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生き抜いてきているもの、
それこそクラシック。

『BALLET TheNewClassic 2024』という大事な公演前のお忙しい中、お時間をとっていただきありがとうございます。スタッフ一同ワクワクしています。

きもののモデルはずーっとやりたかったんです。
100の目標のうちのひとつなので、念願叶ってうれしいです。
きもののモデルをやりたいと思ったのは日本に帰ってきてからかな。歴史があるし、きれいだし、現代の生活の中ではとても不便なものなのに、みんなが憧れる。生き抜いてきているもの、それこそクラシックなのでとても興味があります。
それと、僕を応援して下さっている方の中に毎回演目に合わせた帯をしてきてくださる方がいて、素敵だなってずっと思っていました。

本当はやりたくないんですけど、
やりたくないことをやりたいなと。

やりたい役とか、行きたい場所とか、でしょうか?

やりたかったロミオ役は6年前くらいに叶ってしまいましたし、行きたい場所もだいぶ制覇しましたね。
去年かな、インドに行ったら”チャレンジングなことをする”のが好きになったんです。なので、次の目標はスカイダイビング(笑)。
本当はやりたくないんですけど、やりたくないことをやりたいなと。

インドに行ったら、チャレンジングな気質になってしまったのですね?

そうなんです。
『BALLET TheNewClassic 2024』もある意味そうで、もう、たいへん過ぎるし、挑戦すぎだなと思いながらも、やっぱりやりたくなっちゃうんです。

バレエには
これが美しいです
という美の基準があるんです。

『BALLET TheNewClassic 2024』では出演だけでなく舞踊監修もされていらっしゃいますね。

実際は舞踊監督に限らずさまざまなことをやっているので、海外含めダンサーとのやりとりとか、人との付き合い方みたいなものを学んでいますね。
バレエは総合芸術と言われるように、自分ひとりのチカラではできなくて、助けてくれる人たちにどう気持ちよく仕事してもらえるかがすごく大切。スタッフさんも出演者も『BALLET TheNewClassic 2024』にかける想いはそれぞれですし。

そういった経験、挑戦によって何か変化みたいなものは感じていますか?

バレエには「これが美しいです」という“美の基準”があるんです。
そこに収まろうと一生懸命がんばってきたんですが、いまは、それをどうやったら壊せるか、自分らしさをどう表現できるかというところにシフトしてきています。
やっとそんなフェーズに到達したかなという感じです。

きものにも通じますね。着慣れてくると、どう自分らしさを出すかという段階になります。

伝統文化ってそういうものですよね。自分らしさだけでいいのか、その先にどうなるのかわからないですけど……
5年後にはまた違うことを言っているかもしれません(笑)。

バレエダンサーは日々の身体づくりがとても大変なのではと思いますが、ルーティーンでなさっていることはありますか?

忙しくてできないこともありますが、普段は朝起きるとアイスバスに入って、瞑想して、ストレッチして……いいと言われることはいろいろやっていますね。食事も、お肉は食べないです。
そうですね、お肉は身体の中で炎症を起こすそうなので。アイスバスはアスリートの間ではかなり流行っていますね。瞑想は集中する時間をつくるためなのですが、編み物をしている時間もすごく集中できますね。
※ペスカタリアン(pescatarian)……肉類は食べないものの、魚介類は食べる菜食主義者

編み物をなさるんですか?!

ちょっとだけ。あと、ビーズとか。
小さい頃から折り紙も好きでしたし、手作業は好きですね。日本に帰ってきてから茶道や和裁など、和の習い事にも行きました。

茶道に和裁?! 意外な一面ですが、多才なのですね! 今日の浴衣は、堀内さんをイメージして染めてもらった綿紅梅です。とてもお似合いでした。着てみていかがでした?

墨流しという技法ははじめて知りましたが、おもしろいですね。手仕事の世界で、まさにオートクチュールですよね。
「こうやって着ないと見え方がよくないな」など、きもの姿での撮られる側の視点は考えたことがなかったので、新鮮でいろいろな学びがありました。

『BALLET TheNewClassic 2024』
現代の価値観で表現するバレエを。

初心者向けに『BALLET TheNewClassic 2024』の見どころを教えていただけますか?

バレエって台詞がないのでわかりづらいという方がいらっしゃるのですが、今回はガラ公演で特にストーリーがあるわけではないので、それぞれの視点で楽しんでいただければと思います。ファッションを見ていただくのもいいし、音楽が好きな方は音楽を楽しんでいただいて、もちろんバレエダンサーの表現力なども。肩肘張らずに好きなところを好きなように見ていただけたらと。

『BALLET TheNewClassic 2024』のコンセプトは「現代の価値観で表現するバレエ」ということですが、具体的にどのような趣向なのでしょう?

たとえば衣装があんなにキラキラしているのも200年前の照明下に必要だったから。今の時代はどうだろう?とか、格式ある王立バレエ団には壮大なフルオーケストラが似合うかもしれないけれど、そこをピアノとチェロだけにしてみたら?というような試みをやっています。
僕が普段スタジオで稽古するときはピアニストさんが弾いてくれるのですが、ピアノだけだとこんなにロマンチックなんだ!と気づいた瞬間があって。

そういう意味で新しい解釈ということなのですね。それはとても楽しみです!

お姫様と王子様だけじゃない世界。
照明もフォトグラファーの方が入っているので、ダンサーの肉体を照明でどうやってきれいに見せるかにこだわっています。陰影が強くでていたり。
いままでのバレエとは違うものを見ていただけるのではと思います。

誰かに何かを与えることができたら。

とくにファッションは趣向を凝らしたものだとか?

衣装、素敵ですよ!
今回は全部アップサイクルで、古い衣装にハサミを入れてパッチワークみたいに作り直したのですが、たぶん世界初なんじゃないかな。僕が小さい頃に着ていた衣装も箪笥から出して渡しました。
『BALLET TheNewClassic 2024』2幕はバレエブラン(全員白い衣装)で、デザイナーの方が僕の着る衣装は全部僕のものでつくってくれました。
小さい頃に母がお金も手間もかけてつくってくれた衣装を蘇らせ、プリンシパルになった僕が着る、というストーリーごと仕立ててくれて。

なんと! お母さまはさぞかし喜ばれたのではないでしょうか。

デザイナーさんから「お母さんが直した刺繡の跡とか、汗のシミとかって、どんなビジューよりも輝いていて価値があるんじゃないか」って。
それを隠すのではなく、デコレーションとして使いたいというのがあって、裏表逆に使ったり。すごく素敵にできました。

きものに通じるものがありますね! 最後に、バレエをやっていてよかったと思うことは?

祖母が観にきてくれたり、家族に喜んでもらえるのはとてもうれしいです。
それと、あるとき「スポーツ選手は何故あんなに高額報酬なのか」という話をしていたときに父が「打率や数字だけじゃなく、子供たちに夢を与えていることに価値があるんだ」と。
それはバレエにも言えることで、もちろん大人もですが、子供たちが何かを感じてくれたり、誰かに何かを与えることができたらうれしいなと思います。

今日はお話をうかがってすっかり堀内さんのファンになりました。公演を楽しみにしています。お忙しい中本当にありがとうございました!

堀内將平

堀内將平

東京都生まれ。
10歳よりバレエを始める。
2008年、ジョン・クランコ・スクールに留学。
2012年、ルーマニア国立バレエにファースト・ソリストとして入団。
2015年、「オーチャード・バレエ・ガラ~JAPANESE DANCERS~」に出演。
2015年8月、Kバレエ カンパニーにアーティストとして入団。
2016年9月ファースト・アーティスト、2017年9月ソリスト、2018年9月ファースト・ソリスト、2019年9月プリンシパル・ソリスト、2020年10月プリンシパルに昇格。
Kバレエ スクール ティーチャーズ・トレーニングコース修了。

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