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着物や浴衣の最適な収納・保管方法とは?より美しく保管するために必要なお手入れとは?

着物や浴衣の最適な収納・保管方法とは?より美しく保管するために必要なお手入れとは?

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南北に細長く伸びる日本列島には、特有の四季(春夏秋冬)があり、伝統的な着物はこれらの季節と深い関わりを持ち発展してきました。
もともと繊細で優美な着物は梅雨の季節やじとじととした夏場の湿気に弱く、本来の美しさを維持するためには、それなりにお手入れが必要になります。
また「好きで集めた着物がいつの間にか増えてしまい収納場所がない」とお困りの方も多いと聞きます。
そこで今回は、ご自身でできるおすすめの着物のお手入れ方法や収納方法について紹介いたします。
何かと外出のしにくいこの時期に、ぜひとも参考にしていただけましたらと思います。

着物をより美しく保管するための収納方法

着物を美しく保管する

「絹糸一本一本が呼吸している」といわれるしなやかで艶のある絹織物は、お手入れが行き届いた管理下であれば、半世紀以後も十分使用できるといわれています。
ここからは、着物をより美しくご家庭で保管する方法についてみていきましょう。

・着物は丁寧にたたみ「畳紙(たとうし)」に入れて収納

着物のたたみ方はインターネットでも多数紹介されていますが、きちんとたたんだ後「たとう紙」に包んで収納することで、よれジワや型崩れを防いでくれます。
近年は和紙以外のものもたくさん出回っており、好みもあるかと思いますが、着物を収納する場合は、中に薄紙がついた和紙製のものがおすすめです。
和紙は表面が凹凸になっていますので、収納したときにも、重ねた着物との間に隙間ができ通気が良くなることで、着物をカビから守ってくれます。

着物のたたみ方はインターネットでも多数紹介されていますが、きちんとたたんだ後「たとう紙」に包んで収納することで、よれジワや型崩れを防いでくれます。
近年は和紙以外のものもたくさん出回っており、好みもあるかと思いますが、着物を収納する場合は、中に薄紙がついた和紙製のものがおすすめです。
和紙は表面が凹凸になっていますので、収納したときにも、重ねた着物との間に隙間ができ通気が良くなることで、着物をカビから守ってくれます。

たとう紙

・ぎゅうぎゅうに重ねて収納しない

着物を重ねすぎない

着物が好きとおっしゃる方は「気がついたら着物が増えすぎて収納場所がない…」という方も多いですね。

そのためぎゅうぎゅうに重ねて収納しがちですが、着物にとっては湿気のない環境を作ってあげることが重要です。
できれば、絹織物以外の浴衣や化繊の着物・帯枕・肌襦袢・足袋などは乾燥材を入れたプラケースなどにうつすと、その分ゆったりと着物を収納できます。

・帯の収納~お太鼓部分に折ジワはNG!

「凛とした着物の美さは後ろ姿にあり」には、みなさま納得されるかと思います。
着物姿は髪をアップにした衿足から帯に、帯から裾へと、やわらかな美さが線でつながり、洋服にはない優美さがあります。
ここでお太鼓に目立つ折ジワがあるとしたらどうでしょう。
残念ですが、着物姿全体の品格が落ちてしまい、見た目も美しいとはいえませんね。
帯は折ジワがつかないようにたたみ、収納しましょう。

袋帯のたたみ方にもいろいろとございますが、おすすめのたたみ方をご紹介いたします。

 1 帯の端と端を持ち、表を出して二つ折りにする
 2 三分の一を中に折り曲げる
 3 残りの三分の一をその上に重ねるように折り曲げる

横から見たときに全六枚に重なるように折り収納します。この時、折り山の内側に、和紙を丸めた棒状のものを挟むと、帯全体の折りジワを防ぐことができます。

着物を着た後は収納する前にしっかりお手入れ

着物を着た後はお手入れを

着物を脱いだら、そのままの状態で収納していませんか?
一度着用した着物は、汗ばんだり、食事中に食べこぼしたりと、気付かないうちに汚れをつけていることが多いものです。

そのため、着物を脱いだ後のチェックが重要になります。
脱いだ着物をハンガーにかけ、タオルを手に持ち上から下にホコリを優しく払い落としますが、特に、食べこぼしのシミがつきやすい胸まわり・袖の振り・上前から裾などに汚れがないか収納する前にしっかりと確認しましょう。

汚れが見つかった場合の対処法は次章にてご紹介します。
お稽古などで引き続き使用する場合は、日の当たらない場所で1~2日ほど湿気を飛ばしてから収納してください。

・正しいお手入れ方法~着物のシミ抜き

着物に汚れがついてしまった時、「できるなら自分で」と考えるのが自然です。
ただ着物初心者さんの場合は、「シミ抜きをしようとしたら返って汚れが広がった」「こすった後が毛羽立ってしまった」などの悩みをよく耳にします。

最初のうちは、呉服屋さんへの持ち込みや和服専用のクリーニングを利用されることをおすすめします。
ただ着物を頻繁に着用される方なら、シミ抜きの方法をマスターしておくとよいでしょう。

着物のシミ抜き

汚れの種類別に、シミ抜きの方法を簡単に紹介いたします。

★油性の汚れ:ファンデーションや口紅、ボールペン、皮脂汚れなど
テーブルの上に白いタオルを敷きその上に着物を置きます。
ガーゼにベンジンを湿らせて、着物のシミの部分を軽くトントンとたたくイメージで行います。下のタオルの汚れた位置を変えながら、これを何回か繰り返します。くれぐれも擦らないよう気をつけましょう。

★水性の汚れ:コーヒーや醤油など
テーブルの上に白いタオルを敷きその上に着物を置きます。
水で薄めた(約15倍)食器用の中性洗剤をガーゼに湿らせ、着物のシミの部分をトントンとたたくイメージで行います。下のタオルの汚れた位置を変えながら、これを何回か繰り返し最後に数回、水だけでトントンしながら洗剤を落とします。同じく擦らないように気をつけましょう。

ポイントは、「シミを消す」のではなく「着物から下のタオルにシミを移す」というイメージです。
初めてシミ抜きをされる方は、いきなりはじめるのではなく、時間があるときに、古い絹の着物や絹の切れ端などで試してみましょう。

着物の収納には桐箱や桐のタンスがオススメ!

桐タンス

桐のタンスは「桐」という天然木材で作られ、外気の湿度が高いときは湿気を吸収して膨張し、湿度が低いときは湿気を拡散して通気をよくし、湿気やカビから着物を守ってくれます。
桐のタンスに収納しておけば絶対安心というわけではありませんが、お手入れがよければ100年を経過した絹織物でも着用できるそうです。
本格的な桐タンスは希少価値が高く手に入りにくいのが現状です。
高価な桐タンスはちょっと…いう方には、お手軽でサイズもいろいろある着物専用の桐箱や桐製の引出しがおすすめです。

着物を収納するときのポイントとは?

虫干し

美しい絹の着物は、湿気の多い場所を好み、特有の虫やシミがつきやすいという弱点があります。
家で気軽に洗濯することができませんので、着物に虫食いやシミを作らないためにも、次のようなことに注意して収納しましょう。

・着物は素材別に分けて収納する

着物につく特有の虫「ヒメマルカツオブシムシ」は、ウール・カシミアが大好物で、絹にもつく虫です。
暗い場所が好きで繊維のなかにひそんでいることもありますので、ウールのアンサンブルや長着・モス長襦袢などは、絹の着物と一緒にしないで別々に収納しましょう。

・保管中の着物に風を通す(虫干し)

収納するにあたっての重要な点としては、
 「湿気を寄せつけない」
 「ついた湿気は取りのぞく」
このふたつがとても重要になります。
湿気を取りのぞくことで、雑菌・虫・シミ・カビなどがつきにくくなり着物へのダメージを防ぐことができます。

昔から行われていた年2回の「虫干し」がその代表的なもので、空気が乾燥した季節にすべての着物をタンスから出し、着物ハンガーにかけて風を通す行いです。

近年では着物を広げる時間も場所もないという方に、思い立ったらいつでも簡単にできる虫干しの方法を紹介いたします。

 ・乾燥している晴れた日に窓を開ける
 ・直射日光の当たらない場所(ベッドなど)にたとう紙を開いて重ならないように並べる
 ・午後3時ごろまでの約4~5時間広げたままにしておく

これなら大がかりに着物を出し入れすることなく手間もかかりません。
ぜひ試してみてはいかがでしょうか。
この時、たとう紙や引出しにも同時に風を通すのがポイントです。

防虫剤を使用する時の決まりごと!

防虫剤

着物の防虫剤はタンスの中で少しずつ気化し、長期間着物を虫から守ってくれる優れものです。
しかし入れ方を間違えると、効果を発揮しないばかりか、着物を傷めてしまうこともあります。

注意点として、こちらの三つが重要です。

 ・種類の異なる防虫剤を一緒に入れない
 ・気化したものは空気より重いので引出しの上部に置く
 ・直接着物に触れないように置く

特に種類の異なる防虫剤を一緒に入れると、化学反応を起こして変色したり、濃いシミができたりしてしまいます。
入れ替えの時期が来たら、以前使っていた防虫剤がたとう紙の中に紛れ込んでいないか、必ず確認してから入れ替えましょう。

浴衣の収納方法は?

浴衣

着物をお持ちの方は、夏場には浴衣を着る機会が増えるのではないでしょうか。

浴衣の収納方法やお手入れの方法は、基本的に着物と同じです。丁寧に畳んでたとう紙に包んで収納するようにしましょう。

ただし浴衣は、着用回数が多い夏場のシーズン中とオフシーズンで、お手入れ方法を変えることでより美しい状態で保管・収納することができます。

シーズン中の浴衣のお手入れ方法

夏場のシーズン中には、浴衣は、短時間の着用であまり汗をかいていない場合には、目立つ汚れがない限り着用のたびに洗う必要はありません。着用する機会が多く、次に浴衣を着る日まであまり日数が開かない場合には、何度か着てから洗濯しても問題ありません。
(もちろん、着物に慣れている方でしたら、着用の度に洗っていただいても大丈夫です!)

ただし、汗をかいているので洗濯をしないかわりに簡単なお手入れを行います。
浴衣に霧吹きをかけて、汗や汚れがある箇所にタオルを当てて拭き取ります。そのあと、風通しの良い場所で陰干しをしてしっかり乾かしましょう。シワが気になる場合は、浴衣の裏側からあて布をして軽くアイロンをかけます。

オフシーズン中の浴衣のお手入れ

浴衣を着ないシーズンが来たら、着物と同様に収納する前にしっかりお手入れを行います。
浴衣の素材は大半がポリエステルか綿なので、自宅で手洗いができます。(ものによっては洗濯機に入れて大丈夫!というものもあります。)

洗った後のシワや、自分で洗うのは不安!という方は、浴衣の場合お近くのクリーニング店へ持ち込んだり、もちろん専門の業者に出されるのも良いでしょう。

なお、浴衣のシミ抜きを自宅で行う場合は、着物と同じ方法で可能ですので、前の章をご参照ください。
また、浴衣も虫干しを行うことで着物へのダメージを防ぐことができます。お手持ちの浴衣や着物は、保管したままにするのではなく、風を通すことを忘れずに行いましょう。

まとめ

夏に向けて着物まわりを整理

着物の歴史は、奈良・平安時代がはじまりとされています。
その時代の女流歌人らが競い合って華やかな着物(十二単)を身にまとい、「紫式部」は自由奔放かつ哀愁に満ちた恋愛模様を「源氏物語」にしたためました。

現代においても着物には魔法のように女性の美しさを際立たせる力があり、街中を着物で歩けば思わず振り返られる経験をされることも多いはず。
そんな魅力をもつ着物は、繊細でお手入れを必要とするものですが、着物をケアする時間までをも慈しみつつ、衣装も心も整っていくプロセスをお楽しみください。

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