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卯月、“百花の王”たる桜を愛でる 「未生流笹岡家元に学ぶ、華やぎあるくらし」vol.8

卯月、“百花の王”たる桜を愛でる 「未生流笹岡家元に学ぶ、華やぎあるくらし」vol.8

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固い蕾から葉桜まで、人々の心を浮き立たせる桜。華道家にとっても、やはり春はわくわくする季節のよう。舞台芸術としてのいけばなの可能性を追求する未生流笹岡家元・笹岡隆甫さんの作品を通して、春花の魅力に迫ります。

2025.03.14

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周年を祝ういけばなパフォーマンス

ハイアットリージェンシー京都の絢爛豪華な空間で2019年4月に開催された「亀田富染工場 創立百周年記念の会 亀百年会」にスペシャルゲストとして出演された家元。

同社が手掛けるアロハシャツブランド「Pagong」新作ファッションショーに、いけばなパフォーマンスで華を添えました。

その作品が、こちら。

4月の作品

「ブランドがもつ京友禅ならではの艶やかなイメージを表現するため、シンプルな白い花器から大きく枝を振り出した作品です。見る人の目を引く立派なシモクレンの苔むした太い枝ぶりを活かし、春を象徴するヤエザクラに、カスミソウ、オレンジ・赤・白のバラを加えて、カラフルにいけ上げました」

シモクレンがあまりに重く、花器に重石を入れてバランスを調整する作業は一苦労。もちろん、ぶっつけ本番というわけにはいきません。

「写真は、当日のリハーサルとして家元邸でいけたもの。本番に不具合がないよう、入念に準備していきました。何より気を遣うのは、開花調整です。

お祝いの場に華やぎを演出するためには、ある程度花が開いていて、約3時間のイベント中、緩やかな変化を愛でてもらえることが大事。本番まで花が元気でいてくれるか、細心の注意を払いました」

愛される枝垂桜のたおやかさと色気

「花」といえば――。かつては梅でしたが、いまでは桜を指すことはご存じのとおり。

「サクラは、豊かに艶やかにいけるのを良しとします。はんなりと優しい紅の色合いと流れるような枝ぶり……とくに、シダレザクラのたおやかさは印象的。

意外と粘りの強い木でもあるので、小説『細雪』の次女・幸子が愛した平安神宮神苑のシダレザクラを筆頭に、芯の強さを奥に秘めた京女を思わせる花でもあると思います。なかでも、ベニシダレの色気は格別ですね」

家元イメージカット

桜は、百花の王。ちなみに百花の長兄が、梅です。

「ウメは元来、屈曲した枝ぶりが持ち味です。それを活かしていけるもので、華道家にとって挑戦しがいのある花材ですね

うららかな花多き季節。

「花は足でいけろ、とはよく言ったもの。いけばなは自然の風景の縮図ですので、自らの足で山野をめぐり、自然の姿をよく観察することが大切です。

もちろん、花材を足で探し求めることもあります。ウメやモモ、サクラなど順に開く花々を求めて名所に足を運ぶのもおすすめですよ」

今月のお家元 ―卯月の華やぐ思い出

家元イメージカット

はしり、旬、名残……

食も花も季節の移ろいを愛でるのが、何よりのご馳走だと思います。

料理写真
料理写真
撮影:笹岡隆甫

先日「HANA吉兆」さんで、春の訪れを告げる筍を存分に堪能させていただきました。こちらは、日本料理の名店として知られる「京都吉兆」さんの味を気軽に愉しむことができる貴重なお店。子どもたちが小さかった頃、よく通いました。

お料理や心地よいおもてなしはもちろんですが、堀木エリ子さんが手掛ける和紙など、フロアに配置された現代アートが出迎えてくれるのも魅力です。

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