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“グルーピング”がキーポイント 「ご自宅訪問!みずのの着物収納」vol.2

“グルーピング”がキーポイント 「ご自宅訪問!みずのの着物収納」vol.2

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着付け講師・みずのしのぶさんのご自宅訪問シリーズ第二弾!アンティークとスタイリッシュが同居する”みずのワールド”な空間をみせてくださった前回に続き、今回は、みずの先生の具体的な収納への考え方についてお聞きしました。着物収納に限らず参考になるポイント多数、必見です!

取材に答えるみずのしのぶ先生

Instagramでスタイリングや収納術を発信し、着物ファンから絶大な支持を受ける着付け講師・みずのしのぶさん。今回はなんと、各地でのイベントも満員御礼だったみずの先生のご自宅訪問が実現!フォロワーが気になるみずの先生の収納テクニックからその“着物観”に至るまでを、全3回にわたってお届けいたします。

具体的な着物収納に迫る!ご自宅訪問

みずのしのぶ先生

愛知県名古屋市を拠点に「みずのしのぶ着付け教室」を運営する傍ら、全国の催事やイベントにも引っ張りだこのみずのしのぶ先生。

着物スタイリングや日常生活を発信しているInstagramのフォロワーはすでに2.6万人(2021年12月現在)に達し、多くの着物ファンから熱狂的な支持を受けていらっしゃいます。

「着物ってぺったんこで収納しやすいのでは?」からはじまったという、みずの先生の着物生活。整理整頓が大好きなみずの先生のご自宅には、着物や帯、小物たちがあるべき場所にきちんと収まっています。

お部屋の全貌

ついつい増えてしまいがちな物の取捨選択に関する「収納の基本」について教えていただいた第1弾。みずの先生は半年に一度の大掃除で、身の回りに置く“一軍アイテム”を見直し、その都度自分の心と向き合っているそう。

大好きな着物や帯、小物たちに囲まれたお部屋はまさに夢の空間!

「黒色なら似合うかも」と選んだという久米島紬の着物
リビングには大きなグリーンがイキイキと

今回の第2弾では、そんな偏愛アイテムをどのように配置しているのか。具体的な収納方法について教えていただきます。

久米島紬に染めの帯
久米島紬に、”おまえはどこのワカメじゃ”帯

収納の基本はグルーピング

「結局、グルーピングの仕方が分からへんから部屋が散らかるんやと思うんですよね。袷・単衣・薄物など、それぞれに合った収納方法をずっと探ってるんですよ」

みずの先生が収納で何よりも大切にしているのが、グルーピング。

何かを作業するとき、例えば帯を締めるときに帯揚げや帯締め・帯留が同じ場所にまとまっていたら便利ですよね。

いわゆるグループ分けをした上で収納する方法を、グルーピングと言います。

帯関連のセットや小物を収納する場所

みずの先生のご自宅では、お部屋に入って真正面の下部一面にあるのが季節限定の帯を収納する棚。
その上にはグルーピングされた小物たちが、それぞれの居場所として丁寧に収められています。アンティークの棚自身も、空間にシンデレラフィットしている点にご注目を。これというものがみつかるまで、根気よく探されたそうです。

反対側のラックには着物をはじめ、カバンや履物を仕舞っている

そしてその向かい(お部屋の反対面)には、天井まで作り付けの棚が。
こちらにはお手持ちの着物のすべてに加え、シーズンインした帯や履物、日々の着付けに使う小物類の収納ケースとなっているアンティークのスーツケースなどが収められています。

こちらはみずの先生が毎日着物や帯を置いて、コーディネートを作る作業台。ここで上から下まで何を身につけて出かけるか、想像を膨らませていきます。

スタイリングに必要な着物や帯、羽織や下駄、カバンなどの小物類が手の届く範囲にあるので便利ですね。

みずの先生は作業台に着物を置いてコーディネートを作る
こちらの棚にはコーディネートに必要なものが大方揃っている

こちらの棚には、その時期とほんの少し先の日々のコーディネートに必要なものが大方揃っています。

着物だけではなく、動きやすさが必要な時には洋服もお召しになるみずの先生。数はできるだけ少なく、着物との共存が大きなポイントです!

手を伸ばして取る二段目の棚には、普段あまり使わないフォーマルなものを

「1番上はカバン、2段目は訪問着や黒留袖・喪服とか普段あまり着ないフォーマルな着物を収納してます。

その下にはシーズンオフのコートや羽織を仕舞っていて、一番出しやすいところに、今着るものを置いてますね。その月の着物と帯や、さっと羽織れるようにストールを出したり」

鼻緒の型崩れを防ぐ、草履枕が入った履物たち

また一番下に収納されているのは、草履枕がきちんと入った履物たち。鼻緒の型崩れ防止以上に、その佇まいが可愛くて気に入っているのだとか。

「この草履枕も手作りです。といっても切った麻に綿を詰めて、縫っただけですけどね。息子が小学校低学年くらいの時に、あえて『楽しいわ〜』って言いながら作業してたら『何それやらせて』って手伝いにきたり(笑)」

掛けっぱなしでシワにならないように、その時頻繁に着るような羽織や長襦袢を掛けている
掛けっぱなしでシワにならないように、その時頻繁に着るような羽織や長襦袢を掛けている

みずの先生の着物収納は基本的に、帯と同じサイズのたとう紙に収納できるよう「三つ折り」。季節の羽織ものや長襦袢などは手前のハンガーに掛けられています。

着物はシンプルに。羽織で遊び心を効かせるみずの先生のお気に入りアイテムは、次回vol.3でご紹介いたしますのでお楽しみに!

収納棚や箱は、あらかじめ入れるものを決めてから購入

1月〜12月まで、季節ごとに分けて帯を収納
1月〜12月まで、季節ごとに分けて帯を収納

次に、季節ごとにまとめられた、こだわりの着物収納を見ていきましょう。

壁一面にしっくりとフィットしている収納棚、まず下部には、6つに分かれたチェストがふたつ並んでいます。全部で12箇所。みずの先生はこれを1年に見立て、それぞれの月に使う帯をまとめて収納しているのです!

撮影時は10月の棚が空になっていることにお気づきでしょうか。

その月の帯は着物と同じ場所に保管されている

そしてそれは、前章でご紹介しました向かいのラックに移動させ、「今」使うものとしてすぐに使えるようにしているのです!

規格がきっちりと揃った“たとう紙”には、シンプルに手書きで色柄や季節などがメモされています。

実はみずの先生はたとう紙にもこだわりがあり、これらはオーダーメイドで作ってもらっているのだとか。

通常たとう紙には中身が外へはみ出さないように、補強材として角紙や袖紐がついていますが、みずの先生はシンプルなものがお好み。

帯の特徴が手書きされた、たとう紙
みずの先生がオリジナルでオーダーされている角紙・紐なし、窓ありのたとう紙

「京都にある和装用の紙もの製造業の方と相談して、角紙・紐なし、窓ありのたとう紙を300枚ずつ別注してもらっています。教室の生徒さんにも、欲しいって言わはる方にはお分けしたりもしていますね」

帯揚げや帯締めなどが収納されている棚

そしてこちらが、帯揚げや帯締めが入っている6つ扉の棚。

一番下の引き出しは、まるでお店のよう。

帯揚げがきちんと畳まれて、絶妙な彩のグラデーションをみせています。

帯揚げは一枚ずつ畳んで収納
1本ずつ房カバーで巻かれた帯締め

そして先生のお気に入りは、こちらの帯締めゾーン。
透明のカバーで一本ずつクルクルと巻かれているので、ひと目で色柄がわかります。

「カバーは市販のもので、ネットなどで購入しています。帯締めの仕舞い方もいろいろと試してみたんですけど、これが一番スッキリ収納できます。ガンガン混ぜでも大丈夫ですし、これだけ量があると、ひとつひとつ箱に収納してたら場所を取りますからね」

半襟

また、こちらは最近ニューインしたという半襟ゾーン。

アンティーク半襟がお好みのみずの先生は、半衿つけもお手の物です♪

半衿つけをするみずの先生
草履の収納

みずの先生のご自宅では、玄関に靴も草履も一足も並べられていませんでした。

では草履は?というと、日常的に用いるものは前述の作り付けの棚に。そしてそれ以外の慶弔用やシーズンアウトの草履バッグ、予備の足袋などは、こちらの右上の棚に白い箱に入れられてすっぽりと収まっているのです。

「10個セットになった箱を楽天などの通販サイトで購入しています。

シンデレラフィットが好きやから、棚や箱を買うときは収納するものをあらかじめ決めてから買います。厚みがこれだけあるから、帯留めやかんざしを仕舞うのにちょうどええなとかね」

白い箱にはラベリングがされている
ラベリングの色やフォントも、みずのスタイル

文章/苫とり子

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