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ミスコンを通して日本文化を世界へ 『ミス・スプラナショナルジャパン』ナショナルディレクター 「今、きもので輝くひと」vol.6

ミスコンを通して日本文化を世界へ― ミス・スプラナショナルジャパン ナショナルディレクター 清田彩さん 「今、きもので輝くひと」vol.6

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「ミス・スプラナショナル」日本大会の代表の清田彩さんをインタビュー。なぜ裏方の道を選び、どのような想いでこの大会を作っているか、きものに対する想いや美の定義、ミスコンを通して、日本文化を世界に発信し続けたいことなどをうかがいます。

元ファイナリストが発信する日本文化

世界5大ミスコンテストのひとつ、「ミス・スプラナショナル」。

2024年から日本大会の代表を務めているのが、元ファイナリストでもある清田彩さんです。

「ミス・スプラナショナルジャパン」ナショナルディレクター 清田彩さん

「ミス・スプラナショナルジャパン」ナショナルディレクター 清田彩さん

華やかな表舞台を経験した彼女が、なぜ裏方の道を選び、どのような想いでこの大会を作っているのでしょうか。

きものに対する想いや美の定義、そしてミスコンを通して、日本文化を世界に発信し続けたいことなどをうかがいました。

「その美しさは誰が決める?」

取材と撮影を行ったのは、「ミス・スプラナショナル・ジャパン2025」の大会当日。

清田さんはこの日、日本支部の代表として、大会の挨拶やトークショーなどの登壇を控えていました。

お客さまを迎えるという大役も務める大切な日の装いには、京都きもの市場の訪問着と帯、そして小物一式をセレクト。

目の覚めるような鮮やかなロイヤルブルーの地色に、立体感のある純白と銀糸で施された刺繍が華やかな訪問着。淡い色彩が織りなす七宝繋ぎの袋帯を合わせ、透明感のある雰囲気を添えて。

目鼻立ちの整った清田さんの美しさを際立たせる装いです。

自らも数多くのミスコンテストに出場経験のある清田さん。

「ミス・スプラナショナル」日本支社代表・清田彩さん。

元ファイナリストでもある清田彩さん

「ミス・スプラナショナル」のファイナリストの他に、「2018ミスピースクイーンアワード」では世界大会3位、そして「2019ミススーパータレントレディ」では、世界大会2位という輝かしい経歴を持っています。

彼女はなぜ、数々のミスコンテストに出場するようになったのでしょうか。

「幼いころ、テレビでミスコンテストのニュースを見て、『なぜこの人が選ばれたんだろう?』と思ったことがありました。私自身は、選ばれなかったもう一人の女性のほうがきれい、と感じたからです。美しさって誰かが勝手に決めていいの?と、美の基準と評価に疑問や違和感を抱きました。

人にはそれぞれの美しさがあるはずなのに、誰かが一方的に評価を下すことに対して、子ども心に疑問を持ったのだと思います。その答えが知りたくて、この世界に飛び込みました」

好奇心をきっかけに歩み始めたミスコンの世界。実際に身を置いてみると、想像していた世界とは異なっていたと言います。

透明感のある色彩の七宝繋ぎで織り上げられた袋帯を合わせ、華やかながらも、清らかな空気をまとった装いに

七宝繋ぎの袋帯は、透明感のある色彩が清らか。清田さんの雰囲気にもぴったり

選ばれる人の中には、日本人の一般的な好みの顔立ちとは異なることもあります。どういう基準で選ばれているのだろうと、疑問を感じる方も多いのではないでしょうか。私自身も、ミスコンで評価される美の基準に、不透明さを感じていましたから理解できます。

人によって“かわいい”を重視する人もいれば、“美しい”を評価の対象にする人もいますよね。

でも自分が出場するようになり、ステージに立ってはじめてわかったのは、見た目の美しさは”ひとつのパーツ”に過ぎない、ということでした。

それ以上に、鍛えられた身体、自信のあるウォーキングや立ち居振る舞い、そして自分を表現する力や内面からにじみ出るオーラのようなものが大きく評価されていたのです。外見だけではない、内面が問われる世界でした

内面が問われるミスコンテスト

スポットライトを浴びる立場から、照らす側のひとへ

世界大会という大舞台を経験し、華々しい賞を受賞してきた清田さん。女優やタレントなど、表舞台での活躍も選択肢にはあったはず。しかし彼女は表舞台から降り、運営側という裏方の立場を選びました。

お客さまを迎える主催者の立場として選んだ訪問着

主催者の立場として選んだ訪問着は、存在感がありながらも色数を抑え、爽やかな印象。お隣はこの大会で、浴衣の着付けをサポートする優里香さん

「ミスコンは私にとって、自分の人生を大きく変えてくれた場所です。だからこそ今度は、恩返しの気持ちで、自分の可能性を感じている女性にチャンスの場を提供したかったんです。

『ミス・スプラナショナル・ジャパン』の代表として、外見の美しさだけで評価されていない、ミスコンの奥深い美の世界を広め、評価の本質を多くの人に発信し、信頼できるミスコンテストを築きたいと考えています」

2023.12.14

よみもの

きものとわたしのエイジング

ファイナリストたちが自らの浴衣でパフォーマンス

彼女が代表になって2度目となる「ミス・スプラナショナル・ジャパン2025」の大会では、オープニングアクトに、浴衣を着てパフォーマンスをする演出を入れました。

浴衣でのオープニングアクト

撮影/中山ラミル

「せっかく日本で開催する大会です。YouTubeなどのソーシャルメディアで、世界に向けて発信することを考えたときに、出場者の魅力だけでなく、日本の文化もアピールしたいと考えました。

また、ファイナリストたちには、『日本を背負って世界に向かう』という日本人の誇りだけは忘れてほしくないと思っています。国際舞台では、一歩控えたしとやかさだけでは存在感を発揮しきれません。自らの魅力をアピールし、ポジションをつかみに行くという、タフな精神も求められます」

帯揚げ・帯締め

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いわば世界大会は、“涼しい顔で椅子を取りに行く”ような場所。静かな闘志を内に秘めながら、自分の魅力を確実に届ける力が必要です。だからどうしても、審査に求められる美しさを追求することになります。

けれど日本人としての美意識や思いやり、礼節など原点は忘れてほしくありません。浴衣にはそんな私の思いを込めました。

観覧される皆さまにも、日本文化の美しさを感じていただき、世界へ羽ばたくファイナリストたちを、誇らしく思っていただけたら嬉しいです」

2024.10.21

まなぶ

世界観を下支えした所作指導とは? 「エミー賞受賞!『SHOGUN 将軍』の座組から」vol.1 女優・こばやしあきこさん

「Kimono is crazy!」世界で評価される日本の魅力を信じて

日本の伝統や文化に敬意を払い、世界に広めたいという揺るがない思いで活動を続ける清田さん。

世界各国できものや浴衣をまとった経験から、多くのことを感じているそうです。

銀糸と白糸の立体感のある刺繍

銀糸と白糸の立体感のある刺繍に、地色のロイヤルブルーのコントラスト。眉目秀麗な清田さんの美しさを際立てます

「以前、ミスコンテストの世界大会出場のために滞在したホテルで、ポーランド代表の女性と同室だったことがあります。

彼女は、私が脱いだきものを見て、『How many tools do you use!?(そんなに道具を使っているの!?)』と驚いていました。

その後、他のファイナリストやスタッフに、『Kimono is crazy!(きものってすごいのよ!)』と、興奮気味に話していたことを覚えています」

「“Crazy”という言葉は、ネガティブな意味ではなく、信じられないほどすごいという、ポジティブな驚きから出た言葉。きものを着ている姿を見ただけではシンプルに見えたのでしょう。洋服のように着ることができるのだと思っていたのだと思います。

でも、実は丁寧で細やかな手順の積み重ねで着付けられていることに感動してくれたのではないでしょうか」

2025.02.07

よみもの

着物が連れて行ってくれる”思いもよらない場所” 「Magnificent KIMONO!」vol.13

日本支部の代表として大会に出席する際は、なるべくきものを選ぶようにしています。世界大会は出場者だけでなく、関係者も自国の印象を残すことが求められるからです。

きものを着ていると、再会した際に覚えていていただけることが非常に多いもの。きものには和の文化が凝縮されています。海外できものに袖を通すたびに、世界の人々にとって特異で魅力的に映っていることを感じています

上質なファッション

前クイーン(左)のドレスは白の打掛から制作されたもの

「世界でも有名なメゾンのデザイナーが、“本当に上質なファッションとは、会話のきっかけを生むもの”とおっしゃっていました。

まさにきものは言葉の壁を越え、文化や日本の精神を伝えてくれる力を秘めていると感じました。これからもきものとともに、日本文化の魅力を世界へ発信したいと思っています」

次回は、「ミス・スプラナショナル・ジャパン2025」で行われた浴衣でのオープニングパフォーマンスを中心に、大会の様子などをお伝えします。

ミス・スプラナショナル・ジャパン
清田彩さん

取材・文/笹本絵里
撮影/菅原有希子

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