人間国宝 児玉博氏彫刻の貴重な伊勢型手付小紋のご紹介です。
市場にはなかなか出回りません。
型が破れれば、もう染め出すことは出来ません。
お目にとまりましたら、お見逃しなきようお願い致します。
古くは平安時代より、<伊勢型>は日本の歴史とともに歩んでまいりました。
室町時代には武士の裃(かみしも)に、
また江戸時代には多様な文様が町人層に広がり、
それら全てが<三重県鈴鹿市白子の型紙>によって染められておりました。
昔より染めものは、柄師(デザインを施すもの)、彫師(柄を彫るもの)、
染め師(染色をするもの)の手から成り立っております。
<伊勢型紙>はその中で、柄を彫る工程にあたります。
彫り師は、求められた柄を、渋紙(和紙に柿渋を塗っていぶし、強度を高めたもの)にあてて、
その通りに小刀を走らせます。
求められた柄にもよりますが、小紋などは、数ミリのズレも許されないまさに職人芸。
一つの作品に一ヶ月かかることなど珍しくなく、その間、彫師はただひたすら
「アテ場」と呼ばれる型彫専用の机で孤独な作業にとり組みます。
だからこそ、彫師の魂がやどった、神がかり的な作品が生まれるのでしょうか…
明治42年、児玉博氏は、伊勢型紙の本場鈴鹿市白子に生まれました。
13歳の頃より父房吉について型紙彫刻、特に縞彫を修行、房吉の死後は、
伊藤宗三郎に師事いたしました。
伊勢型には四つの技法がございます。
突き彫り、引き彫り(縞彫り)、道具彫り、錐彫り。
その中でも最も年季を要すると言われるのが縞彫りです。
ところが戦後、地味で玄人好みの縞柄が十分に評価されず、
児玉氏も一時は家計維持のため銀行勤めをしたそうです。
それでも縞彫の研究・制作に没頭し、昭和30年には、
要無形文化財<伊勢型紙縞彫>の保持者(人間国宝)に認定されました。
昭和40年以降は、縞小紋のみを彫刻されたそうです。
平成4年1月1日に亡くなった児玉博氏。
残された型紙は、まさに児玉氏の歴史と魂。
一部でも破損すれば、永遠に同じものを製作することはできません。
その型が一つ減り二つ減り、今となっては希少価値も大変高くなっております。
今回ご紹介する作品に用いられた型も、
どこか一部でも壊れてしまえば二度と生み出されることはございません。
その貴重な型を大切に大切に用い、創作された逸品小紋。
今回ご紹介のお品は、染め師、浅岡信之氏が染め上げたものでございます。
人間国宝児玉博氏といえばこの方、と言われている染め師さんですので、
まず間違いのない仕事のお品でございます。
白生地には上質な浜ちりめんを用いております。
シックな黒色の絹地に、細やかで精緻な縞模様。
波木賊と銘打たれた細やかな模様が表現されております。
一見シンプルな意匠を表現するのに一体どれほどの時間を費やし、
どれほどの気持ちが込められてきたのでしょうか。
絶大なる集中力で刻された型紙は、「糸入れ」という工程を経ます。
慎重に二枚にはがされ、上下の間に「二十一中」という細い糸をはさみいれ、
再び渋で元通りの型紙にするという神業的な作業…
児玉氏のような細かな型紙の糸入れは、これもまた熟練の匠でないとできません。
ご年齢を問わないおちついたお色を選んでまいりました。
シンプルなものほど、最高のものを。
日本の文化と伝統を愛する方にこそお召しいただきたい芸術品です。
申し上げるまでもなく、数あるお品ではございません。
長く厳しい修行の後、「道」と呼ぶまでに極められた彫の美。
その心を、作品から感じ取っていただければ、これほどうれしいことはございません。
一生をともにするお道具のひとつに、その技の極致をご堪能ください。
絹:100%
長さ:12.5m 内巾:37cm(最長裄丈70cm)
白生地:特選浜ちりめん1等品730g
◆最適な着用時期 10月~翌年5月の袷頃
◆店長おすすめ着用年齢 ご着用年齢は問いません
◆着用シーン お茶会、音楽鑑賞、観劇、女子会、街着、お稽古など
一つ紋を入れてパーティー、レセプションなどにも
◆あわせる帯 袋帯、綴れ名古屋帯、九寸名古屋帯、八寸名古屋帯
※着姿の画像はイメージ写真です。柄の出方が少々異なる場合がございます。
お仕立て料金はこちら
湯のし1,320円+※胴裏7,260円~+八掛8,800円+海外手縫い仕立て26,400円(全て税込)
※国内手縫い仕立て+12,100円(税込)