呉服という枠を超え、ひとつの美術品としての存在感。
仕入れの際に思わず目を奪われました。
手に取るとその豪奢な面持ちとは裏腹に驚くほどのしなやかさ。
お値段を聞く前に仕入れを決めてしまったほど。
西陣の名門【都(みやこ)】による特選西陣織本袋帯。
美しい品格、豪華な華やぎ、不変の美。
目にするだけで「良きもの」と心に伝わる、名門のおひとつ。
綴れ帯などで都さんの逸品をご覧になった方もいらっしゃるでしょうが、
今回ご紹介のお品は都ファンの方でもほぼほぼお目にかかったことはないではないでしょうか。
限られたルートにのみ卸されていた希少なお品。
どうぞこの機会をお見逃しなくお願い致します。
都さんの創業は昭和13年。
以来80年に渡って時代の流れとともに新しい感性の元、様々な作品を世に送り出しておられます。
ご存知の櫛織り綴れの作品や、「四季彩」・「唐俑箔」などのシリーズなど、
多種多様の技術を駆使して創作される作品には都さんの心が宿っております。
今回ご紹介させていただきますのは、
都さんの作品の中でも一際印象的な逸品でございます。
銘『春花蘭蝶文』
まるで絵画のような緻密な織味で浮かび上がる美匠。
金・赤・橙・紫・緑など…
いったい何色の色糸を駆使して織り成しているのでしょうか。
色糸に濃淡を付け、所作で浮き沈みする意匠の妙は各々の輝きが相まって
神秘的な煌きをもってかつてない帯姿を演出します。
そして本品は「本袋」のお品です。
ご存知の通り、高級品にのみ許されるのが、「本袋」。
表地と裏地を同時に、輪のように織り上げる帯のことでございます。
表裏同時に、輪のように織り上げる本袋帯。
織り場では、織りあげつつあるお柄を見ることができません。
したがって織人の熟練が必要とされますし、大変難しい織物です。
縫い袋を織る職人さんは現在でもまだまだ居られますが、本袋を織りこなす職人さんは、かなり限られてきております。
本袋帯と縫い袋帯を並べて見比べていただきますと、すぐにお分かりかと思います。
その違いは、帯の両端、つまり耳の厚みでございます。
これこそが本袋帯の一番の特徴で、縫い袋帯の半分の厚みですので、薄く綺麗にたたむことができます。またお太鼓結びに締めていただくと、耳付きが薄いので、前・横から見ていただいた時にお太鼓が大変綺麗に映ります。
流行に左右されないデザインセンスに、正統派古典の重厚な佇まい。
細やかな部分にまで気の使われた巧妙な織味。さりげない装いにも、
高貴な気品や格調を身につけさせてくれる、まさに逸品の仕上がりです。
母から子へ、次の世代に受け継いでいただきたいお品。
お手元でご愛用頂けましたら幸いで御座います。
名門都の織の逸品を、ぜひお手元でご愛用いただければと願いつつ、
大切にお届けさせていただきます。
絹92%ポリエステル・レーヨン・指定外繊維8%
長さ4.35m(御仕立て上がり時)
西陣織工業組合証紙No.都謹製
耳の縫製:本袋
六通柄
◆最適な着用時期 10月~翌年5月の袷頃
◆店長おすすめ着用年齢 ご着用年齢は問いません
◆着用シーン 結婚式・披露宴へのご参列、式典、初釜、パーティー、園遊会など
◆あわせる着物 かわり結びで振袖 色留袖 訪問着