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早く締めたい!紅型の名古屋帯 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.52

早く締めたい!紅型の名古屋帯 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.52

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まぶしい夏の陽ざしの下では、強く明るい色彩のものを身につけたくなる!ちなみにわたしが気に入っているのは、母がかつて沖縄旅行に出かけた際に、こっそりホテルを抜け出して、父に内緒で買ってきたという紅型の名古屋帯。

かごLOVE

最近日差しが強くなってきました。こうなると、軽快な印象のカゴバッグの出番です。洋服でもきものでも、どちらにも合うのがカゴバッグの嬉しいところですね。山葡萄だけでなく、ラタンやアタなど、世の中にはいろんな種類のバッグがあります。

早く締めたい!紅型の名古屋帯2

山形銀行が毎年年末になると配布するポスターカレンダーがあるのですが、その原画や銀行の所蔵品を集めた展覧会が、先日山形美術館にて行われました。

地元銀行のカレンダーですので、そのほとんどが風景画です。空の色は優しくおだやかで、山奥の杉の色や最上川の流れなど深い色が多く、全体的に暗めの印象の絵が多いかな。でもこれが東北・山形の持つ色なのだなと思いながら帰路につきました。そう、それぞれの地に、それぞれの色彩があると思うのです。

ところで、夏になったらいつも真っ先に締めたいと思うお気に入りの帯があります。

それは、紅型の染め名古屋帯。

きっぱりとした藍の中にある、明るい黄色と華やかな赤が気に入っていて、シンプルな無地感覚のきものにこの少し派手な帯を合わせるコーディネートが大好きなのです。

早く来月にならないかな。5月下旬ならもう気温も十分高くなっているし、多少のフライングは「季節の先取り」ってことにしちゃおうかな。もし誰かに「あなたそれ夏帯でしょ」と言われたら「あまりにも暑いので、先取りしちゃいました」って返せばいいや。

沖縄のきものや帯には、強く明るい太陽光の下で培われた色彩の豊かさがあります。まぶしい夏の陽ざしの下では、強く明るい色彩のものを身につけたくなる!

ちなみにわたしが気に入っているのは、母がかつて沖縄旅行に出かけた際に、こっそりホテルを抜け出して、父に内緒で買ってきたという紅型の名古屋帯。先日、いつかわたしも行ってみたいという話になったのですが、場所を聞いても思い出せない母と、

「でも、ホテルからの道は覚えてる!ホテルの正面玄関を出たら右に行くの」

「なんてホテル?」

「それはわからない」

……不毛な会話が続きました。

それじゃ雲をつかむような話だよ……とため息をついたところに、母が「そういえば、買い物がばれないように宅配便で送ってもらったから、電話番号は携帯に残ってるよ」というのです。GOOD JOB MOM!その番号を頼りにストリートビューを見てみたら、残念ながら紅型の帯を買ったお店はお土産屋さんになってしまっているようでした。

ですが、その何の変哲もないシャッターの上の黄色っぽい瓦屋根と空の青さのコントラストがあまりにも鮮やかで、スマホの解像度がいきなり変化したような錯覚に陥りました。そうか、これが沖縄なのか。スマホで見ても、その空気感が違います。

光が、強い、明るい、まぶしい!この空気の下で作られる紅型だもの、あの色彩になるよなぁ。なんだか納得でした。

底抜けに明るいイメージの沖縄の色彩感覚ですが、一方で沖縄には悲しく重い歴史も備わっています。反戦の心を示す意味合いも込めて、わたしはこの夏、紅型の帯をたくさん締めようと思っています。ウクライナカラーの紅型の帯を見つけたら即買いしてしまいそうだー!!

イラストに登場したお品はこちら!

京都きもの市場 琉球染織特集

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