【仕入れ担当 田渕より】
織物ファンの皆様、おまたせしました。
なんと今回ご紹介のお品は、単衣仕立ての9マルキの蚊絣。
ごくシンプルな蚊絣を敷き詰めた無地なのですが、
この『絣無地』こそ、ひとつの失敗も許されない、職人の腕が試される究極の絣!
7マルキの蚊絣は比較的ご紹介が叶いますが、9マルキは本当に希少です。
なぜ希少なのか…
大島メーカーさんに伺いましたが、正直に申し上げまして
蚊絣のような単純なお柄だと織り手さんに敬遠されるそうです。
着尺一反ひたすらに続く、無地の意匠。
お柄が出てくるわけでもなく、本当に気が遠くなる作業かと存じます。
そこに9マルキの細やかな織組織ともなれば、
中々制作数が少なくなるのもご納得頂けるかと存じます。
お探しの方も多いことでしょう。
ひと通りの柄大島を着尽くしてこられた方に、
自信を持ってお届けさせていただきます!
どうぞお見逃しなくお願いいたします。
【お色柄】
泥染のシックな黒褐色地。
蚊絣のみを織りだした無地感覚の一枚。
単一の絣の繰り返しは、寸分の狂いも許されない、繊細な手仕事…
まさに圧巻の仕上がりでございます。
狂いなく合わせられた絣柄の完成度の高さを、
ぜひともお手元でご覧いただきたく思います。
【状態について】
中古品として仕入れてまいりました。
衿裏に生地難が数箇所ございます。
また、居敷当の縫製の針穴がやや大きく空いてしまっております。
表地には特に目立つ汚れ等は見受けられず、
ご着用には特に支障ないかと存じます。
(画像の矢印の幅は1cmです。)
たたみ皺がございますのでお届け前にプレス加工をサービスいたします。
【大島紬について】
日本が世界に誇る、細密絣の織物です。
大島紬は完成までに二度織られます。
一度目の締め機は、大島紬独特の精密な絣模様をつけるため。
上下の綿糸によってギュッと締められた部分は防染されて染料が入り込まず、
その染まらなかった部分が絣になるのです。
絣模様をくっきりと作るためには、大変な力で締めつけながら織り込まなければならず、
昔からこの締め機は男性の仕事とされてきました。
図案に合わせ締め機にかける糸を調節し、
確実に数ミリメートル単位の狂いもなく締め込んでいくというのは、緻密で根気のいる作業。
この時点で間違いがあれば、絣模様が出来なくなってしまうため、
力があるだけでは出来ない、神経を使う難しい仕事なのです。
その素晴らしい絹糸を高機による手織りで、一糸一糸心を込めて織り上げられます。
一反を生み出すのに、シンプルなお柄のものでも一か月。
凝った柄行のものですと、優に数か月もの月日を要します。
数センチメートル織り上げては経糸を緩め、一本一本針で絣を合わせていく。
本当に気の遠くなるような作業の繰り返しで、
大変細やかなお柄を、織りによって表現しています。
表裏:絹100% (縫製:手縫い)
背より身丈154cm(適応身長149cm~159cm) (4尺 0寸 6分)
裄丈64.5cm (1尺 7寸 0分) 袖巾34.5cm (9寸 1分)
袖丈48.5cm (1尺 2寸 8分)
前巾23.5cm (6寸 2分) 後巾28.5cm (7寸 5分)
※居敷当付き、背伏せなし
【裄丈のお直しについて】
概算ではございますが、以下の最長裄丈までお出しできるものと思われます。
≪最長裄丈≫ 裄丈69cm (1尺 8寸 2分) 袖巾35cm (9寸 2分)
詳細はお気軽にお問い合わせ下さいませ。
◆最適な着用時期 単衣(5月下旬~6月、9月~10月上旬)
◆店長おすすめ着用年齢 ご着用年齡は問いません
◆着用シーン 芸術鑑賞、街歩き、気軽なお食事、お稽古ごと、ご旅行など
◆あわせる帯 洒落袋帯、名古屋帯など
※着姿の画像はイメージ写真です。柄の出方が少々異なる場合がございます。
※仕立てあがった状態で保管されておりますので、たたみシワなどがあることがございます。この点をご了解くださいませ。