【仕入れ担当 竹中より】
京室町呉服問屋界隈におきましても、
通常ではなかなかお目にかかれない、大変貴重な一枚をご紹介いたします。
勲七等宝冠章受賞者、嘉手苅(かてかる)カメ子さんが
丹精込めて仕上げた、まさにクラシカルな逸品。
残念ながら2019年に101歳で天寿を全うされたカメ子さんは
晩年まで機に携われていたと聞いております。
元々流通が極端に少なく、大変希少な本場琉球紬。
今回ご紹介が叶ったのは問屋さんが大切に保管されていたお品。
通常、このようなお値段でご提供できるお品ではございませんので、
織物愛好家の方はどうかお見逃しのないようお願い致します。
終戦後のもののない時代…
材料となるものもないため、米軍のロープを解いて素材とし、
織物を続け、首里の博物館の昔の織物にヒントを得て毛糸の織物に
挑戦と、探求をかさねてきた職人魂。
伝統工芸士として琉球絣の発展に寄与し、
多くの後継者育成の功績が認められ、勲七等宝冠章を受賞されました。
長男である嘉手苅千勇氏と共に『嘉手苅かすり工房』を経営、
織り手を指導しながら絹や上布などの織物を創作されておりました。
その嘉手苅カメ子氏による一品。
やわらかく、どこかなつかしい、ほっとする手触り。
草木の色をうつした、琉球藍の青を基調とした深い色合いの紬地は節糸の凹凸の表情豊かに…
その地に規則的にトゥィグァーなどの琉球古来の文様と縞(シイジィ)模様を、
経緯の絣によって丁寧に織り上げられております。
【お色柄】
伝統織物の手縞(ティジマ)。
もともと首里の織物の柄名で
白と赤、青の色糸を格子に織り、その中に多数の絣柄をとり入れ、
調和させた美しい色柄の絹織物のことをいいます。
王府時代には、大柄の手縞が王族の日常着や、
士族以上の嫁入り衣裳用に織られました。
その手縞を草木染を駆使して嘉手苅カメ子さんが
丹念に織り上げたのが今回のお品です。
琉球の絣は、軽い織物ではありません。
経緯の糸の一本一本、絣文様のひとつひとつに、
様々な人の願いや祈りが込められており、
反物に触れるだけでその思いが着る人に伝わるからこそ、
紬ファンの憧れの織物となっているのです。
そして熟練した織り手が時間をかけて
手織りした布の凛とした贅沢さ。
身にまとえば、それらを肌で実感していただけることでしょう。
琉球紅型の染め帯や、贅沢な花織の帯などをあわせて、
美しい民族衣装の装いをお楽しみ下さい。
お手元で、どうか末永くご愛用いただけましたら…
心からそう願ってやみません。
ここ京都から南国の心を、大切にお届けいたします。
【 伝統工芸士・嘉手苅カメ子略歴 】
大正8年生まれ
1935年 南風原村立織物補習科卒後織を始める
1946年 織物工房を自営始める
1982年 日本民芸公募展奨励賞
1983年 沖縄県知事優秀技能者表彰
1985年 勲七等宝冠賞受賞
2004年 沖縄県文化協会功労賞
絹100%
長さ約13m 内巾37cm(最長裄丈70cm)
通産大臣指定伝統的工芸品
(現・経済産業大臣指定伝統的工芸品)、
沖縄県織物検査済之証が付いております。
◆最適な着用時期 10月~翌年5月の袷頃
◆店長おすすめ着用年齢 ご着用年齢は問いません
◆着用シーン 観劇、お食事会、お稽古事、街着、ランチなど
◆あわせる帯 お洒落袋帯、九寸名古屋帯、八寸名古屋帯、半巾帯など
※着姿の画像はイメージ写真です。柄の出方が少々異なる場合がございます。
お仕立て料金はこちら
地入れ3,300円+※胴裏7,260円~+八掛8,800円+海外手縫い仕立て26,400円(全て税込)
※国内手縫い仕立て+12,100円(税込)