半衿(はんえり)とは?着物との組み合わせ方・選び方や縫い付け方法まで解説
着物を着ると、意外と見られてしまうのが衿元。半衿が覗くのは少しだけ。ですが着物や年代にあったものを選ぶことで、より一層着物を引き立たせることができます。 いつも衿元を清潔に保つため、半衿のつけ方についても後半で解説します!
なかでも半衿は、対面した時に一番目線がいく顔~胸元の位置にあるため、とても重要なアイテムなのです。
半衿が美しく整っていると、全体の着物姿もシャッキリとしてみえます。
また、長襦袢の衿にかけて着物が汚れるのを防ぎ、衿元を彩る目的も果たします。
半衿の種類
時代劇などで見かけたことがあるかと思いますが、江戸時代の庶民は着物の衿に黒綸子やビロード生地の掛衿をしていました。
また、長襦袢の本衿の上からも必ず掛衿をつけています。
半幅の裂(キレ)を用いたところから「半衿」という名で呼ばれるようになりました。
半衿には、夏の薄物に合わせる夏の半衿とそれ以外の袷の着物に合わせる半衿の2種類があります。
夏の単衣には楊柳や絽縮緬、薄物には柔らかな風合いの絽、シャキッとした風合いの麻、透け感が涼しげな紗を合わせます。
袷の季節には、もっともポピュラーな塩瀬、やや暖かい季節に向く縮緬、ビロード素材のモールなど、季節にあった素材を選ぶことが衿元のおしゃれにつながります。
着物との組み合わせ
半衿といえば白が一般的ですが、それは刺繍半衿が贅沢品とされていた戦後から。
それでもやはり薄い色ほどフォーマルで、濃い色は普段着に合わせると覚えておくといいでしょう。
ただし、お茶席に着用する場合は白い半衿を選びます。
絣や紬、ウールなどのすこしくだけた雰囲気のある織りの着物には、木綿や趣味柄の生地を合わせるとより一層おしゃれな衿元を演出することができます。
半衿のおしゃれ
おしゃれな衿元とは実際にどんなものなのか、少し例をあげてみたいと思います。
顔色や肌色に合わせた色や素材選びも重要となります。
濃いオークル系の肌色には刺繍や縮緬など凹凸のある素材で、多色使いのものがお薦めです。
ややオークルよりの肌色にははっきりした色で光沢のある素材を、ピンク系の肌色にはどんな色でも素材でも合わせることができます。
年代別に見ると、40代には光沢のあるなめらかな質感の塩瀬や縦縞のふくれ織り、
50代には紋意匠の縮緬やふくれ織りが似合います。
60代以降には重量感のある縮緬が着物と肌をなじませる役割をしてくれます。
衿合わせについて
喉のくぼみを基準とし、V字の角度を深くしたり浅くしたりするだけで、着姿の印象を大きく左右します。
その重要性は、衿元の雰囲気で着る人の人柄を表すと言っても過言ではないほど。
衿の角度を横に深く合わせると若々しく可憐で軽快な雰囲気に、正装用や正統派の着付けには喉のくぼみの位置で合わせると品よく落ち着いた雰囲気になります。
また、衿の角度を大きく縦長に合わせると、粋でモダンな雰囲気が演出できます。
半衿の準備
この他にも、ワンタッチで取り外しできる美容衿や三河木綿などの衿芯を合わせて長襦袢に縫い付ける方法などがあります。
通気性の良いメッシュ製や衣紋を抜きやすい大きなカーブのある長尺船底型、
後ろの中心部分にくりを入れた長尺くり入りタイプ、カーブのない綸子の一文字型など様々な種類があります。
気になる堅さや用途に合わせて何種類か揃えておくと良いでしょう。
針や糸は手芸店などで手に入る一般的なものでも十分ですが、可能であれば和裁用のものを使用するとより一層美しく仕上げることができます。
ここでは、絹針と絹糸を使用して半衿をつけていきます。
縫う前に一度、使用する待ち針と縫い針の本数を確認しておきます。
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