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初夏の候 ―立夏から小満 「感じたい、七十二候」vol.10

初夏の候 ―立夏から小満 「感じたい、七十二候」vol.10

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今では夏がやってくる早さに合わせて、衣替えの六月より前倒しで衣服なども早めに替えるよう準備します。一竿だけの私の着物箪笥には、お直ししたものも含め単衣の着物が増えました。ちょっとばかり覚悟して暑さに備える気持ちでいます。

2025.04.08

よみもの

晩春の候 ―清明から穀雨 「感じたい、七十二候」vol.9

よみもの

岡田知子さんのコラム「ちょっとだけ、ていねいな暮らし」(全12回)

いよいよ夏がやってきます

あわただしく春が去り、いよいよ夏がやってきます。

年々厳しくなってゆく気候の変化に、自然界に生きる動植物はどうしているのでしょう?

天気予報がなくても、彼らなりに、かすかな気圧や温度差、日照や風の変化をキャッチして生命を繋いで活動する姿を、昔の人たちは季節の変化を知る導しるべにしていたことを、七十二候からうかがい知ることができます。

立夏のころ

立夏

二十四節気の「立夏」には、

蛙始鳴 かわずはじめてなく
蚯蚓出 みみずいずる
竹笋生たけのこしょうず

の三つの候があらわれます。

2023.04.11

まなぶ

立夏:暦のうえでの夏の始まり・単衣の季節の到来! 「二十四節気で楽しむ着物スタイル」

第十九侯/蛙始鳴 かわずはじめてなく 五月五日~九日ごろ

蛙始鳴

春先冬眠から覚めたカエルたちも動きが活発になり、お相手を探して盛んに鳴き始めるころです。

郷里の富山は米どころで、実家がある村を一歩出れば、周りは田んぼだらけ。蛙たちの鳴き声もよく聞こえてきます。夜彼らの大合唱を聞きながらお風呂の湯に浸かるひとときが私は大好きです。

第二十侯/蚯蚓出 みみずいずる 五月十日~十四日ごろ

蚯蚓出

カエルだけでなくミミズたちも、春に降った雨で柔らかくなった土の中で活発に動く時期です。

草むしりをしていると、私が地面に与える衝撃のせいか、ときどき勢いよくミミズが出てきてこちらがビックリすることがあります。

彼らが土の中のものをよく食べて耕してくれるおかげで、植物も元気に育ちます。

第二十一侯/竹笋生 たけのこしょうず 五月十五日~二十日ごろ

竹笋生

古くから人々の暮らしと密接な関わりを持つ竹。

その地下茎から生えて、土から顔を出すか出さないかの柔らかい新芽部分の筍を食べるようになったのはいつの時代からでしょうか。

スーパーでよく見かける孟宗竹もうそうちくは三月ごろから、真竹は五月ごろからが旬だそう。竹林のそこここで、収穫を逃れた若竹が、日に日に伸びてゆく姿が見られる季節です。

小満のころ

小満

二十四節気の「小満」には、

蚕起食桑かいこおきてくわをはむ
紅花栄べにばなさかう
麦秋至むぎのときいたる

の三つの候があらわれます。

2021.05.01

まなぶ

小満:新緑や五月雨をテーマに! 「二十四節気で楽しむ着物スタイル」

第二十二侯/蚕起食桑 かいこおきてくわをはむ 五月二十一日~二十五日ごろ

蚕起食桑

和装にとって欠かすことのできない絹糸。その糸を作るのが蚕蛾カイコガです。

小学生の時に、蚕をクラスで飼育し観察した経験をもつ方は多いと思いますが、蚕は人の手によって生きる家畜のような生きもので、江戸時代末期から明治の時代には、養蚕は日本のとても大きな産業でした。

この時期、卵から孵化した小さなお蚕さんが、与えられた桑の葉を食べて成長しはじめます。温度管理された場所で大事に育てられ、おそよ一ヶ月ほどで繭を作ります。

2024.03.12

まなぶ

節目の白絹 〜小説の中の着物〜 津村節子『絹扇』「徒然雨夜話ーつれづれ、あめのよばなしー」第三十四夜

第二十三侯/紅花栄 べにばなさかう 五月二十六日~三十日ごろ

紅花栄

最近は園芸用の切り花を見かけることも多くなりましたが、紅花は透明感ある赤い染料の素になる植物で、この時期から盛んに成長し、明るい橙色の花が咲くのはもう少し先の七月ごろです。

棘のある茎や葉の先に咲く花びらだけを朝早いうちに収穫します。別名「末摘花すえつむはなとも言われています。

手間隙をかけ、いくつもの工程を経て、貴重で高級な染料の原材料として出荷されます。

2022.09.16

まなぶ

紅色と黄色が優しい、紅花染めの置賜紬 「つむぎみち」 vol.10

第二十四侯/麦秋至 むぎのときいたる 五月三十一日~六月四日ごろ

麦秋至

麦秋とは、初夏に実る麦の刈り入れ時をあらわしています。

郷里の富山でも、稲作に代わって麦を育てている農家さんもあり、稲穂が青々しているのとは対照的に、黄金色の麦の穂が風に揺れていた光景を思い出します。

まれに麦の穂を描いた着物や帯を見かけることがありますが、初夏にふさわしい趣味性の高い装いになります。

夏がやってくる早さに合わせて、衣替えの準備を

暑さ寒さに無頓着だった子供のころ、着るものについては親まかせでしたが、当時とは違い、今では夏がやってくる早さに合わせて、衣替えの六月より前倒しで衣服なども早めに替えるよう準備します

一竿だけの私の着物箪笥には、お直ししたものも含め単衣の着物が増えました。ちょっとばかり覚悟して暑さに備える気持ちでいます。

2024.04.04

よみもの

単衣はいつから? 2024年版 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.82

2021.09.05

よみもの

単衣(ひとえ)の時期をスペシャルに 「花柳凜の、和でも洋でも美しく」vol.6

2022.05.24

まなぶ

草木の萌え出る皐月 「月々の文様ばなし」vol.2

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