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世の中の役に立つ企業をめざして【たかはしきもの工房・髙橋和江さん】「きくちいまがプロに聞くシリーズ」和装小物のギモンを解決! vol.10

世の中の役に立つ企業をめざして【たかはしきもの工房・髙橋和江さん】「きくちいまがプロに聞くシリーズ」和装小物のギモンを解決! vol.10

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こなれた和姿への近道、和装小物。たかはしきもの工房女将・髙橋和江さんに聞く最終回は、社員に寄り添いながら、気仙沼でモノづくりを続ける原動力についてです!

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世の中の役に立つ企業をめざして【たかはしきもの工房・髙橋和江さん】2

5回にわたって、きものインナーシリーズを製作している、たかはしきもの工房の社長・髙橋和江さんにインタビューさせていただいております。

今回は最終回。様々なモノづくりをするパワーは一体どこから生まれてくるのか、その原動力についてお聞きしました。

「ホワイト企業大賞」も受賞した、たかはしきもの工房の働き方

世の中の役に立つ企業をめざして【たかはしきもの工房・髙橋和江さん】3

たくさんの樹木に囲まれた二千坪の敷地には、自然光がたっぷり入る、明るい本社の他に、こぢんまりしながらも機能的なお店と、太陽光が安定するように北側にだけ窓が作られた「のこぎり屋根」の工場が並びます。

たかはしきもの工房
のこぎり屋根の工場

鳥がさえずり、四季の花が咲くその場所は、のどか、という言葉がぴったり。社員たちは毎朝、一日十分の読書をし、それから各々の仕事が始まります。

家庭の都合や体調などに合わせた働き方ができるように、シフトが細かく設定されており、なんと14通りの働き方があるのだとか。

社員に寄り添いながら、素晴らしいモノづくりをしているという姿勢が評価され、「ホワイト企業大賞」特別賞を連続で受賞しています。

「ホワイト企業大賞」特別賞を連続で受賞

せっかく生きているのならば、人を幸せにしたい

たかはしきもの工房女将・髙橋和江さん(左)と、きくちいまさん(右)

たかはしきもの工房女将・髙橋和江さん(左)と、きくちいまさん(右)

明るさ全開、パワー全開、朗らかという言葉は和江さんのためにある、と言っても過言ではありません。

「若くないのよ、わたし。六十歳を過ぎてから、大きな借金作って、大それた事をやっちゃったのよね」

と軽やかな口調で話してくださいました。

「3.11の震災のときは、それはそれは大変だった。もし震災がなかったら、今のような形にはなっていなかったと思います。震災の体験があったからこそ、今ではいざというときに備える体制も整いました」

元のお店は被災して、津波の被害に遭っています。

元のお店は被災して、津波の被害に遭っています。

「社員を守りたい、地域を元気にしたい、という気持ちが大きくなってきて、私にできることはなんだろうと思うようになりました。わたしたちは、たかだか東北の小さな町のメーカーです。でも、せっかく生きているのならば、人を幸せにしないなら意味がないじゃないですか。わたしは、誰かの役に立ちたいんです」

たかはしきもの工房女将・髙橋和江さん

とまっすぐな目で語る髙橋和江社長。

「必ずできる、なんとかなると思っちゃう。そして、なんとかなる、の後ろには、なんとかする、があるんです」

と言いながら、照れたような顔をして、根拠のない自信で笑っちゃいますよね、なんて謙遜しますが、そうじゃない。これは地域の雇用を守りながら、人々の役に立つモノづくりをしようとする覚悟が備わっている人にしか言えないセリフです。

大切な誰かを守りたいと思うことができる町、気仙沼

わたしたち取材撮影チームに、朗らかに挨拶してくれた感じのいい若い女性が、和江社長の娘さんでした。次の世代の後継者もしっかり育っている安心感もまた、この企業の良さですね。

後継者もしっかり育っている安心感もまた、この企業の良さ

「そうなんです。いつだってバトンタッチできる。だからこそできる、わたし自身の終末に向けてのビジョンがあるんですよ。だって、もう六十歳を過ぎたわけだし、だんだん遠くに出張するのも難しくなっていくと思うんですよ。

だからわたしは、いずれ気仙沼から出ないで、待っている人になりたい。着物を楽しむ人を増やすために、間口をもっと広くしたい。そのために、カフェも作りたいと思っています。みんなが癒される場所を作って、わたし自身が誰かの居場所になりたいんです」

みんなが癒される場所を作って、わたし自身が誰かの居場所になりたいんです

気仙沼は、宮城県の海沿いの最北端。ちょっと行ったら岩手県です。仙台空港からも仙台駅からも遠く、便利ですよとは簡単に言えない場所にあります。

ですが、時間と交通費をかけてでも、わたしは家族や友人など大切な人を全員もれなく連れて行きたい。それほど、行く価値のある場所です。

海の幸を堪能できて、大切な誰かを守りたいと思うことができる町、気仙沼。その高台にある、たかはしきもの工房。皆さんも、いつか行ってみてください。必ずいい旅になりますよ。

たかはしきもの工房を通して見えた気仙沼の風景

たかはしきもの工房女将・髙橋和江さん(左)と、きくちいまさん(右)

5回にわたってお伝えしてきました。実際に愛用しているグッズたちが作られている背景が見えてきて、気仙沼が少し近くなった気がします。

実際に行こうとしたら、山形からは車で片道3時間弱かかるんですけどね。でもやっぱり行きたい。行くならば、まずは和江社長が気仙沼にいるかどうか確認してから出発しなくては。

ここまで読んでくださった皆様、お付き合いありがとうございました。

撮影/伊藤美香子

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