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2026年祇園祭 長谷家に伝わる稚児衣裳と、母・亜希さんの装いに注目。

長谷家に伝わる稚児衣裳と、母・亜希さんの装いに注目。

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コンチキチンの祭囃子が響き渡る京の町で、祇園祭前祭の山鉾巡行が無事に執り行われました。12日の「曳初め」に続き、巡行当日の朝も株式会社長谷ビル本社へ伺った「きものと」編集部。母・亜希さんの祇園祭コーデをとくとご覧ください。

2026.07.14

カルチャー

2026年祇園祭・山鉾巡行直前! 稚児・長谷航太郎さんのお支度に密着。

69年の時を経て、孫へと受け継がれた稚児衣裳

猛暑となった17日、絢爛豪華な懸装品で飾られた23基が古都を進む前祭の山鉾巡行が行われ、先頭をゆく長刀鉾に乗り込んだ稚児・長谷航太郎さんが、神の使いとして見事に「注連縄切り」という大役を果たしました。

祇園祭の風景

交差点で披露される豪快な「辻回し」は、山鉾巡行最大の見どころ。車輪の下に敷いた青竹の上で10トンを優に超える山鉾が方向転換すると、見物客から拍手と歓声が沸き起こる

巡行当日の朝、稚児と禿は長刀鉾保存会にて身支度を整えます。この日航太郎さんが身に纏ったのは、長刀鉾保存会所有の稚児衣裳。

その衣裳について、航太郎さんの母・亜希さんが、

「17日の山鉾巡行当日は保存会で管理されている稚児衣裳を着るのですが、数年前に新調されたばかりのものではなく、69年前に義父が着た着物が保存会に残っていたため、今年はそれをお直しして着用することになりました」

と、教えてくれました。

アルバム

行事ごとの写真が丁寧にスクラップされた祖父・幹雄さんのアルバム。「御千度詣服装」とある

「きものと」編集部が密着した7月12日の「曳初め」では、祖父・幹雄さんから譲り受けた龍が描かれた振袖を着用した航太郎さん。

ちなみに、幹雄さんのご両親が百貨店に注文して誂えたのは京友禅の着物4枚と袴2着で、すべて航太郎さんの身幅に合わせて手直しされました。

正面カット

瑞雲と青龍の丸紋。神獣である龍の姿を円形に収めることで、繁栄・吉祥・威厳を意味する

バックショット

背中には緑の龍、袖には赤い龍も

振り袖

五色の竹に、健やかな成長を願う親心が伺える一枚。「𠮷符入」で着用

振り袖

柳に蹴鞠柄。7月1日に執り行われた「お千度の儀」では、青や黄色の鶴が描かれた着物に、白と紫の袴を合わせた

父の目に映る、息子・航太郎さんの確かな成長

株式会社長谷ビルの本社があるのは、橋弁慶山※の町内。幹雄さんは、橋弁慶山保存会の理事長を務めています。

そのため、祇園祭自体には馴染みがあり、生まれたときから祭を身近に感じていた航太郎さん。稚児に決定してからは、毎朝ランニングを欠かさず、体力づくりに励んできました。

※橋弁慶山……謡曲「橋弁慶」に由来し、五条大橋で出会った牛若丸(源義経)と弁慶が戦う姿を表現。厄除けに加えて、武運長久・心身健康のご利益がある。舁山では唯一のくじ取らずの山。

そんな息子の姿を頼もしく見守ってきた父・拓治郎さんは、

「1日のお千度詣りで見物客の多さに驚きました。改めて身が引き締まる思いでしたので、大人たちに囲まれて彼が萎縮するのでは……と心配しましたが、日を追うごとにいい意味で場の空気に慣れてきたこともあり、常にのびのびとしています。『そんな言葉知ってるのか!』と思うような場面もあり、しっかり受け答えができるようになって頼もしい限りです」

と、胸の内を語ってくださいました。

社長

今年の浴衣は、躍動的な波頭の意匠。毎年変わるデザインも祇園祭の眼福ポイントのひとつ

2025.07.06

カルチャー

毎年新調! 祇園祭・長刀鉾保存会の「浴衣」、その図案の魅力とは。

帯結び

長刀鉾の帯結びは貝の口で

帯結び

「曳初め」前、支度風景の一幕

長刀鉾の揃いの浴衣に袖を通すことができるのは、男性のみ。というわけで、様々な行事に帯同する母・亜希さんの装いに着目してみました。

息子に寄り添う母の想い、装いに託して――

此度の祇園祭で息子・航太郎さんが稚児を務めるにあたって、母親である亜希さんが行事等で着物を着る機会は11回。

「普段は初釜や長唄鑑賞などで年2回くらいなので、着付けは絶大なる信頼を寄せているプロにお任せです。義父がとても着物に詳しいので、今年の年明け頃に一緒に見立ててもらいました」とのこと。

着姿

「パッと見た印象で」決めたというタチアオイは、空に向かってすっくと伸びる姿から「大望」、一本の茎にたくさんの花を咲かせることから「豊作繁栄」を象徴する花

仕立てたのは、浴衣2枚に着物3枚。

メインイベントともいえる山鉾巡行にと選んだのは、紅白のタチアオイが凛々しく、白と水色のゆるやかな暈しが涼しげな「ぎをん齋藤」の夏着物です。

合わせたのは、「齋藤織物」の爽やかで風格ある夏の袋帯です。

丸く愛嬌のある形が好まれてきた瓢箪は、語呂合わせから6つ揃えると「無病(=六瓢)息災」のご利益があるとされた縁起柄。種が多いことから「子孫繁栄」「商売繁盛」「厄除け」の意味もあり、巡行で大役を担う息子を見守るには、この上ない文様だといえます。

帯回り

帯締めも紅白でリンクさせて

お太鼓

お太鼓とたれの絵柄のバランスが美しい絶妙な帯結び

一連の行事で着付けを担当した着付師・おとはさん曰く、

「何よりも、長時間着ていてもしんどくないように心がけています。注目度も高いため、おはしょりにいつもとは違う道具でひと工夫し、ご自身でも簡単に直せるようにポイントをお伝えしながら着付けます。ですが、直しがなくてもとても美しい着姿で、それは亜希さんの所作や姿勢が良いからこそだと思います」

着付け

一つ紋は「長谷の義母の家紋である菊菱です」(亜希さん談)

粋にはんなりをプラスした京美人たる装い

「いつもいたずら好きで、へんなことするから面白い。変顔してくれたり」と、航太郎さんがこっそり教えてくれたお母さんは、ひとことで言うと「普通じゃない」だそうで……(苦笑)。

それを後で聞いた亜希さん、「もー!普通じゃないとか言わんといてー」と、そのときばかりは飾らない表情に。愉快な長谷家の日常が垣間見られた瞬間でした。

そんな亜希さんの「曳初め」当日のコーディネートがこちら。

着姿

絹紅梅の涼感ある浴衣に衿を入れて、白足袋を履いて夏着物風に。

大人ピンクな夏帯が、粋な雰囲気にはんなりした印象をプラス。文句なしの組み合わせです。

袖

シャリ感と透け感が魅力の絹紅梅は、着心地はもちろん見た目にも涼をもたらしてくれる一枚

後ろ姿

髪はやはり結い上げて。抜き過ぎない衿から見えるきれいなうなじは、和装美に欠かせないポイント

暑さ対策アイテム

「あるだけ買い占めてきた(笑)」という、暑い最中に手放せない冷却剤とタブレット。ハード食感のグミ「忍者めし」にも助けられたという

「食事のバランスや質のいい睡眠を意識して、彼の生活リズムを整えること」が、今年に入ってから、亜希さんに課されたミッションだったといいます。

山鉾巡行の朝、これまでを振り返って「やっと来たかという気持ちです。いつも通りに息子を見守りたい」と話す彼女の瞳はとても穏やかでした。

ヒオウギ

ウェイティングスペースには、祇園祭の「祭花」であるヒオウギ(檜扇)も生けられていた

巡行が終わったら何がしたいかと問えば――。

「義父や夫は後祭も忙しいですが……。私はとにかく何も考えずに休みたい!!」と破顔一笑。本当におつかれさまでした。

取材・文/椿屋
撮影(山鉾巡行カット除く)/佐藤佑樹、スタジオヒサフジ

2025.09.05

ライフスタイル

“祇園祭オタク”の祭と着物の楽しみ方 秋尾沙戸子さん(後編)【YouTube連動】「着物沼Interview」vol.2

2025.07.28

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