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秦流舎

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着物を通して、和の文化、歴史を伝えていくことをコンセプトに京都・西陣で西陣御召の機屋を営む秦流舎。受け継がれてきた職人技を守りつつ、現代にふさわしいモノづくりを目指します。

着物ファンに愛され続ける「御召」

秦流舎の西陣御召

西陣で古くから織り上げられていた「御召」。
日本で最高位の絹織物であり、古くより高貴な方々に愛されてきました。
その名の由来は、江戸幕府第十一代将軍・徳川家斉が好んだところから。
緯糸(ぬきいと)に強い撚り(より)をかけた「八丁撚り」という糸(八丁撚糸=はっちょうねんし)を用いることで、通常のちりめん地とはまた風合いのことなる”しぼ”があらわれます。

その地風は、さらりと肌につかず、しゅっと裾さばき良く、シワにならないー
糸の状態で先に精練を行うためしなやかながらもコシのある質感があり、日々着物を着用されるプロの方が好まれるのも納得の、着心地の良さがあります。

御召機の証、御召緯の証

「西陣御召」は、2007年に西陣織から独立した地域ブランドとして認定されました。
以降、素材のもつ可能性はもちろんのこと、ファッションとしての魅力や貴重な職人技の伝承という意味でも注目を集めるようになり、表面的な真似のみをする織物業者が頻発するように。

それらとの明確な違いを表明するために、秦流舎の作品には「御召機の証」、および御召緯の製造工程が西陣である御召のみに許される「西陣八丁撚糸 御召緯」の証がつけられております。

「御召機の証」発行基準

<目的>
 第1 西陣御召の「技を守り」「育成」「伝承」、その優秀性と信頼性を広く訴求し地域産業に資する。
<証紙貼付>
 第2
  (1)西陣織工業組合工芸部会員であり、西陣きもの会に所属するものだけが使用可能である。
  (2)デザイン、品質等に優れた西陣のきものであること。
  (3)国外で生産した製品には貼付してはならない。
  (4)「デザイン管理者」「原料管理」「製品管理」「販売管理」を行っていること

「西陣八丁撚糸 御召緯」

西陣御召のなかでも、京都府撚糸工業組合が御召緯と認めたものを使用している絹織物だけに、京都府撚糸工業組合が発行する証紙を貼付します。この証紙は、生産者の責任を明確にするとともに、西陣の伝統と技が創り上げた西陣御召製品であることを証明しています。

秦流舎の御召緯本撚り職人は、2012年「瑞宝単光章」を受章。
職人の手から手へいくつもの工程を経てつくられる希少な糸は、京都の気候風土と重なり合い、美しくも味わい深い素材となります。
伝統を守りつつも、枠にとらわれずに新たな可能性を追求する秦流舎のものづくりの姿勢を拝見いたしましょう。

秦流舎が創作する西陣御召とは

織地に染が施された訪問着

一般的に「先染めの織物」として知られる「御召」。
織り上げ後に染めを行うというイメージをお持ちの方は少ないことと思います。
ところが、秦流舎のラインナップには多くの「後染めの御召(織り上げ後に染めが施されたもの)」があります。

そのものづくりを実現できる理由は、秦流舎が、西陣で先練りの白生地を織ることができる数少ない機屋のためだとか。
どんな作品を生み出したいか、どんなイメージを実現したいか、そしてそれはどんな着心地であるべきか…など、完成品から細部を想定して生地を織り上げるため、生地と後加工が絶妙な調和をみせて美しい作品として仕上がります。

ブルーの濃淡が美しい訪問着は、確かに御召の着心地を持ちながらも、実にエレガントなムード。大きく重なり合う葉模様にドットの地模様が浮かび上がり、ゆらめくような染め色は、御召の地であるということが信じられないほど。
さりげない金駒刺繍が、クラス感ある仕上がりです。

地色に奥行きが
おしゃれな柄もつくられています

一方こちらは、おしゃれに着こなしたい優しい表情のひと品。
しなやかななかにもコシのある地風に、版画を思わせるかすれ調子の唐花段紋が、シルクロードの香りを感じさせつつやわらかに浮かび上がります。

気軽にお袖を通したいお気に入りの一枚に。

そしてこちらは、幽玄に着こなしたい天目染のおひとつ。
まさか御召の地に染め入れられているとは信じられないほどにしなやかに、それでいて御召ならではの着心地の良さは失うことなく共存しています。

大人の女性ならではの余裕を感じさせてくれるおひとつ。

天目の幽玄な表情も
未来の着物ファンへ届ける美しい作品たち

さらには、羽衣のように透ける御召地にも美しい染めがあらわされています。
ちりよけや薄物コートとしても、イメージは無限に広がります。

上品な大人のカジュアルにも

御召地に銀彩加工を施したシックな一枚

経糸と緯糸の交差が絶妙な色合いを生み出す格子御召地に、ほんのりと光をはらむ銀彩にて唐草のような模様があらわされました。

シックななかにもこだわりある仕上がりは、カジュアルながらも思わずハッとする、上品な大人の装いをイメージさせます。

”水鏡”に装いを映して

高温多湿の日本の衣食住。
日本には、夏を快適に暮らすための表現方法が多く存在します。
薄く、軽く、軽やかなハリに、やさしいシャリ感…
秦流舎の作品で昨今人気を博しているのがこの”水鏡”シリーズです。

”糸羽つり”という装置で繊細な模様を表現する「先染糸羽紗」や、銀通しを施したもの、極細の強撚糸を用いてかすかな隙間をあけて織りあげるものなど、先染糸の色と組織変化が奥行きある表情を生み出します。

夏着物としてはもちろんのこと、透けるコートへのお誂えに人気があるとか。
ちょうどこれからの季節にもぴったり。
本格的なコートを出すまでにはもう少しかかりそうですから、風情豊かな”水鏡”の薄物コートにて、秋にゆらめく和姿を演出されてみてはいかがでしょうか。

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