【仕入れ担当 田渕より】
伊勢型紙道具彫の人間国宝・中村勇二郎。
「伊勢型写し」ではなく、情熱と愛情を込めて彫り上げられた、
本物の伊勢型を用いて染められる、江戸小紋。
その価値をご存知の方には、本当にお値打ちに感じていただけることと思います。
後世に伝えたい思い、後世に残したいその業。
お手元でご愛用頂ける一品となりましたら幸いです。
【お色柄】
しっとり…肌上を心地よく滑る上質な絹地。
シックな深緑色の地に浮き沈みする、細密なる意匠。
モチーフは国宝平等院の梵鐘に鋳出された意匠でございます。
日本の三大名鐘として名高い鐘に浮かび上がる、天人像に獅子、
龍、鳳凰、飛天、宝相華、唐草の意匠が細緻に表現されております。
帯あわせ次第でご年齢関係なくご愛用いただけることでしょう。
【状態について】
中古品として仕入れて参りましたが良好です。
たたみ皺がございますのでお届け前にプレス加工をサービスいたします。
【中村勇二郎について】
昭和30年2月、伊勢型紙が持つ高度の技術に対して、六谷紀久男氏(錐彫り)、
児玉博氏(縞彫り)、南部芳松氏(突彫り)、中島秀吉(道具彫り)氏、
中村勇二郎(道具彫り)、城之口みゑ氏(糸入れ)の6名の方々が
重要無形文化財(人間国宝)に指定されました。
伊勢型の彫り師は、渋紙(和紙に柿渋を塗っていぶし、強度を高めたもの)に
求められた柄をあてて、その通りに小刀を走らせます。お柄にもよりますが、
小紋などは、数ミリのズレも許されないまさに職人芸。一つの作品に一ヶ月
かかることなど珍しくなく、その間、彫師はただひたすら、「アテ場」と
呼ばれる型彫専用の机で孤独な作業にとり組みます。
それでも、そこまでして生み出されたにもかかわらず、限りのある型の寿命。
染めを繰り返しますと、型はどうしても破損してしまいます。
一部でも破損すれば、永遠に同じものを製作することはできません。
その型が一つ減り二つ減り、今となっては希少価値も大変高くなっております。
ご存知、人間国宝、故・中村勇二郎氏…
昭和60年、御年83歳で死去された中村勇二郎氏の、今に残された型紙は、
伝統的な「伊勢型」というものの歴史の一部であり、中村氏がその生涯に
わたって心血を注ぎ、練磨した技の証で御座います。
「型彫り職人になるんやから、人一倍努力して、誰にも負けん職人になってやる」
人生を通して『道具彫』を極めた匠。
『道具彫り』は、型を彫る小刀の刃自体が小さな花や幾何学紋様を形成しており、
職人はまず、その型を彫るための刃、『道具』を手作りします。それら幾本かの
彫刻刀の組合わせによって、一つの作品が彫られていくため、それぞれの型の
パターンに、型を彫った職人の個性と繊細な仕事ぶりが現れてまいります。
その手作りの彫刻刀、『道具』がゆうに三千本超え。
自らの手でつくりだした道具を自在に扱い、彫り上げた型はまさに神業。
昭和30年2月15日、伊勢型紙彫刻道具彫り技術において、重要無形文化財保持者、
いわゆる人間国宝に認定されてより後も、文化振興や後継者養成に尽力し、
皇族への彫刻実演、作品献上も数多くございます。
表裏:絹100% (縫製:手縫い)
背より身丈160cm(適応身長155cm~165cm) (4尺 2寸 2分)
裄丈67cm (1尺 7寸 7分) 袖巾34.5cm (9寸 1分)
袖丈51cm (1尺 3寸 5分)
前巾23cm (6寸 1分) 後巾28.5cm (7寸 5分)
【裄丈のお直しについて】
概算ではございますが、以下の最長裄丈までお出しできるものと思われます。
≪最長裄丈≫ 裄丈68.5cm (1尺 8寸 1分) 袖巾35cm (9寸 2分)
詳細はお気軽にお問い合わせ下さいませ。
◆最適な着用時期 10月~翌年5月の袷頃
◆店長おすすめ着用年齢 ご着用年齢は問いません
◆着用シーン お茶会、和のお稽古、音楽鑑賞、観劇、お食事、お出掛けなど
◆あわせる帯 袋帯、名古屋帯など
※着姿の画像はイメージ写真です。柄の出方が少々異なる場合がございます。
※仕立てあがった状態で保管されておりますので、たたみシワなどがあることがございます。この点をご了解くださいませ。