【仕入れ担当竹中より】
呉服の本場室町におりましても…めったと出会うことができません。
100%藤蔓を原料とし、藤織りの伝承技術に基づいて創作された希少な工芸帯。
京都無形民俗文化財、丹後藤織り工芸八寸帯をご紹介いたします。
まずはじっくりとご覧くださいませ。
【丹後 藤布)
1200年の歴史には明確な史実があり、古代布の代表ともされるのが「藤布」です。
歴史は古く古事記や万葉集にも藤衣を読んだ謌があります。
大王(おおきみ)の塩焼く海人(あま)の藤布(ふじごろも)
なるとはすれど いやべずらしくも
天皇の御料の塩を焼く海人の藤衣が、時がたつと着なれるように、
あなたに馴れはしても、いよいよ心引かれることですよ。
(万葉集12巻2971)
幕府によって隠岐の島に流された後醍醐天皇が、藤の苗木を隠岐に持参し…
都を想いながら身にまとったという逸話もあるほど。
藤布は、日本古代より人々に愛されてきた植物素材です。
藤布は、5月の中頃山々を美しく彩る藤つるの繊維を紡いで織り上げます。
丹後では、春の彼岸から秋の彼岸にかけて、蔓の皮はぎをして繊維をとり…
10月に、甘皮の繊維を乾かし長時間灰汁煮き、冷たい泥水でしごき洗います。
そうして雪に閉ざされた冬、赤々と燃える囲炉裏の傍らで一心に紡ぎ織り上げてやっと、
長い時を経て、ぬくもり満ちる作品が完成するのです。
日本三景の一つ天の橋立近く、加悦町で伝えられるその手仕事の技術。
昭和58年、国の無形民俗文化財記録保存。
平成3年、京都府の無形民俗文化財に指定されました。
現在ではそれを受け継ぐ職人も少なくなり…
毎日仕入れをしておりましても、なかなか出会うことはございません。
お探しの方もいらっしゃることと思います。
この価値をおわかりいただける方に、大切にご愛顧いただければと願っております。
【お色柄】
自然をそのままとじこめたような、本当によいお色です。
ハリもよく、シンプルの究極
柄には組木のような抽象紋を織だし、、
きゅっと締めやすい締め心地のよさ、そして香り。
森の中、木々に包み込まれ、
すっと深呼吸した瞬間のような、心が澄み渡る感覚。
手にされる度、その工程を思い…
この帯が作られるまでの自然の力の育みと多くの人の手によって作り上げられたという
喜びの気持ちが、心の奥深くに感じていただけることでしょう。
夏織物にしゃれ味を添える植物素材の帯。
冬以外の3シーズン着用される方もいらっしゃるようですが、
夏・単衣の主に、透け感を考慮してお楽しみください。
自然に育まれた繊維のたくましさ。
力強く美しい、織り手の誠実さ。
末永く大切に、ご愛用くださいませ。
藤蔓100% 長さ(未仕立ての状態で)5m 仕立て時3.6-3.85m
手織巧房瑞絹(みずき)謹製
◆最適な着用時期 単衣6月9月 盛夏(7~8月)
◆店長おすすめ着用年齢 ご着用年齢は問いません
◆着用シーン 音楽鑑賞、観劇、街着、カジュアルパーティー、ランチなど
◆あわせる着物 小紋、織のお着物など