【仕入れ担当 田渕より】
紬の女王・大島紬。
その中でも織の至宝と称される、
十八算12マルキによる細緻の絣技で織りなさた特選品のご紹介です。
圧巻の絣量です。
いったいどれほどの月日がかけられたのでしょうか…
白大島の12マルキはその性質上本当に希少です。
気が遠くなるような手間と時間をかけた職人さんたちに思いを馳せて…
大切にお届けさせていただきます。
【お色柄】
白生地のようなきっぱりとした白ではなく…
まろやかで深みがあり、
まさに大地の穏やかな安らぎ感じられるような独特の白。
白薩摩焼の泥で染め上げました。
意匠にはエ霞に紗綾形や花菱などをあしらい、
風情ただよう浮御堂が織りだされました。
一つの絣を肉眼で見つけることが難しいほどに細やかな絣…
まるで染描いたかのように繊細な絣にて表現された圧巻の意匠でございます。
希少なお品のなかでさらに稀な、意匠力も光るお品。
その魅力をぜひともお手元で存分にご堪能くださいませ。
【商品の状態】
中古品として仕入れて参りましたが良好です。
洗いに出されたと見られるしつけ糸がついており、
お手元に届いてすぐにお召しいただける状態でございます。
【12マルキについて】
絣の数、約330万個。まさに織の結晶。
それほどまでに高価で稀少な所以…
それはひとえに、<絣糸の多さ>と<算数(よみすう)の高さ>にございます。
まず、絣糸の多さ。
5マルキ、7マルキ、9マルキ、そして12マルキがございますが、
経糸(たていと)の総数に占める経絣(たてかすり)糸の割合が「マルキ」と呼ばれる数値になります。
7マルキの経糸の配列は、<絣糸1>に<地糸3>、の1:3。
9マルキの経糸の配列は、<絣糸1>に<地糸2>、の1:2。
経絣糸が多く入れば入るほど、経緯(たてよこ)の絣合わせは一層難しくなります。
ところが12マルキの絣の比率は、実は9マルキと全く同じです。
それなのに、なぜ12マルキが9マルキよりも細緻を極めるのか…
そこで異なるのが、<算数(よみすう)>と呼ばれるものでございます。
算数(よみすう)とは、「1cmのなかに経糸が何本あるか」を表す織物用語です。
奄美では伝統的に13算(じゅうさんよみ)で織られ、
鹿児島では伝統的に15.5算(じゅうごてんごよみ・じゅうごはん)で織られています。
13算は、1cmのあいだに経糸が26本。
15.5算は、1cmのあいだに経糸が31本。
つまり、算数(よみすう)というのは、織りの緻密さを表わす単位なのです。
算数が多ければ多いほど、布が緻密であり、上質な布である事を表わしています。
12マルキの大島紬は、この算数が、18算(じゅうはちよみ)で織られています。
18算は、1cmのあいだに経糸が実に36本。
想像してみてください。
これだけの本数を織り込むためには当然、細い糸を使わなければなりません。
糸が細ければ細いほど、織物は上質になっていきます。
そして絣糸も細くなり、カタスのT字も緻密の極みにまで至るのです。
その数、およそ330万個。
無論、究極の細かさと謳われ、熟練の匠にしか成しえません。
もちろんのこと、年間製作本数は本当に限られております。
また非常に細い糸を使用しているため、その手触りは、
7マルキ、9マルキのお品とは比べ物になりません。
実際に触れて確かめましたが、つややか系紬の代表といわれる大島でも普通は指に糸の感触がはっきりと感じられるところ、
12マルキのお品は、まるで不織布のように、
はじめから一枚の布ではないかと思えるほど滑らか。
18算に、経絣糸の多さ。
12マルキならではの、1mmにも満たない点である絣の集合で、
信じられないほどに細緻な意匠が織り描かれております。
表裏:絹100% 縫製:手縫い
背より身丈162cm(適応身長157cm~167cm) (4尺 2寸 8分)
裄丈71.5cm (1尺 8寸 9分) 袖巾36cm (9寸 5分)
袖丈51cm (1尺 3寸 5分)
前巾28cm (7寸 4分) 後巾30.5cm (8寸 1分)
※居敷当なし・背伏せ付き
※ガード加工済
【裄丈のお直しについて】
≪最長裄丈≫ 現状が最大寸法です。
詳細はお気軽にお問い合わせ下さいませ。
◆最適な着用時期 単衣(5月下旬~6月、9月~10月上旬)
◆店長おすすめ着用年齢 ご着用年齢は問いません
◆着用シーン カジュアルパーティー、音楽鑑賞、観劇、お食事、お出掛け、お集まりのお席、ご旅行など
◆合わせる帯 洒落袋帯、名古屋帯など
※着姿の画像はイメージ写真です。柄の出方が少々異なる場合がございます。
※仕立てあがった状態で保管されておりますので、たたみシワなどがあることがございます。この点をご了解くださいませ。