【 仕入れ担当 田渕より 】
たった一軒、伝統を守り続ける、
能登上布織元、山崎仁一。
先日の天災では強い揺れがあったものの、機自体は無事であると伺っております。
産地を支える、応援する。
その思いで即決で仕入れて参りました。
頑なに伝統を守り、織り継がれた幻の上布…
街の喧騒から遠く離れた羽咋の里に響く機織りの音が、
心に聞こえてくるのではないでしょうか…
どうぞお手にとって眺めて見て下さい。
【 お色柄 】
原糸から糸繰、整経、絣染、手織に至るまで…。
いつくもの工程を経て、丁寧に手織りで織り上げられる上布のお品。
長く継承されてきた熟練の職人技によってひとつの作品が仕上げられました。
着物姿に涼し気な表情を添える帯姿。
こっくりとした葡萄茶色の地には格子模様を織りなしました。
すっきりとシンプルに、素朴な洒落味を感じて頂けることと思います。
弥生時代の古来から脈々と受け継がれてきたと言われる能登上布。
織物の原点を思わせる織りの美しさと、洗練されたモダンなセンス。
上布きものにも大変相応しく、夏の小紋、色無地、紬などにも素敵にお召し頂けます。
なかなかご紹介の機会も少ないお品でございます。
お探しの方も多いことでしょう…
自信を持って、大切にお届けさせていただきます。
【 能登上布について 】
越後、宮古、そして能登…
三大上布のひとつに挙げられるのが、今回ご紹介の能登上布。
石川県・能登半島の付け根に位置する鹿西町(現・中能登町)や羽咋市は、
古くから麻とのつながりが深く、東大寺へ麻糸を納めたという記録も残っており、
麻を扱う技術は遥か古の時代から先人達により伝承されてまいりました。
ただ、江戸時代の初め頃までは、この地で作られる良質の麻糸は近江上布の
原糸として使用されるのみで、「能登上布」という織物はまだ存在しておらず、
後の文政元年に初めて「能登」の文字を冠した「能登縮(ちぢみ)」が誕生、
さらにそこから発展し、明治にやっと全国に能登の麻織物の上質さが認められ、
「能登上布」という名称が定着いたしました。
このようにして、次第に上等な麻織物の産地として認められ、昭和初期には
織元の数は百四十軒を数えるまでになりましたが、その後時代のニーズに
あわせ縮小、現在ではその伝統の技のともし火を守るのはたった一軒、
「山崎麻織物工房」を残すのみとなっております。
能登上布独特の絣の伝統技法として、櫛押し捺染があります。
整経した糸に、図案に基づいて櫛形の道具で染料を直接刷り込むようにして、
精緻な絣模様を付ける技法です。
一般的に行われる絣括りからつくられる絣柄と違い、
染めにじみの少ないくっきりとした経緯絣をつくることができるため、
細かい絣模様も均一に糸に染めることができるのが特徴です。
少しでもずれてしまいますと、
経緯の糸が正しい模様を織り出せなくなりますから、
目の良さと集中力が求められる、大変高度な技でございます。
麻100%
長さ約3.6m
六通柄
◆最適な着用時期 盛夏(6月末~9月上旬)
◆店長おすすめ着用年齢 ご着用年齢は問いません。
◆着用シーン 芸術鑑賞、お食事、お出かけ、行楽など
◆あわせる着物 小紋、夏紬、上布など