【 仕入れ担当 中村より 】
なんという手間のかかった作品でございましょう…
今回ご紹介のお品は、東京染の究極の江戸小紋でございます。
創業明治40年の老舗、松綱染工の作品。
滅多とご紹介の叶わない傑作品が入荷しました。
まさに一期一会。欲しいと思って手に入るお品ではございません。
究極の江戸小紋、お探しの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
少し前のお品のため大変お値打ちにご紹介が叶いました。
自信と責任を持って大切にお届けさせていただきます。
【 色柄 】
染め上がった反物をご覧いただけますでしょうか。
落ち着きのある朱色を基調に染め上げられた文様。
遠目には無地、近づいて浮かび上がる細やかな模様の粋。
申し上げるまでもなく、数あるお品ではございません。
一反を染め上げるのに、
数多くの職人が、長く厳しい修行の後、「道」と呼ぶまでに極められた
その心を、作品から感じ取っていただければ、これほどうれしいことはございません。
一生をともにする最高級のきもの、その技の極致をご堪能くださいませ。
【 江戸小紋・縞柄について 】
【玉縞】の型を用いて手付にて染め上げられた大変希少な作品でございます。
今現在生の伊勢型を使用してこの玉縞を染めることのできる職人が何人いるのでしょうか…。
縞柄は江戸小紋の中でも別格とされています。
ごくごく簡単にご説明致しますと、今回の【玉縞】は【万筋】を更に細かく細くした縞でございます。
縞の本数が、3cm幅に19本の【毛万筋】、23本の【万筋】
そして26本の【玉縞】、本品はこの玉縞の超逸品でございます。
また縞柄が別格とされる所以は「型継」の難しさにございます。
他の柄のように切れ目がないため、反物の端から端までずれなく、真っ直ぐに型を継いでいかなくてはなりません。
文章で表現致しますとただそれだけではございますが、
一反に込められたその神業の数々、お手元でご覧いただければその精密さにご納得いただけることでしょう。
昔より染めものは、柄師(デザインを施すもの)、彫師(柄を彫るもの)、染め師(染色をするもの)の手から成り立っております。
【伊勢型紙】はその中で、柄を彫る工程にあたります。
彫り師は、求められた柄を、渋紙(和紙に柿渋を塗っていぶし、強度を高めたもの)にあてて、その通りに小刀を走らせます。
数ある伊勢型小紋の中でも特に縞文様は数ミリのズレも許されないまさに職人芸。
一つの作品に一ヶ月かかることなど珍しくなく、孤独な作業にとり組みます。
だからこそ、彫師の魂がやどった、神がかり的な作品が生まれるのでしょうか…
そしてその絶大なる集中力で刻された型紙は、「糸入れ」という工程を経ます。
慎重に二枚にはがされ、上下の間に「二十一中」という細い糸をはさみいれ、
再び柿渋で寸分狂わずに元通りの型紙にするという神業的な作業…
玉縞ほどの細やかな縞になりますと糸入れは、これもまた熟練の匠でないとできません。
その様な工程を経て、
職人の魂とも呼べる型紙、たった一枚の伊勢型紙だけで糊伏せを行い染め上げる、
中でも「縞」の染めは、数ミリずれるだけで仕上がりの印象が変わるほどの繊細な型紙。
他の柄模様は、型をおけるけれども縞は出来ないとおっしゃる職人も少なく有りません。
更には一部でも破損すれば、永遠に同じものを製作することはできないその緊張感の中での糊伏せ・・・
しっかりとご覧いただくと縞模様に浮かび上がるかすかな横線、これが糸入れの跡でございます。
シンプルなものほど、最高のものを。
日本の文化と伝統を愛する方にこそお召しいただきたい芸術品です。
絹100%
長さ12.6m 内幅約35.5cm(裄最大67cm)
◆最適な着用時期 10月~翌年5月の袷頃
◆店長おすすめ着用年齢 ご着用年齢は問いません
◆着用シーン 音楽鑑賞、観劇、お食事、お茶席、お稽古事、お付き添いなど
◆あわせる帯 袋帯、九寸名古屋帯
※着姿の画像はイメージ写真です。柄の出方が少々異なる場合がございます。
お仕立て料金はこちら
[ 袷 ]
湯のし1,650円+※胴裏7,260円~+八掛8,800円+海外手縫い仕立て28,600円(全て税込)
[ 単 ]
湯のし1,650円+衿裏2,200円+海外手縫い仕立て28,600円(全て税込)
※国内手縫い仕立て+9,900円(税込)