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『KOTOWA』注目の和洋兼用コートがいよいよ最終章! 「きものと編集部の注目アイテム」vol.3

『KOTOWA』注目の和洋兼用コートがいよいよ最終章! 「きものと編集部の注目アイテム」vol.3

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きものとファッションに精通した3人の女性が手がけることで話題となった『KOTOWA』の和洋兼用コート「duo coat」。1stシーズンの良さを踏襲しつつもさまざまな要望を取り入れヴァージョンアップした2ndシーズンの受注がまもなく終了。コートラインは今季でひとくぎりとなります。

2024.03.12

よみもの

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きもの好きを唸らせた和洋兼用コートの2ndシーズン!

今回ご紹介するのは、昨年1月にリリースされ、話題を呼んだ『KOTOWA(コトワ)』の和洋兼用コート「duo coat(デュオコート)」の新作です。

『KOTOWA』は2023年冬、きものとファッションをこよなく愛する3人の女性によって立ち上げられました

発起人となったのは、雑誌『きものSalon』で20年にわたりエディター兼ライターとして携わっている樺澤貴子さん。

樺澤貴子さん

樺澤貴子さん

企業ブランディングや商品企画も手がける中で、樺澤さんは、

「きもの業界も時代に合わせて変わってきてはいるものの、どうしてずっと同じままなんだろうと思う部分が多々あった」

と言います。

特に以前から気になっていたのが、コートの問題。

近年は和洋兼用コートが主流になりつつありますが、結局は洋服メインで抜き衣紋に対応した構造になっていなかったり、マントタイプだと風が入ってきて寒かったりと、色々な面で不便さを感じていたそう。

そこで、

「ブランドを立ち上げて、本当に欲しい和洋兼用コートを作ろう!」

と思いたち、声をかけたのが、久山美樹さんとマドモアゼル・ユリアさんでした。

久山美樹さん

久山美樹さん

子供の頃からきものが好きで、美術大学時代の友達を通じて知り合ったご友人と、卒業後に着付け教室を立ち上げた久山さん。

そこで出会った生徒さんたちの要望をもとに和洋兼用のクラッチバックを制作したことをきっかけに、浴衣や着物、和装雑貨などを展開するオリジナルブランド『KAGUWA』を展開。

樺澤さんとは10年来の仲で、もともとご自身もコートを作りたいと思っていたことから参画することになりました。現在は長年にわたるものづくりの経験を生かし、生産管理やECサイトの運営、小売店への営業などでブランドに関わっています。

一方のユリアさんは、DJ兼シンガー。世界から注目される、きものスタイリストでもあり、「きものと」にも何度かご登場いただいています。

ブランドアイコンとしてはもちろん、デザインも担当されたというユリアさん。

いろいろな時代のファッション画像を収集するなか、1950年代の、ディオールをはじめとするメゾンのコートの形を見ていた時に「コクーンシルエットは帯を収納できて裾すぼまりになっているので、着物のコートにぴったりかもしれない!」と思ったのがデザインの始まりだと言います。

「とてもクラシックなデザインで着物はもちろん洋服にも合わせやすく、私自身、今シーズンは和洋問わずこのコートを1番着ています。

着物を着たときに重いものを羽織るのは絶対にイヤなので、『素材の軽さ』にもかなりこだわりました。

長く着ていただけると思いますし、自分で言うのもなんですが、すごく良い商品ができたと思っています!」

2024.07.16

まなぶ

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より幅広い層のおしゃれ心に寄り添った新作

和装でも洋装でもお洒落を愉しめるコートを作るにあたって、樺澤さんたちが特にこだわったのが、衿と袖

衿に関しては、1950年代のオートクチュールのエスプリを取り入れたビッグシルエットに。

「パタンナーさんが、着物の抜き衣紋にも寄り添い、なおかつ洋服でも違和感なく着られる絶妙なバランスをパターンに起こしてくれた」と樺澤さんは言います。

さらに嬉しいのが、隠しボタンで襟を詰めても着られる2way仕様。

ビックシルエット衿は後ろから見ても可愛い

ビックシルエット衿は後ろから見ても可愛い

ボタンを上まで留めると、立ち上がった衿がマフラー代わりになり、寒さをしのぐことができます。「寒いのは嫌だけど、荷物は増やしたくない……」という、まさに痒いところに手が届く優れものです。

袖口は、スリムなシルエットでありながら、きものの袂が収まりやすくシワにならない形を目指しました。

とはいえ、ドルマンスリーブにしてしまうと、腕を上げた時に生地が突っ張ってしまい、動きにくいのが不便……

そこで、フロントは一般的なセットインスリーブですっきりとしたフォルムに見せつつ、バックスタイルはラグランスリーブを採用し、可動域の広さと袂の収まりやすさを実現しました。

ストラップのボタンを閉めると、さらにキュッとした袖口に

やわらかものを着た時に袖口から袂が出てきてしまわないように、ストラップも配置。風も入ってこないので冬でもあたたかいだけではなく、コーディネートのアクセントにもなります。

そんなこだわりを詰め込んだデュオコート。

最初のシーズンでは、「幅広い世代の方に楽しんでほしい」という想いのもと、ベーシックで奥行きのあるブラックと、上品なヘリンボーン柄のグレーの2タイプを展開しました。

「第1弾の時は想像以上の反響があり、みなさんもすごく求めていたんだ!ということを感じました」と樺澤さん。

一方で、「Sサイズがあれば…」「カシミアだったら買うのに」「淡い色が欲しい」といった要望が寄せられ、それらをすべて叶えたのが今回の2ndシーズン。

ダークブラウン、ペールグレー、カーキの3色展開にて、前回はMとLのみでしたが、より小柄な方に向けたSサイズも追加されました。

どんなきものにも合う優しい色味のペールグレーは、タテ糸にシルク100%の紬糸と紡毛ウールの撚糸を、ヨコ糸にループ糸を使用したツイード素材で高級感が漂います。

ダークブラウンは要望の多かったカシミア素材に。黒よりも柔らかな艶めきを放つ深みの色会いでこなれ感を演出してくれます。

人と差をつけたいおしゃれ上級者さんには、珍しいカーキがおすすめ。カーキをベースに、ブルー系やベージュ、オレンジ、ブラウン系など多彩な糸が織り込まれている奥行きのある一枚。すでにデュオコートをお持ちの方も、こちらのカラーでしたらまた違った印象に。

パターンは前シーズンのものを踏襲。購入した方から評判だった軽さは維持したまま、ラインナップが広がり、より自分らしいおしゃれを楽しめるようになりました。

ポケットの内側は天然ウール素材で手を入れるとあったか

上から手が差し込める大きなポケットもユリアさんの発案。小さめのバックを持つことが多い和装の際に、携帯電話やちょっとした小物をたくさん入れられるのがうれしい。内側には、手を入れた際にあたたかなアルパカの毛が

想いを叶える新たなものづくりも進行中

「着物も洋服も、“装う“という美意識に関しては、そんなに変わらないと思っています。『これしかないから……』と身につけるのではなく、『これがいい!』と積極的に身に付けたくなるアイテムがあるだけで、おしゃれがぐんと楽しくなる。きものもそういう風に楽しめたら、もっと日常に馴染んでいくと思うんですよね」

と、樺澤さん。

ユリアさんからは、

「着物がみなさんのワードローブの選択肢のひとつになったら良いなぁと思って、日々、着物にまつわる活動をしています。だからこそ洋服と着物を繋ぐアイテムはとても大事だと思っています。『KOTOWA』ではそういうものづくりをしていきたいですし、私自身がそういう存在でもありたいなと思っています

というメッセージも。

KOTOWA「duo coat」(pale gray)

そんな想いから生まれた、きもの好きの心の機微に刺さるデュオコート。昨年から年に一度、受注生産してきたこのシリーズは今季でひとくぎりだそう。

しかしながら、

「きものが好きな一人として普段から感じていることを反映させ、『そうそう、これが欲しかったの!』とみなさんに共感していただけるアイテムを今後も作っていけたらと思っているので、ぜひ楽しみにしていてください!」

と久山さん。

思わず気分が高揚する新たなアイテムの開発も絶賛進行中とのことで、これからもブランドの動向から目が離せません!

今回ご紹介したデュオコートは受注予約商品で、公式サイトまたは下記のスケジュールで開催される受注会で販売されています。お届けは2025年10月を予定。限定数量に達し次第、締め切りとなる可能性もあるので、気になった方はお早めにチェックしてみてください。

受注会スケジュール

<2月>
・14日(金)〜16日(日) 伊勢丹新宿店(東京)
・22日(土)〜23日(日) 銀座もとじ(東京)
※22日はマドモアゼルユリアさんと樺澤貴子さんによるトークショーも予定

<3月>
・7日(金)〜9日(日) 名古屋高島屋(名古屋)
・16日(日) 九段ハウス(東京)

まなぶ

DJ・きものスタイリスト マドモアゼル・ユリアさん インタビュー

構成・文/苫とり子

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