味わいある彩り、シンプルなようでいて無限の深みと奥行きを醸し出す布地の魅力。見る者に懐かしさを感じさせるのは、そこに大自然の恵みの彩りが豊かにあらわれているからでしょうか…

東京・大井町の自宅兼工房にて創作活動を続けておられる藤山千春先生。その庭には染料の元となる草木がそこここに栽培され、糸染めから機織り、時には絣括りまでもが一貫して行われております。

織りのこと、草木染のこと、創作活動のこと、想い…ぜひともご本人からお聞きくださいませ…!

「藤山千春先生が常照寺にお参りし、吉野間道の本歌をお見せした時のことです。先生は、ご自身のルーツに辿り着いたかのように裂をじっと見つめ、まるで恋人に出会ったかのように感動されていました」―
(寂光山常照寺 奥田正叡)

”吉野間道”とは平織の上に浮き織りを、経緯縞柄(ちょうど真田紐風)に織り出したもの。浮き織り部分に平織の倍の本数の糸が入ることでそこだけが地厚に仕上がり、絹の光沢を集めることで草木染の色がより鮮明にあらわれます。

  • 染料全て
    植物染料色が遺憾なく発揮された美しい市松多色刷りは氏の代表作品の一つ。

  • コチニールの紫地に矢車附子、栗の黄色系の植物染料が生かされた色調と織柄は、
    品位と格調の高さを具現している代表的な作品の一つ。

    右上)栗、右中)矢車附子、右下)コチニール

  • ときの移ろいを表現してー
    夜明け前の静寂感と待ち通し感を秘めた情景をイメージした作品「よあけ」。

    九月の時雨、山に立ちこめる霧をイメージした作品「やまぎり」。

  • 藤山千春氏が使用する代表的な染料。例えば、桜は緑葉、樹皮、幹材、小枝、
    そして花を染色に利用する。

    さまざまな過程を経て染液がつくられる。

  • ことばを美しい色彩にー
    幽玄の中に深遠さをも彷彿とさせる「玄奥」と、
    間道織の極限を見る想いで雅な世界に浸る至福感をイメージした「風雅」。

  • 右上)楊梅、右中)矢車附子、右下)ロッグウッド
    夜明け前の明るさの到来をイメージし「薄墨霞」と名付けられた作品。

  • 当日は、織りのこと、草木染のこと、創作活動のこと、想い…ぜひともご本人から
    お聞きくださいませ…!


藤山千春 略歴

1944年 東京都品川区生まれ
1962年 女子美術大学附属高校 主席卒業
1966年 女子美術大学工芸科 主席卒業
1966~1968年
柳悦孝先生(後の女子美術大学学長)に師事
1968年 染織創作活動を開始
1976年 「錦霞染織工房」を設立
現在 品川区伝統工芸保存会員にして
創作活動に従事