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皐月、元気をくれる緑と共に 「未生流笹岡家元に学ぶ、華やぎあるくらし」vol.9

皐月、元気をくれる緑と共に 「未生流笹岡家元に学ぶ、華やぎあるくらし」vol.9

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華道家にとって一年で最も多忙を極める4月が過ぎ、心落ち着く季節がやってきました。愛でる花木にも涼感を求める5月は、2016年に開催された「G7伊勢志摩サミット」での作品をピックアップ。未生流笹岡家元笹岡隆甫さんのいけばなへの想いを通して、華やぎある暮らしのヒントをお届けします。

2025.04.14

まなぶ

卯月、“百花の王”たる桜を愛でる 「未生流笹岡家元に学ぶ、華やぎあるくらし」vol.8

伊勢志摩の風景を映すいけばなを

新茶の季節。

振り返るのは、茶壺から茶の木を飛び出させ、生命力にあふれる緑と涼やかな白で初夏を見せる作品です。

5月の作品

「これは、伊勢志摩サミットで待合室として使われた志摩観光ホテル ザ クラシックの2階別棟に置かれた作品です。それまでサミットではエントランスや広いロビーなどには花が飾られるものの会議が行われる場を彩ることがなかったことを踏まえて、首脳会議のテーブルにも花を添えよう!と、全部で11点をいけました」

その際、家元へのオーダーは「伊勢志摩の風景を映してほしい」だったといいます。

「そこで、伊勢茶の茶畑から着想を得て、面白い枝ぶりの茶の木を使うことに。足元の白いスプレーマム(菊)で涼感を表現しています」

2025.05.05

まなぶ

Go ! Green tea Girl 今日もティータイムの悦びを「うきうきもの」vol.5

期間中、どの部屋を誰が使用するかは事前に教えられず、「テレビのニュースで知った(苦笑)」という家元。すべての作品が最も美しい姿であるよう毎朝、鳥羽に取った宿から30分弱かけて手直しに日参したのも、いまとなってはいい思い出となっているようです。

元気をわけてくれる新緑の頃に

家元イメージカット

「瑞々しい若葉が元気を分けてくれる5月は好きな季節。葉桜となり、京都のまちも少し落ち着く今頃は、涼やかで、散策していて感じる風も心地よいですね。

家元邸から近い吉田山の周辺、とりわけくろ谷さん(金戒光明寺)への路は新緑が美しいと思います」

「緑は見ているだけでリフレッシュさせてくれますし、若返るような気さえします(笑)。仕事に追われてばかりではなく、ゆっくり散歩する時間をつくりたいものです」

庭イメージカット

また、5月は未生流笹岡の流花でもあるカキツバタが見頃を迎える時季。

深みのある紫の花色と瑞々しい緑の葉色のコントラストの美しさは、尾形光琳が『燕子花図屏風かきつばたずびょうぶ』に映し取ったことでも知られます。

2022.04.30

よみもの

特別展『燕子花図屏風の茶会-昭和12年5月の取り合わせ-』根津美術館 「きものでミュージアム」vol.10

古くから、色として最上位に位付けされている紫。かつて、中国の皇帝が己以外に使うことを禁じたとも伝わる色です。その高貴な色である紫の花を咲かせるカキツバタの気品は格別。

「京都にはカキツバタの名所がたくさんあります。ぜひ一度訪れてみてください」

今月のお家元―皐月の華やぐ思い出

家元正面カット

毎年、「老松」さんの夏柑糖をいただくと「夏が来るなぁ」と思います。

厳選された夏みかんの中身をくり抜いて、搾った果汁と寒天を合わせたものを皮の中に注いで固められた涼菓は、ほどよい酸味とほろ苦さが爽やかな逸品。

「老松」さんの夏柑糖

撮影:笹岡隆甫

その凛とした見た目、丁寧な手しごとが感じられる味わい、目に眩しいビタミンカラー……これほど、夏に似合う菓子はないのでは。物心つく前から愉しませていただいている初夏の美味です。

今年の販売期間は七夕頃まで。ぜひ一度、召し上がってみてください。

笹岡隆甫

2022.11.11

まなぶ

有職菓子御調進所 老松 ときじくのかぐのこのみ『大和橘』 「和菓子のデザインから」vol.3

2024.04.30

まなぶ

和の習い事を始めよう 「大久保信子さんのきもの練習帖」vol.20

2025.05.03

よみもの

初春の候 ―立春から雨水 「感じたい、七十二候」vol.7

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