【仕入れ担当 田渕より】
幾年もの時を経ても、本加賀友禅史上に燦然と光り輝くであろうその名。
美術品と同格、芸術的価値ある作品でございます。
本加賀友禅作家、二代 由水十久氏の傑作品をご紹介いたします。
奇跡の出会い、この一期一会に感動すら覚えることでしょう。
どうぞごゆっくりご覧下さいませ。
【お色柄】
しなやかにとろける…
巨匠の為の極上の絹布は極上の濱ちりめん地。
生地には、「三眠蚕」(さんみんさん)繭から紡がれた極上の絹布を用いております。
通常蚕は四回脱皮した後に糸を吐いて繭を作りますが、
三眠蚕は三回脱皮した後に繭を作る希少な品種で、
その糸は通常の絹糸に比べ細く、艶があり、
しなやかな肌すべりにきっと「極上」を感じていただけることでしょう。
その地を上品でおだやかな柳鼠色に染め上げられました。
意匠には、「帰りゃんせ」と題された、
家屋や草花、蝶などの意匠とともに、
跳ねるように歩く童が染め描かれました。
由水氏ならではの細緻を極めたタッチで丁寧にあらわされた意匠。
童子の姿を実に繊細に…
ひと目でわかる、その作風。なんとお顔立ちのよいことでしょう。
「子供」という存在は、その完成度より、実に高く評価されている絵柄です。
童子を描くきものは少なからずございますが、
その中でもなぜ由水氏の童子がこれほどまでに熱狂的支持を得ているのか…
そのひとつの理由が、まさにこの「気高さ」にございます。
静と動。
動の明るく躍動的なイメージの童子がみせる、静かな深い時。
心の底までをも奥深く見透かすような、時空を超越した気品。
研ぎ澄まされた感性、精緻な筆描きは由水氏ならではのものでございます。
由水氏の描き方は、まず胴の部分を塗りあらわします。
ちょうど裸の状態に描き出し、その上からきものを一枚一枚着せてゆく。
またその御髪は第一の特徴とされ、さらさらとゆれる、
本当に細かな、素晴らしい線条美であしらわれております。
繊細さの極地ともいえる糸目糊の輪郭線の中に施された、格調高い彩色表現。
大胆な構図と緻密な絵筆使いで描きあげられた超一流の美的感性。
図案から染めあがりまで決して妥協を許さず自身の美意識を貫徹させる匠の情熱。
まさに一筆入魂、一生一筆の素晴らしい作品です。
是非このご機会を大切に、末永くご愛顧していただける方に。
心を込めてお届けできればと願っております。
【二代 由水十久について】
二代 由水十久氏は、父であり師である初代に学び、その作風を受け継ぎました。
天才的な表現技法と配彩の妙、ことに緻密な人物描写は、時代を超えて、数多くの同じ作家の間からも高い評価を得ておられます。
昭和52年の初入選以来数々の賞を受賞し、現在もなお活躍を続けておられます。
昭和27年 初代由水十久の次男として金沢市大野町に生まれる
昭和46年 石川県金沢泉丘高校卒業
昭和55年 多摩美術大学日本画専攻卒業
※在学中は加山又造、上野泰郎両先生に指導を受ける
東京銀座にて個展を開催、帰郷し由水塾に入門
昭和62年 加賀友禅作家として認定を受け落款登録、加賀振興協会に加入
平成元年 「由水充工房」設立(のち「由水十久工房」と改める)
初代由水十久の一周忌法要を機に2代由水十久襲名
加賀友禅新作競技会で第一席受賞
平成2年 2代目襲名記念個展開催(京都文化博物館)
平成8年 伝統加賀友禅展金賞受賞(石川県立美術館所蔵)
通産省指定伝統工芸士の認定を受ける
平成9年 美展において特選受賞
平成11年 ルクセンブルク大公殿下御夫妻、高円宮殿下御夫妻由水十久工房ご来臨
伝統加賀友禅展金賞受賞(石川県美術館所蔵)
絹100%
たちきり身丈176cm 内巾約37cm(裄最長約70cm)
白生地には河籐ブランドの濱ちりめんの「絹鳴り光彩 三眠蚕13中」を使用しております。
◆最適な着用時期 10月~翌年5月の袷頃
◆店長おすすめ着用年齢 ご着用年齢は問いません
◆着用シーン 結婚式、披露宴、パーティー、音楽鑑賞、観劇、お食事会など
◆あわせる帯 袋帯、綴れ名古屋帯など
※着姿の画像はイメージ写真です。柄の出方が少々異なる場合がございます。
お仕立て料金はこちら
解湯のし4,180円+※胴裏7,260円~+海外手縫い仕立て35,200円(全て税込)
※国内手縫い仕立て+17,600円(税込)
※堅牢染め・本加賀など、染めのしっかりした御着物への抜き紋入れには、
堅牢抜き代4,400円(税込)が必要となります。