【仕入れ担当 田渕より】
ふんわり、幽玄、幻想意匠美を…
幻の染技法・本夾纈(きょうけち)をモチーフに、
西陣織処が綾なした地に、染めの表現で意匠を配した特選袋帯をご紹介いたします。
天平の人々は、まさにその表情に魅了されたのではないでしょうか。
その夾纈の風情を、現代の染め技法の粋を集め忠実に表現致しました。
その風情を是非是非お手元でご堪能下さいませ。
【お色柄】
さらりとして、オーガンジーのような質感の、
よろけた質感の帯地を、上品な水色に染上げてございます。
ふんわり、ほのかな光沢に地紋の生み出す陰影の奥行き。
そのこだわりの帯地の上に、地色に引き立つお色使いにて、
唐草の意匠が表現されております。
繊細に、やさしく、たおやかに…
けぶるような表情がなんともやわらかで多彩な彩り。
おきもの通の方にも、ぜひともご覧いただきたいこの仕上がり。
どうぞじっくりとご照覧いただければと思います。
【夾纈について】
聖武天皇の宝物庫「正倉院」には、
数多くの染色裂が残されております。
そのうち、その当時(天平時代)に創られた裂が「天平の三纈」と
呼ばれるものでございます。
絞り染めの、「纐纈(こうけち)」。
ろうけつ染めの、「臈纈(ろうけち)」。
そして板締めの、「夾纈(きょうけち)」。
「夾纈」は、その技術の難しさより現在ではほぼ用いられていない、幻の染技です。
「夾纈」の「夾」は文字通り「はさむ」を意味します。
透かし彫りした板の間に布を挟み、透かした隙間に染料を注ぎ込みます。
板で締められた部分は防染され、透かしの形に模様ができあがる――
一見単純なように思われますがこれが本当に難しく、現在でもこの技法には、
多くの謎が残されております。
何故それほどまでに難しいのか…
まず第一に、「夾纈」に用いる板は、完璧に平らでなければなりません。
染料は液体ですから、目に見える程度の平らな板ではわずかな隙間から
染料が入り込み、染めようとする形がくずれてしまいます。
二枚の板面が「寸分の隙間もなく」合わさらなければ、防染はできません。
また次に、布を板に挟んで防染するには圧力を加えなければなりませんが、
その圧力は、これもまた完璧に一様でなければ、全体の防染度にむらが
できてしまいます。しかし、透かし彫りした板に平均的に圧力を掛けるのは、
実に困難なことです。
現代でも難しいこの技術を、当時の人達はどのように解決したのか…
一心に磨きぬいた職人技に頼ったのでしょうか。
今となっては、知る由もございません。
簡単な原理ながらも、実際に染めるのには困難を極める「夾纈染」。
その一番の特徴は、「染めのやわらかさ」かと思います。はっきりとお柄が
現れる臈纈とは正反対に、木片で挟み込まれて防染された意匠は、ふうわりと
奥底から浮かび上がるかのように、実にやわらかに、幻想的なムードをまとって
浮かびあがるのです。
絹100%
長さ約4.4m(お仕立て上がり時)
耳の縫製:袋縫い
おすすめの帯芯:突起毛綿芯
全通柄
◆最適な着用時期 袷・単衣 <盛夏以外(6月末~9月上旬以外)>
◆店長おすすめ着用年齢 ご着用年齢は問いません
◆着用シーン カジュアルパーティー、観劇、芸術鑑賞、お出かけ、お食事会など
◆あわせる着物 洒落訪問着、付下げ、色無地、小紋、織の着物など