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祇園甲部の芸妓・舞妓が華やかに舞う、『都をどり』の魅力に迫る!

祇園甲部の芸妓・舞妓が華やかに舞う、『都をどり』の魅力に迫る!

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京の春の風物詩『都をどり』が始まりました。約50名の祇園甲部芸妓・舞妓らが京都の名所を背景に舞う「都風情四季彩」の歴史と見どころをご紹介します。

2025.02.15

よみもの

令和の芸舞妓図鑑

「チェリーダンス」として世界にも知られる京の春の風物詩

京のまちに春の訪れを告げる『都をどり』は、毎年4月のひと月間かけて行われる祇園甲部芸妓・舞妓の舞の公演です。

©祇園甲部歌舞会

©祇園甲部歌舞会
「第1景 置歌」の一場面。衣裳調整は大丸

明治5年、第一回京都博覧会の附博覧つけはくらん(アトラクション)として創始され、2024年に記念すべき150回目の節目を迎えました。

長い歴史のなかで戦中戦後の6年間とコロナ禍を除き、毎年必ず上演されてきた伝統的なイベントで、皇太子時代の今上天皇陛下をはじめ、谷崎潤一郎・夏目漱石などの著名人らに愛されてきた舞台です。

通常はお座敷でしか会うことの叶わない芸妓・舞妓の舞を、誰もが気軽に鑑賞することができる貴重な機会でもあります。

70万人超のフォロワー数を誇るキモノインフルエンサー・りょうたす。さんも、『都をどり』に魅せられたひとり。なんと、今年は全通(貸切日を除く29日)を目標に、1か月間京都に住まうそう!

※全通……ライブやイベントなど複数回開催される公演にすべて参加すること

2024.12.08

インタビュー

フォロワー数70万人の”きもの男子” キモノインフルエンサー りょうたす。さん

毎年テーマが変わることでも知られる『都をどり』の今年の演目は、題して「都風情四季彩みやこのふぜいしきのいろどり」。

記念すべき150回目を無事に終え、次なる大きな節目となる創始200年に向けて、いま一度原点に立ち返り、四季折々の京都の名所をめぐる全8景の構成になっています。

©祇園甲部歌舞会

©祇園甲部歌舞会
「第5景 牛若弁慶五条橋出会」の一場面。衣裳調整は高島屋、小林衣裳店

©祇園甲部歌舞会

©祇園甲部歌舞会
谷崎潤一郎著『細雪』にも登場する平安神宮の紅枝垂を背景に、華やかなフィナーレとなる「第8景 平安神宮桜雲」

『都をどり』といえば、「ヨーイヤサァー」の掛け声が幕開けを告げ、揃いの明るい浅葱色あさぎいろの着物で一斉に登場する総をどりが有名です。

20人の踊り子(芸妓・舞妓)、演奏を担う地方じかた(芸妓)、鳴り物(お囃子)の息の合った舞の洗練された華やかさを、ぜひ劇場で体感してください。

「大ざらえ」を直前に控えた囲み取材にて

ひと月にもわたる公演の幕開けを前に、3月31日に「大ざらえ」(最終リハーサル)が行われました。

囲み取材に登場されたのは、『都をどり』の振付・指導を行っている京舞井上流家元五世井上八千代さんと、令和5年に引き続き令和6年も売花奨励賞1等賞に輝いた舞妓・柚子葉さん、今回初舞台を踏む舞妓・佳つ若さん。

©祇園甲部歌舞会

©祇園甲部歌舞会
左から、井上八千代さん、柚子葉さん、佳つ若さん。2024年NHK大河ドラマ『光る君へ』の衣裳デザインを担当された諫山宝樹氏が手掛けたポスターと共に

記者から見どころを訊かれると、「揃いの衣裳と舞が圧巻どす」と、初舞台の初々しさが感じられる佳つ若さんから。

今年5月末に衿替えを控えた柚子葉さんは「総をどりの華やかな花道では、高さや手の角度もきっちり揃えるのが難しおす」と答え、だからこその美しさを観てほしいとアピールしました。

©祇園甲部歌舞会

©祇園甲部歌舞会
「第2景 梅宮大社梅花盛」は、今年の恵方・西南西にあたる梅宮大社を背景とした一景。『都をどり』は一度も幕を下ろすことなく行われる場面転換も特徴

ふたりの言葉を受けて、「1景の最初に出演者が東西の花道から登場し、初めて立ち止まるまでに43歩です。この43歩を整然と歩く時間を長いと感じさせないよう、基本に戻ってしっかりとした姿勢で花道を進むように指導しています」と井上八千代さん。

「立方だけやのうて、地方や鳴り物、その他のスタッフ、皆の力が結集してこその『都をどり』。何度もお越しいただいている方には京都の良さを再発見してもらい、初めてお越しの方には京都にはこんなにも良いところがあると知ってもらえる舞台になっていると思います。一時間があっという間に過ぎたと感じてもらえたら嬉しいですね」

2025.01.05

まなぶ

日本舞踊の愉しみ

2025年度版「総をどり」着物&帯を解説!

芸妓・舞妓が群舞によって京都の名所を紹介する「総をどり」の揃いの衣裳は、毎年の演目に合わせて京友禅の着物と西陣織の帯で誂えられます。

©祇園甲部歌舞会

©祇園甲部歌舞会
「総をどり」の踊り子の髪には桜と柳の簪。第一回から変わらない意匠で手掛けるのは、江戸末期から芸妓・舞妓の花簪・髪飾りを製造販売する金竹堂

今年の着物は、蛤と波頭を中心に四季の草花がちりばめられた「蛤四季図はまぐりしきずです。

平安時代から貝覆かいおおい(貝合)という遊びに用いられ、いまでも婚礼の料理に欠かせない蛤貝は、噛み合わせに強い歯をもち、他の殻とは合致しないことから夫婦円満の吉祥文様として愛されてきた縁起の良いモチーフ。肩口から咲き誇る枝垂桜は、毎年受け継がれている伝統的な図柄です。

帯は「桜梅彩華文おうばいさいかもん」。

梅と桜の文様が重ね合わせられ、それぞれの花が咲き誇るイメージを表現しています。梅と桜を繋ぐ七宝文に、ご縁が末永く続くようにとの願いが込められているのです。

©祇園甲部歌舞会

©祇園甲部歌舞会
毎年新調される衣裳に加えて、歌詞も毎年書き下ろされている。手掛けるのは、前同志社大学長の文学部教授植木朝子氏

『都をどり』は、その華やかな衣裳を眺めるだけでも心が浮き立つ舞台です。舞に詳しくないからと気後れせず、ぜひ一度生でご覧になってみてください。

その際、おすすめなのは茶券付一等観覧券。公演前に立礼式の點茶(お茶席)にて、京風島田髷を結って黒紋付の衿裏返しという正装姿の芸妓が披露するお点前を間近で観ることができます。

“団子皿”の愛称で知られる「提灯つなぎ」柄の皿は持ち帰ることができるので、観劇の記念にぜひ。いろんな色を集めるのもまた一興です。

第1景 置歌

©祇園甲部歌舞会

2024.12.23

インタビュー

書にも、衣裳のような装いがある─ 書道家 根本知さん(前編)

開催概要

令和七年 第百五十一回公演『都をどり』
会期:2025年4月1日(火)~4月30日(水) ※4月15日は休演日となります
   1日3回公演(各公演約1時間)
   1回目12:30~/2回目14:30~/3回目16:30~
会場:祇園甲部歌舞練場(〒605-0074 京都府京都市東山区祇󠄀園町南側570-2)
料金:【観劇チケット(全席指定・税込)】
   ・茶券付一等観覧席 7,000円
   ・一等観覧席 6,000円
   ・二等観覧席 4,000円
   ・学生料金(二等席限定) 2,000円
   ※公演プログラム 1,000円

●主催:学校法人八坂女紅場学園・祇園甲部歌舞会
●協力:公益社団法人京都市観光協会
●電話番号:075-541-3391
●公式HP: https://miyako-odori.jp/miyako/
●公式X(旧Twitter): https://x.com/Miyako_Odori?s=20(@Miyako_Odori)
●公式Instagram:https://www.instagram.com/miyako_odori/ (@miyako_odori)
●公式facebook: https://www.facebook.com/miyako.odori/
●公式Youtube: https://www.youtube.com/channel/UCXuWQtHcPSr68DoexRPvmKQ

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