【 仕入れ担当 田渕より 】
幻の糸、藕糸(ぐうし)を使用して織り上げられた大変珍しい一品。
西陣とみや織物より、
他とはひと味もふた味も違う、逸品袋帯をご紹介いたします。
滅多とご紹介の機会はなく、
ここきもの市場でも過去ご紹介できたのはほんの僅か。
老舗のセンスと上質な地風を兼ね備えた逸品を、お値打ちにどうぞ!
【 お色柄 】
帯地の地風は薄手でしなやか。
自然味たっぷりのベージュの濃淡と黒色を基調にまだらに彩りが混じり合って…
そのこだわりの地には、
江戸頃でしょうか… 昔の町並み、川辺に花草を込めた意匠を表現しました。
すっと筆で描いたかのような絵画を思わせるお柄は、
織とは思えない程繊細かつ緻密に表現され、
地の風合いとも相俟って、
独特の温かみあふれる表情を醸し出してございます。
お太鼓はふっくらとした藕糸(ぐうし)を用い、
小粋にさりげない洒落た雰囲気を演出します。
帯自体の軽やかな地風はシワになりにくく、そして結びやすく。
見た目のこだわりだけではなく、
しっかりと品質の高さでも満足させてくれる、
さすがは西陣とみや織物と、ご納得いただけるお品です。
【 商品の状態 】
中古品として仕入れて参りましたが良好です。
お手元に届いてすぐにお召しいただける状態でございます。
【 藕糸について 】
藕糸(ぐうし)とは…
蓮の茎からとった繊維でできた糸のこと。
その制作方法は極めて手間暇のかかるもので、
まず5本程束ねた蓮の茎を輪切りにします。
するとネバっと糸を引く繊維が出てきます。(納豆の糸のようなもの)
そのネバネバの繊維を手で台にころころと転がし続けるうちに、
だんだんとまとまりが出てきて…
そうやってできたものがやっと一本の糸となります。
なんという労力と時間…
少し考えただけでもかなりの時間がかかることが容易に想像できます。
極楽浄土の花として仏教の世界では特別な意味を持つ蓮の花。
その蓮から作ることに意味があるのでしょう。
締める際にもすっと背筋が伸びるような気がいたします。
【 とみや織物について 】
西陣織工業組合所属
西陣織工業組合証紙はNo.308
1956年(昭和31年)設立
創業者 冨家伊兵衛
明治初年頃に冨家伊兵衛により
西陣の織物商として創業。
後、織元に転業したが太平洋戦争で一時休機。
戦後すぐに「冨家機業店(とみいえきぎょうてん)」
の屋号で事業を再開、1956年(昭和31年)に
「とみや織物株式会社」を設立。
京都市オスカー賞を受賞した技術の高さで、
米・露大統領、モナコ皇太子、国会議員など国内外の
著名人の肖像織物をはじめ、寺社仏閣への奉納用織物、
映画の衣装、駅伝やマラソンのゴールテープなど、
幅広い分野で評価を得ている。
絹100%(指定外繊維除く)
長さ約4.4m
耳の縫製:かがり縫い
お太鼓柄
◆最適な着用時期 10月~翌年5月の袷頃
◆店長おすすめ着用年齢 ご着用年齢は問いません
◆着用シーン カジュアルパーティー、お食事、お出かけ、観劇、芸術鑑賞、趣味のお集まりなど
◆あわせる着物 付下げ、色無地、小紋、織の着物
※仕立て上がった状態で保管されておりましたので、折りたたみシワが付いております。この点をご了解くださいませ。