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菊花を満喫する”重陽の節句” – 嵯峨御流「はじめましょう 花であそぶ節句」vol.4

旧暦の九月九日は、今でいうと10月の中頃。菊が咲く季節であり、重陽の節句は別名「菊の節句」とも呼ばれています。古来中国では、菊は霊力を持ち長寿の効能があるとされ、重陽の節句には菊の花を飾り、菊の花びらを浮かせたお酒(菊酒)を飲んで邪気祓いをしていました。

重陽の節句について

みなさま、「重陽(ちょうよう)の節句」をご存じでしたか?恥ずかしながら私はいけばなを習うまでこの節句のことを知りませんでした。

現在では3月3日や5月5日の節句の方が一般的ですが、昔は、重陽の節句は五節句のなかでも最も重要視されるお祝いだったようです。

五節句はいずれも「奇数」の日、さらに人日の節句(1月7日)以外はそれが重なる日となっているのは、中国の陰陽五行という思想に基づいています。

奇数の重なる月日は陽の気が強すぎて不吉なためそれを払う行事として節句が行われていたとも言われますし、また反対に、陽が重なり縁起が良いと言われることもあります。

そして九月九日の重陽の節句は、「9」が一桁の数のなかで最大の「陽=陽数の極(きわみ)」であること、またそれが重なる日として一番盛大にさまざまな行事が行われたようです。

菊の節句

菊の節句

旧暦の九月九日は、今でいうと10月の中頃。菊が咲く季節であり、重陽の節句は別名「菊の節句」とも呼ばれています。

古来中国では、菊は霊力を持ち長寿の効能があるとされ、重陽の節句には菊の花を飾り、菊の花びらを浮かせたお酒(菊酒)を飲んで邪気祓いをしていました。

また、日本独自の風習としては「菊の被綿(きせわた)」というものもあります。

まず重陽の節句前夜(9月8日)に菊の花を真綿で覆い、菊の香りを含んだ夜露を集めます。翌朝、その真綿で顔や体を拭うと長寿を保つとされていました。新暦になった現在では菊の花が咲くには早すぎてあまり周知されなくなったようですが、とても風流な習わしですね。旧暦の九月九日に試されるのも良いかもしれません。

重陽のいけばな

重陽の節句のいけばな

そのようなことで、重陽の節句のいけばなにはもちろん、菊をつかいます。

嵯峨御流の伝書には「重陽の花は菊五色を花器に挿る」と記されています。五色とは「白・黄・赤・青・黒色」で、白菊・黄菊・赤菊・葉を青・水を黒としています。

そして白菊・黄菊・赤菊それぞれの花の高さが混ざらないよう、白菊を一番高く、次に黄菊、一番下に赤菊となっています。

嵯峨御流では、お生花(おせいか)と言われるいけばなを作るときには、花の色の順番が決まっています。色の格が高い順番に「白→紫→黄→紅→赤」となっており、この順番を守ることが大切とされています。

こちらにのっとって、重陽の花も、格の高い色である白菊が一番上になるようにいけられています。

菊花の色で高さを分ける

もっと気軽に菊花を楽しむ

本格的な菊のシーズンには多くの品種の菊が花屋さんに並びとても美しいものですが、やはり新暦での九月九日は、菊のシーズンには少し早いですね。

それでも、小菊やピンポンマムなど年中売られている品種もありますので、菊の花が手に入らないということはないでしょう。

今回はご家庭でも気軽に楽しめるアレンジとして、「ペニセタム・木苺の葉・小菊」をとりあわせてみました。

気軽な菊のアレンジ

色の格を意識して、黄色の小菊は赤の小菊より少し上にいけてあります。

花器口にまとめる

ペニセタムを軽やかに高くして、小菊やその他の葉っぱなどで花器口をまとめると、動きのあるいけばなに仕上がります。

菊だけをいける場合は、葉の青々としたところも大切な美しさのひとつです。とはいえ葉が茂りすぎていると暑苦しく見えてしまうので、ところどころ整理すると見栄えが良くなります。

葉の整理を
菊は手折るのがポイント

菊は金属を嫌うので、ハサミで切るより手で折る方が花もちが良くなります。水換え時に茎を切り戻すときなども手折るようにしてみてください。

家庭で楽しむ重陽の節句

菊の花以外にも、栗ご飯や秋ナスなどを食べて重陽の節句を祝う風習もありますね。

近年では重陽の節句を祝うご家庭は少なくなったかと思いますが、節句は、古くからの習慣や物事のいわれを知る良い機会でもあります。

今年は、秋の味覚や菊の花で重陽の節句をお祝いしてみてはいかがでしょうか。

お月見とともに菊花を楽しむ

撮影/佐藤佑樹(Grit)

京都きもの市場 秋の色柄特集

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