【 仕入れ担当 中村より 】
草木の色を映し、蚕のつむいだいのちの糸に、人のこころが加わって…
こんなにもやわらかな表情の、ステキなお着物になりました!
こういったお品は一つ一つ異なる、唯一無二の表情。
これ!と感じられたものはお見逃しなきようお願い致します!
今回ご紹介のお品は、手織機のみを数十台所有されている
伊那紬随一の工房、信州伊那谷、長野県駒ヶ根市にある
「久保田織染」さんが織り上げた紬着尺となっております!
色の濃淡と素材の質感による表現で、本当に奥行きのある表情。
シンプルなデザインのお品ははやりすたりもなく、ご年齢も
関係なくお使いいただけますので、本当に重宝いたします!
一に繭、ニに染、三に織の妙。
このすばらしいコンビネーションをお手元で
ご堪能いただけましたら幸いでございます!
【 色柄 】
『さらり』と、『ふわっと』の合間の風合い。
白と柑子色で縞模様を織りなし、
緯糸には黄茶色を入れて格子模様を表現しました。
その中に一掬ひそむ貴重な糸のお色目。
お柄の一部に、すっと通る横方向の白いラインには希少な『天蚕糸』が使用されております。
本当にシンプルな表情のお品でございますが、よき素材を選び抜き、
確かな織り技で織り上げたからこそ…
遠めにも力を感じさせる仕上がりとなっております。
【 久保田織染について 】
桑の中から小唄がもれる
小唄ききたや 顔みたや―
中央アルプスと南アルプスの間に深く刻まれた伊那谷。
伊那地方に唄い継がれる伊那節の一節にもあるように、この地では
古くから養蚕が盛んで、『飯田紬(いいだつむぎ)』や『上田紬』と
ならぶ信州紬の一つ、『伊那紬(いなつむぎ)』が織り継がれてまいりました。
大正から昭和の初期にかけて―
百有余の製糸工場が、天竜川の豊富な水で水車を回し、製糸産業が
栄えておりましたが、時代の流れとともに減少、伊那紬もそれにあわせ減産の一途をたどりました。
その灯をたやしてはいけない。
21世紀に、それ以降に受け継がなければいけない。
伊那谷の誇るべき地域産業である伊那紬を今に受け継ぎ、
織つづけておられるのが「久保田織染」さんでございます。
軽くてやわらかく、ほっこりとした風合い。
吟味された玉糸、真綿からの手紡糸、希少な天蚕糸などを丹念に
撚り合わせた国産の絹糸を、山野に自生する小梨、りんご、白樺など、
豊富な草木の樹皮や幹材から煎じ出した染液につけ、様々な媒染材を
使って多彩な色を引き出し、高機にて、1本1本丹精込めて手織する…
1キログラムの糸に対して、同量の1キログラムの染材。
お色ごとに染料にくぐらせる時間、回数を調整し、手間隙かけて
染め上げられた先染の糸を用いて、お着物を一反織り上げるのにおよそ2週間。
そうしてやっと、しなやかで強く、シワになりにくい伊那紬が完成いたします。
【 天蚕糸について 】
「天蚕」とは、日本原産の野蚕のこと。
一般に「テンサン」「ヤママユ」などと呼ばれ、
ほぼ全国の山野に生息、主にクヌギ・ナラ・カシなどの葉を常食とし、
淡い黄緑色の繭を作ります。
この繭から繰糸した「天蚕糸」は丈夫で強伸性があり、
優美な光沢と野趣に富んでいたことから、高級織物などに利用されています。
ただ全国の収穫量から計算しても100kgも生産できない稀少性から、
「絹のダイヤモンド」 とも呼ばれております。
絹100%
長さ約12.5m 内巾:37cm(裄70cm前後まで)
経済産業大臣指定「伝統的工芸品」の証紙、
経済産業大臣指定伝統的工芸品の証紙、信州伊那紬手織組合の証紙、
長野県安曇野市穂高天蚕糸産地証明の証紙がついております。
久保田織染謹製
※素材の性質上、フシによる凹凸、組織の変化、色の濃淡などございます。
風合いであって難ではございませんので、その点ご了承くださいませ。
◆最適な着用時期 5月下旬~10月上旬の単衣・夏
◆店長おすすめ着用年齢 ご着用年齢は問いません
◆着用シーン 音楽鑑賞、観劇、お食事会、街着、カジュアルパーティー、ランチなど
◆あわせる帯 お洒落袋帯、九寸名古屋帯、八寸名古屋帯、半巾帯など
※着姿の画像はイメージ写真です。柄の出方が少々異なる場合がございます。