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着物の種類と初めての着物を「付け下げ」にするべき5つの理由

着物の種類と初めての着物を「付け下げ」にするべき5つの理由

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自分の着物が一着ほしいけど、何を選べば良いかわからないという人にこそおすすめしたいのが「付け下げ」です。付け下げは幅広いシーンで着用でき、帯や小物とのコーディネートを楽しむことができるオールマイティな着物。今回は、着物を一枚持つなら付け下げを選ぶべき5つの理由をご紹介します。

結婚や出産を期に着物の購入を考える方も多い

結婚や出産を期に、「着物を着る機会が増えそうだから、自分の着物が一枚ほしい」と考える方も多いのではないでしょうか。

しかし、はじめて着物を購入する方が悩まれるのが、どんな着物を選べばいいのか、ということ。

・着物に興味はあるがTPOなどなんだか難しそう
・着物のマナーやルールがわからずどれを選べば良いかわからない
予算にも収納場所にも限りがあるので幅広く使えるものを選びたい

といったことです。
できれば幅広いシーンで着られるオールマイティな一枚がいいですよね。
これらの悩みを解決することができる着物、それが「付け下げ」なのです。
普段はお洋服メインの方にも、すでに着物をお召しの方にも、すべての女性にぜひとも一枚はお持ちいただきたい「付け下げ」の魅力をご紹介します。

「付け下げ」とは?

付け下げ(つけさげ)とは、女性用の着物のひとつ。訪問着に比べてやや軽い印象の模様が特徴で、控えめながらもフォーマルな場にも適しています。

訪問着とは異なり、模様は縫い目をまたがず、反物の状態で柄付けされています。

訪問着ほど豪華ではないものの、上品で洗練された印象があり、お茶席や食事会、パーティーなどの準礼装として着用され、帯や小物の合わせ方次第で、幅広いシーンに対応できるのが特徴です。

着物の種類と初めての着物を「付け下げ」にするべき5つの理由

「付け下げ(つけさげ)」

「付け下げ(つけさげ)」とは、「振袖」や「留袖」「訪問着」などといった着物の種類のひとつで、訪問着に準じる着物の名称です。

付け下げはもともと、訪問着の豪華な印象を控えるように作られました。
戦時中の「贅沢品はご法度」という流れによって豪華な見た目の訪問着の着用が禁止となってしまい、その代わりとして付け下げが作られたと言われています。
そのため付け下げの見た目は訪問着よりも控えめで、訪問着の特徴である「流れるような絵羽模様」はない、もしくは、あっても軽めにされている場合がほとんどです。

基本的には「衿と肩」「上前身頃とおくみ」の模様がつながっていないものとされますが、昨今は訪問着に近しいものも創作されており、着物を着た状態だと「付け下げ」なのか「訪問着」なのか判別がつきにくいものも多くあります。
しかし、付け下げは「反物(生地を筒状に巻いたもの)」のまま染色され、販売時にも「反物」のまま店頭に並べられますので、店頭で「絵羽(着物の形状)」になっている訪問着とは見分けられるかと思います。

まとめますと「付け下げ」とは、下記の特徴を持っています。

・ 訪問着に準じる着物
・ 訪問着より模様が控えめな着物
・ 反物の状態で販売されている着物

それでは、この「付け下げ」のどこに利点があるのでしょうか。
ここでは、”一枚だけ着物を持つなら「付け下げ」をおすすめする理由”についてご紹介いたします。

① 付け下げは色無地と訪問着の利点を兼ね揃える

着物の種類

付け下げとよく比較される着物が「色無地(右)」と「訪問着(左)」です。

◆色無地(いろむじ)とは…

一色染めで地紋以外の柄のない着物を色無地と呼びます(黒色はのぞく)。
家紋入り(紋付き)であれば、略礼装としても着ることができます。
一方家紋がない場合は「小紋」と同等の扱いとなり、カジュアルな街着感覚でも着ることができます。
おさえた色彩・地紋の家紋入りの色無地であれば、黒やグレーの喪服用の帯を合わせて弔事にも着用することができます。

2019.12.26

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◆訪問着(ほうもんぎ)とは…

「絵羽模様」と呼ばれる、縫い目をまたいで柄が表された着物のことを指します。
はじめに生地を裁断して着物の状態に仮縫いし、その状態で一枚の絵のようにして下絵を描いた後、再びほどいて染目などの加工を施します。
まるで一枚の絵画のような柄づけで、フォーマルシーンにふさわしい、華やぎのある意匠が主流となっています。

主に親族以外で招かれる結婚式、披露宴や各種パーティー、オペラやクラシックコンサートなどの音楽鑑賞、歌舞伎などの観劇、あらたまったお食事会、初釜やお子様の入学式・卒業式の付き添いなど 、改まったシーンにふさわしい一枚です。
既婚者・独身者どちらでも着用することができます。

★訪問着に関する疑問を解決したい方は、こちらの記事も参考にご覧ください。

2020.11.11

まなぶ

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訪問着に近しい華やかな印象

上記の通り「色無地」も「訪問着」もそれぞれ幅広い着用シーンに対応できる着物ではありますが、「付け下げ」はその両方のメリットを持っています。

付け下げの柄付けの特徴は、無地場が多く訪問着よりも控えめなデザインであることが多いため、色無地のように控えた立場での装いにはぴったりです。
控えめながらも模様が入っているため、訪問着に近しい華やかな印象もあり、合わせる帯などで訪問着を着用するようなシーンにも対応できます。
また、訪問着と同様に未婚、既婚を問いません。

オールマイティな付下げ

お仕事関係の式典やお子様の入学式・卒業式の付き添いなど、手の込んだ豪華な訪問着では華美になりがちな場面もあるかと思います。そんな時に付け下げは、目立ち過ぎることのない装いになります。

付け下げは、幅広いシーンにふさわしく、控えめながら品格と華やかな様相を併せもつ着物なのです。

② 付け下げなら、幅広いTPOに対応できる

付け下げについて

付け下げは、合わせる帯や小物によって、フォーマルからカジュアルまで様々なTPOで着用することができます。

例えば、

・金銀糸を使った重厚な袋帯と礼装用の小物を合わせてフォーマルな場に
・趣味性の高い洒落袋帯を合わせて観劇に
・モダンで華やかな帯を合わせてパーティーに
・塩瀬や染め帯を合わせて気軽なおでかけに(名古屋帯もあわせることができます)

など、付け下げはその時々のニーズに合わせて、帯で格を上げたり下げたりすることができます。

式典、パーティー、祝賀会、新年会、七五三や入学式・卒業式の付き添い、ご挨拶回り、音楽鑑賞、観劇、お茶会、女子会、同窓会、お食事、お買い物など…
実に幅広いTPOに対応することができます。

★付け下げを卒園式・卒業式・入学式でフォーマルに着こなしたい方はこちらの記事も参考にご覧ください。

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③ 付け下げはコストパフォーマンスがいい

付け下げはコストパフォーマンスがいい

付け下げは、訪問着と異なり「反物」の状態で柄付けを計算し染色などの加工を行います。
工程としては訪問着よりも簡略化されているため、よりリーズナブルになる場合が多いです。
オケージョン対応のドレスやスーツをレンタルするコストと比べても、十分に手の届く価格で誂えることができる付け下げもあります。

昨今では、訪問着と見紛うような柄付けの付け下げも登場。逆に、あえて模様を少なくデザインされた訪問着もあります。そうなると、仕立て上がった状態ではほとんど見分けがつかないと言えるでしょう。
そのため「訪問着と付け下げの見分け方」を調べる方も多くいらっしゃいます。
それほど遜色が無いのなら、コストパフォーマンスのいい付け下げを選ぶのもひとつの賢い選択肢と言えます。

④「付け下げ」の値段の差はどこで分かる?

付け下げの価格差は主に、素材や染めの技法、柄の精緻さで決まります。

高価なものは正絹を用い、手描き友禅や金彩など手の込んだ技法が施されます。

一方、低価格な商品は柄もシンプルで、なかには化繊や機械染めが施されている場合も。品質面では、高級品ほど安心して格式ある場にも着用することができます。

また女性の人生に体型の変化はつきものですが、着物は洋服ほどサイズの影響を受けません。体重が増減しても身長や手の長さなどの骨格は変わりませんから、着付けの工夫で柔軟に対応ができます。大幅な体型の変化には、幅出しなど仕立て直しができるところも着物の利点です。

荷物を増やしたくないミニマリストの方にも、付け下げはぴったり。一着だけなら収納の場所も取りませんから、現代の住宅事情にマッチしています。

自分に似合う付け下げが一枚あれば帯や帯締め、帯揚げなどの小物を変えるだけで、ほとんどの場面で着ることができるため、あれこれ買い込む必要がありません。

付け下げは、着用の機会が多いだけでなく、費用対効果の高い着物とも言えます。

⑤ 付け下げは帯や小物で楽しめる!

様々なバッグ

付け下げは無地場が多くあっさりとした柄も多いので、帯や小物で印象を変えることができるのも魅力の一つ。

・ 季節感のある帯で楽しむ
・ 小物の色合いを変えて楽しむ
・ 帯合わせが難しい個性的な帯をメインにして楽しむ
・ トーンを揃えたシックな着こなしを楽しむ
・ 格の高い帯と気軽な帯を、TPOに合わせて変えて楽しむ

ベースがシンプルだと、コーディネートの自由度が高くなるのは和洋共通と言えるのではないでしょうか。
付け下げを洋装に例えるとすれば、上等なリトルブラックドレスと言えるでしょう。

無地場の多い付け下げなら、コーディネートを自在に楽しむことが出来ます。

⑥ 付け下げは年齢問わず長く着ることができる!

古典柄の付け下げ

付け下げの魅力は、飽きのこないあっさりとした柄付けです。
古典柄と呼ばれる伝統的な模様でしたら、流行を気にすることもなく、次の代にまで長く着ることができるでしょう。

どんな色を選べばいいか迷ったら、淡い地色をおすすめします。
クリームベージュや灰桜色、薄水色、裏葉色(淡いグリーン)など少し控えめな色を選ぶと、顔映りもよく年齢問わずに着られるでしょう。

自分の肌の色や個性に合った付け下げを選べば、歳を重ねても長く楽しむことができます。また、若い方は帯を華やかに、歳を重ねたら少し落ち着いた雰囲気の帯にするなど、年齢に合わせたコーディネートも可能になります。
着る人の年齢を問わないということは、親子や姉妹で共有することもできるということ。
コーディネート次第で、同じ着物とは思えないほど印象の差をつけることができます

初めての着物は付け下げを選んでみましょう

付け下げを味方に

現代女性の強い味方となってくれる「付け下げ」。
あらためてまとめますと、

・ 付け下げは、控えめでありながら品格と華を兼ね備える
・ 付け下げは、様々なシーンで幅広く着用できる
・ 付け下げは、コストパフォーマンスがいい
・ 付け下げは、帯や小物合わせの自由度が高い
・ 付け下げは、着用年齢を問わない

初めての着物選びに迷ったら、ぜひとも「付け下げ」を検討してみてはいかがでしょうか。

2020.03.19

まなぶ

令和の今!着物を着るべき4つの理由 ~調和と多様性、個性と発信~

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