竹喬、榊原紫峰、
土田麦僊、野長瀬晩花、村上華岳によって、
『西洋美術と東洋美術の融合と、新しい日本画の創造』を目指し、
大正7年(1918年)に「国画創作協会」として結成された美術家の団体。
戦後、絵画・版画・彫刻・工芸・写真の5部それぞれに
日本を代表する作家を多数輩出し続けております。
特に工芸部は後世に名を残す、柳宗悦(やなぎ むねよし)、
芹澤ケイ介、柳悦孝(やなぎ よしたか)、柳悦愽(よしひろ)
などの染織作家が所属しておりました。
現在の国画会の工芸部は生活の中で使用するものを
主に創作する作家が所属しており、基本一人の作家が
デザインから素材、染、織と一貫して行います。
【 型絵染について 】
型絵染(かたえぞめ)といえば、染色工芸家・芹沢けい介氏が、
1956年に人間国宝に認定された際、
室町時代末期から続く日本の伝統的な染色技法のひとつである
「型染(かたぞめ)」と区別するために新たに生まれた言葉です。
「型染」の仕事、技法は、個性的な下絵に始まり、
絵模様が創案され型彫り、染色にいたる工程の
ほとんどを一人でこなす性質のもの。
その工程をより発展させ、詣力や色彩感覚を重視した
絵画的表現を追及する創作的染技法が『型絵染』です。
【 加藤改石の牛首紬について 】
黄綬褒章受賞の牛首紬加藤機業場の「石」の文字。
ごく限られた問屋にしか生地が納められませんので、
「石」マークのついたお品は、それだけで大変な価値がございます。
第二次世界大戦以後次々と廃業していくなかにあって、
ただひとり残り、糸作りを続けた加藤志ゆん氏。そのご子息、加藤改石氏の紬地で御座います。
糸作りから織り上げるまで、全ての工程は手作業…
通常一度に一疋(二反分)織る際には、一週間かかりますので、
月産では十数点しか織り上げることができません。また、取扱いルートが
きっちりと決まっており、ごく限られた問屋にしか生地が納められませんので、
「石」マークのついたお品は、それだけで大変な価値がございます。
経緯(たてよこ)に100%の手座繰り糸を使っているだけあって、
その風合いは本当に素晴らしいもの。丁寧な手織りのお品ですので、
そのしなやかな風合いと丈夫な生地質は、この先も何十年と変わることなく
御召になる方のお手元でご愛用頂ける上質の証でございます。
絹100%
長さ12.5m 内巾35.5cm(最大裄丈約67cm 肩巾袖巾33.5㎝)
白生地には、越後小千谷紬地を使用しております。
◆最適な着用時期 9月~翌年6月の袷・単衣頃
◆店長おすすめ着用年齢 ご着用年齢は問いません
◆着用シーン 観劇、芸術鑑賞、女子会、街着、ランチ、趣味のお集まりなど
◆あわせる帯 洒落袋帯、九寸帯、八寸帯
※着姿の画像はイメージ写真です。柄の出方が少々異なる場合がございます。
お仕立て料金はこちら
[ 袷 ]
地入れ3,300円+※胴裏8,250円~+八掛8,800円+お仕立代28,600円(全て税込)で承ります。
[ 単 ]
地入れ3,300円+衿裏2,200円+お仕立代28,600円(全て税込)で承ります。
※国内手縫い仕立て+17,600円(税込)