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小さい秋見つけた!  「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.34

小さい秋見つけた! 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.34

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このたびの夏の終わり、わたしは花火を見ながら、「今年こそ、あの訪問着を着るチャンスがあるといいな」と考えていたのです。今年の「小さい秋見つけた」は、赤とんぼでも庭に咲く水引草でもなく、「線香花火の散り菊」でした。

9月に合わせる帯と小物のこと 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.10

9月に夏帯をしているわたしを見て「野暮だわぁ」と思っている人もいるということか?こりゃ大変。正解はどれなの!?というわけで、知り合いの呉服屋さんやメーカーさん、着付け教室の先生など30名の方々にアンケートのご協力をいただき、生の声を集めてみたのでした。

着物コーデに秋色を!

手花火セットでさんざん楽しく遊んだあとに残った線香花火が、どうやら子どもたちは苦手なようです。静かに線香花火の様子を見つめていると、楽しかった夏休みが終わってしまう……と悲しい気持ちになるんですって。
あー、それ、わたしも子どもだった頃に感じていたな。立派な計画だけを立ててさっぱり実行せずに夏休みの終盤を迎え、宿題が全然終わらないと焦るとか、一日一行日記があるのを忘れていたとか、夜更かしして読書感想文を仕上げるとか、そういうお約束は我が家のDNAの仕業なんでしょうかね。でも、去年は「宿題を一切しない!」と決めて、その日々の心情を自由研究にした男の子がSNSで注目されていましたから、きっと我が家だけのDNAではないはず……。

今年の手花火セットは真っ先に線香花火からスタートさせることにしたのですが、夫がそのわきで森山直太朗さんの「夏の終わり」や、井上陽水さんの「少年時代」をBGMとして流すものですから、スタート当初からもの悲しさが漂いました。
夫は「こうやって刷り込みを図ることで情緒は育つ」なんて言ってましたが、たしかに一理あるかもしれません。視覚と聴覚がセットになって情景として刷り込まれることはよくありますからね。

ところで、線香花火は、燃え方が4回変化するのだそうですよ。
火をつけてから火玉ができるまでを「牡丹」、火花がバチバチと大きく飛び出すところは「松葉」、火花が垂れ下がってきたら「柳」、最後にパチパチして消えるまでが「散り菊」。
火玉がぽたりと落ちてもなお、小さな菊の花びらを見せているところが健気でかわいらしいと思うのですが、手花火を大きく振り回して遊ぶ子らを見ていると、これは大人にならないとわからないかもな、なんて思ってしまいます。

「散り菊」の様子を見ながら脳裏をよぎったのは、タンスに眠っている、菊と柿の柄の訪問着。

このたびの夏の終わり、わたしは花火を見ながら、「今年こそ、あの訪問着を着るチャンスがあるといいな」と考えていたのです。今年の「小さい秋見つけた」は、赤とんぼでも庭に咲く水引草でもなく、「線香花火の散り菊」でした。

猛暑や酷暑と呼ばれていた季節は過ぎ、少しずつ秋の気配が漂ってきます。レースのカーテン越しにふわりと入ってくる風に秋を感じたり、道端にコスモスが咲いているのを見つけたり、葡萄がお店に並んでいたり……。春に春色を探したように、秋にも秋色を探して身にまとうのも、また楽しい時間になりそうです。どれ、わたしも単衣のきものを出しておこうかな。

わたしだけの春色を探そう 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.23

春色は人を優しくおだやかな気持ちにさせてくれるマジックカラー! マスクで顔を覆い、表情も見えにくい昨今ではありますが、少しでも明るく穏やかな気持ちで過ごすためにも、春らしい色を身に着けてみませんか?わたしにとっての春色ベスト3は何だろう、と探すのも、心の中が春色になってきて楽しい時間になりますよ。

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京都きもの市場 単衣特集

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