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【対談番外編】映画作家 河瀨直美さん&着物家 伊藤仁美さん ――着物コーデは場とのセッション

【対談番外編】映画作家 河瀨直美さん&着物家 伊藤仁美さん ――着物コーデは場とのセッション

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建仁寺塔頭『両足院』で生まれ育った副住職の伊藤東凌さんと、姉である着物家・伊藤仁美さん。伊藤姉弟と映画作家・河瀨直美さんとの貴重な対談は現在公開中です。今回はその番外編として、河瀨監督こだわりの2コーデと仁美さんの着こなしに着目します。

2025.08.19

インタビュー

【対談】映画作家 河瀨直美さん×着物家 伊藤仁美さん ――着物はひとりで着るものじゃない。

河瀨監督の涼感あふれる、たおやかな着こなし

まずは、建仁寺塔頭両足院副住職・伊藤東凌さんとの対談時の衣装から。

監督着姿

涼しげな見た目と軽さが特徴の紋紗の着物は、春先から秋口まで着られる万能な一枚。

落ち着いた大人ピンクは、「洋服ではなかなか着ない色」とのこと。

「セルリアンタワー能楽堂で朗読をすることになって誂えた着物です。京都の白生地屋さんで、まず地模様のある白生地を購入し、それを大人ピンクに染めてもらいました。仕立ては友人の和裁士さんにお任せして、誂えました」

2025.07.30

インタビュー

【対談】映画作家 河瀨直美さん×両足院副住職 伊藤東凌さん ―「対話」は、愛。

監督着姿

合わせたのは、深緑の夏帯。ご近所にある呉服屋でデッドストックになっていた反物を特別に譲っていただいたもので、

「安い買い物ではなかったですが、なら国際映画祭のご褒美にと、思い切って仕立てました」

と監督が教えてくれました。吉兆を表す雲の文様にあるピンクが着物とリンクし、全体的に柔らかい印象の組み合わせです。

帯揚げは白で調和をとり、華やかさのなかにも落ち着いた雰囲気が漂う色合わせです。白と黄緑のツートンカラーの帯締めは、いただきもの。

帯回り

足元は、ない藤の草履。購入する際に、「どこに行ってもよろしいですよ」と言われた店ご自慢の品です。

何より撮影クルーが注目したのは、『向島めうがや』でオーダーメイドされた白足袋。こはぜに「なおみ」の名入れも!
足のサイズを測ってつくってもらう足袋は、着物沼民にとって憧れアイテムのひとつです。

足袋

「足袋はやっぱり5枚こはぜ!」と監督

この日のために選んだ仁美さんの寄り添いコーデ

続いて、伊藤仁美さんのお召し物はといえば――。

2ショット
仁美さん着姿

「監督がどんな衣装で来られるか愉しみにしてきました」

と笑った仁美さん。

「どんな色でも合うように、監督の着物と融合したときの面白さをイメージして選びました」

仁美さん後ろ姿

対談記事でもふれた、勝虫の帯。

「ずっとお会いしたかった監督とお話する機会を得て、この出会いが自分にも変化をもたらしてくれると思ったので、その気持ちを前にしか進めない縁起のいい柄に託しました」

2025.08.19

インタビュー

【対談】映画作家 河瀨直美さん×着物家 伊藤仁美さん ――着物はひとりで着るものじゃない。

仁美さん髪型

「心を開放してラフにトークを愉しめたらと思い、あえてかしこまらない気軽なヘアセットにしました」

と言った仁美さんは、外に出るときや人に会うときは着物をその身にまといます。

「羽織+スニーカー、対丈の着物+スニーカーといったカジュアルな着方をするときもありますよ。お着物はその多様性も魅力のひとつだと思います」

2025.07.18

インタビュー

温故知新ー日本の美と健康を巡るー

2025.07.07

エッセイ

現代衣歳時記

産地のものづくりを応援する監督の着物愛

仁美さんとの対談で監督が身にまとったのは、能登産の濃紺色の上布。

監督

たった一軒になってしまった工房で織られた涼やかな夏着物は、監督の佇まいをガラリと変えて、凛とした雰囲気がにじみ出ていました。

「産地ものは、自分へのご褒美」とにっこり。世界中を飛び回る監督が、この夏着物に袖を通すことができるのは、せいぜい年に1,2回といいます。

それでも、その技術や歴史を受け継ぐものづくりに携わる人々を応援したくて、ゆっくりとしたペースで求めたお気に入りの一枚です。

監督後ろ姿

帯は昨年、泥染めの工房へ足を運んで購入したもの。描かれているのは、監督のルーツでもある奄美大島原種ともいわれるコンロンカという花。

白い大きながく片に囲まれて黄色い星形の花が咲くさまが、中国・崑崙山に積もった雪に似ていることから名づけられました。

奄美大島では梅雨の風物詩ともいえる花で、奄美の自然を愛した日本画家・田中一村の作品でも知られます。

2025.07.07

おでかけ

『田中一村展 奄美の光 魂の絵画』 東京都美術館 「きものでミュージアム」vol.38

監督のアクセサリー

さりげないゴールドの耳飾りで艶のある上品さを演出

残念ながら出番のなかった控えコーデも拝見!

撮影ギリギリまで悩みに悩んでいたもう一枚の着物がこちら。

着物

人間国宝の染織家・志村ふくみさんが手がけたもので、ご縁のあった石牟礼道子さんから譲り受けた紬です。

2025.07.07

おでかけ

『志村ふくみ 100 歳記念 ―《秋霞》から《野の果て》まで―』大倉集古館 「きものでミュージアム」vol.40

帯合わせ

落ち着いた風合いで、少し派手な帯でも受け止めてしまえる懐の深い一枚。

例えば、琉球紅型・城間栄順氏の藍型えーがたを合わせても素敵では。沖縄の海を思わせるような色味が、涼風を届けてくれるような組み合わせです。

2025.07.07

おでかけ

城間栄順 米寿記念 「紅(いろ)の衣」展 沖縄・京都に続き、東京へ―

2025.07.07

カルチャー

バイヤー野瀬の、きもの産地巡り

帯合わせ

雰囲気を変えて、紅型工房べにきちの「南国花模様」と名付けられたカラフルな南国柄の帯を主役に据えたコーディネートも。

もちろん、前述のコンロンカの帯でも調和の取れた印象に。まさしく、「着物一枚に帯三本」。着こなしの幅を広げてくれる上質な着物です。

またいつか、この着物をお召しになった監督にもご登場いただける日が来ることを願って――。

ご案内

映画・芸術・文化を愛するすべての人へ! 次世代が創る「なら国際映画祭 for Youth 2025」9/21~23開催

NPO法人なら国際映画祭(所在地:奈良県奈良市、理事長:河瀨直美)は、10代のユース世代が中心となって創り上げる映画祭「なら国際映画祭 for Youth 2025」を 2025年9月21日(日)から23日(火・祝)に開催いたします。9月22日(月)には、大阪・関西万博シグネチャーパビリオン「いのちのあかし」にて、 今年度のユース映画制作ワークショップで創られた最新作『縁 en』、NARAtive jrから『やまのべRadio』の2作品、9月21日(日)、23日(火・祝)は奈良公園バスターミナルホールで2作品に加えベルリン国際映画祭から3作品、ショートショート フィルムフェスティバル & アジアの受賞作から5作品を上映いたします。

なら国際映画祭 for Youth 2025

なら国際映画祭 for Youth 2025

「なら国際映画祭 for Youth」とは
未来の映画人・表現者の育成を目的にした「なら国際映画祭 for Youth」は、2018年のユース審査員プロジェクトを皮切りに、2021年から毎年開催されています。現在は10代のユース世代が映画制作・審査・運営のすべてに携わり、「ユース映画制作ワークショップ」「ユース映画審査員」「ユースシネマインターン」の3つの柱で実施されています。
なら国際映画祭
「なら国際映画祭」は奈良の平城遷都1300年目となる2010年、映画作家の河瀨直美をエグゼクティブディレクターに迎え始まりました。2年に1回開催される映画祭の企画運営の他、毎年開催、未来の映画人を育成する「なら国際映画祭for Youth」国内外の若手監督と奈良を舞台とした映画を企画・製作する「NARAtive」など、映画の魅力を伝える数々のプロジェクトを実施しています。
公式HP:https://nara-iff.jp

【映画祭を支える3つのユースプログラム】

1. ユース映画制作ワークショップ

2025年のユース映画制作ワークショップの様子

2025年のユース映画制作ワークショップの様子

「子どもを子ども扱いしない」という理念のもと、脚本・撮影・演出・編集までをユースのみで行うプログラムです。
2025年は映画監督・島田角栄氏を特別講師に迎え、14歳から17歳までの4名が参加し短編映画「縁 en」を制作しました。

2. ユース映画審査員

2024年のユースシネマ審査員

2024年のユースシネマ審査員

【長編部門】ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門推薦作3作品
【短編部門】 「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2025受賞作品セレクション」5作品

上記2部門をユース審査員が審査。
最終日のクロージングでは、最優秀作品「クリスタルSHIKA賞」を発表します。

3. ユースシネマインターン
映画祭実行委員会と共に運営に携わり、受付や会場運営、広報活動などをサポート。
映画祭の裏側を体験します。

【大阪・関西万博 奈良県ウィーク】
大阪・関西万博 奈良県ウィーク第三弾「ALL NARA HARMONY」として、9/12(金)〜9/25(木)「Dialogue Theater - いのちのあかし -」と奈良県・各市町村がコラボレーションを実施。
「ALL NARA HARMONY」概要:https://expo2025.pref.nara.jp/

9/22(月)には今年度のなら国際映画祭ユース映画制作ワークショップの作品『縁 en』と、18歳から24歳までの若者が監督となり短編映画を制作する「NARAtive Jr.(ナラティブジュニア)」作品『やまのべ radio』の上映・舞台挨拶を予定しています。詳細や申込方法は公式HP、SNS等で発表いたします。※上映会は入場無料ですが、別途万博会場への入場券が必要となります。

「縁 en」 監督・脚本:井上楽斎・前尾奈佑・山田梨乃・中越菊央 |2025年 |日本
「やまのべRadio」 監督:小松頼礼| 2025年 |日本

【珠玉の8作品、日本初上映を含むラインナップの一部をご紹介!】
映画制作、審査、運営プロジェクトはユース世代が対象ですが、9月21日(日)、23日(火・祝)に奈良公園バスターミナルホールで開催される上映プログラムは 映画や芸術、文化に関心のある幅広い世代に開かれたラインナップです。今年もベルリン国際映画祭やショートショート フィルムフェスティバル & アジアの受賞作など、 日本/関西ではなかなか観ることができない珠玉の8作品をお楽しみいただけます。全上映作品のラインナップ・詳細は9月頭に公式プレスリリース、ホームページにて公開いたします。 1つのプログラムが1,000円、「地元割引」として、奈良県在住の方は2本目を無料でご鑑賞いただけます。ユース制作『縁 en』は無料上映です。

ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門選出作 (日本初上映含む3作品)

最高賞は金熊賞と言われる。熊がベルリン市の紋章であることにちなむ。

最高賞は金熊賞と言われる。熊がベルリン市の紋章であることにちなむ。

ベルリン国際映画祭はドイツ・ベルリンで毎年2月に開催される世界三大映画祭の一つで、世界中から集まる最新映画や新鋭監督の作品を紹介する国際的な映画祭です。

映画界の登竜門としても知られ、多様性や社会性の高い作品にスポットを当てています。

なら国際映画祭のオフィシャルパートナー「ベルリン国際映画祭・ジェネレーション部門」から3作品を上映いたします。

■「ヴィレッジ・ ロックスターズ 2」
監督・脚本:リマ・ダス|108分|2024年|インド、シンガポール、中国

■「海辺へ行く道」
監督・脚本:横浜聡子|141分|2025年|日本|©︎2025 映画「海辺へ行く道」製作委員会  
公式サイト:https://umibe-movie.jp/

■「テット・ブリュレ 」
監督・脚本:マヤ=アジミア・イデ・ゼラマ|84分|2025年|ベルギー

ショートショート フィルムフェスティバル & アジア 2025受賞作品セレクション

アジア最大級の国際短編映画祭

アジア最大級の国際短編映画祭

米国アカデミー賞公認・アジア最大級の国際短編映画祭、ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(略称:SSFF & ASIA) 2025年受賞作品より短編5作品を1つのプログラムで上映いたします。

【開催概要】
イベント名:なら国際映画祭 for Youth 2025
会期・会場:2025年9月21日(日)、23日(火・祝)
奈良公園バスターミナルレクチャーホール(奈良県奈良市登大路町76)
2025年9月22日(月)
大阪・関西万博シグネチャーパビリオン「いのちのあかし」
料金:1プログラム1,000円 
チケット:https://niff2025youth.peatix.com/

※奈良県在住の方は2本目を無料でご鑑賞をお申し込みできます。
※「いのちのあかし」上映会は入場無料ですが、別途万博会場への入場券が必要となります。

【運営団体概要】特定非営利活動法人なら国際映画祭

ロゴマークは天平の甍 に由来

ロゴマークは天平の甍 に由来

所在地:〒630-8241 
奈良市高天町45番地 アート福住ビル2階 組画内
事業内容:映画祭の企画・運営
設立:2010年

HP:https://nara-iff.jp
Instagram:https://www.instagram.com/naraiffnaraiff/
Instagram(ユース):https://www.instagram.com/naraiffforyouth/
X:https://x.com/naraiffnaraiff

ふるさと納税:https://www.city.nara.lg.jp/site/furusato/59574.html

協力 奈良県の映画文化再興実行委員会
助成 奈良市心のふるさと応援寄附魅力発信パートナー支援団体補助事業

取材・構成/椿屋
撮影/松村シナ
撮影協力/建仁寺塔頭 両足院

2025.01.02

インタビュー

「対話」を通して分断を超えたい― 映画作家 河瀨直美さん(前編)

2025.07.17

インタビュー

【対談】映画作家 河瀨直美さん × 東大寺塔頭宝珠院住職夫人 着付士 佐保山素子さん ―語り尽くせぬ、奈良への愛。

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