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9月に合わせる帯と小物のこと 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.10

9月に合わせる帯と小物のこと 「きくちいまが、今考えるきもののこと」vol.10

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9月に夏帯をしているわたしを見て「野暮だわぁ」と思っている人もいるということか?こりゃ大変。正解はどれなの!?というわけで、知り合いの呉服屋さんやメーカーさん、着付け教室の先生など30名の方々にアンケートのご協力をいただき、生の声を集めてみたのでした。

9月の着物コーディネートは?

以前、9月末の披露宴に招待され、単衣の付下げをコーディネートしようとして、帯のセレクトに迷ったことがありました。わたしの手持ちは絽の袋帯か、母が昔一目ぼれして買った月と萩の柄の袋帯です。しかしこの月と萩の袋帯が、長年疑問の種でした。だって9月は夏帯と教わったのに、月と萩の組み合わせではなんとなく9月か10月上旬のイメージ。たった10日程度のために作られた帯なのかしら?締められる期間が短すぎるのでは?と思っていたのです。

きもの検定のテキストや大手専門誌によると、「9月は単衣のきものに夏帯を合わせる」と書いてあります。ところが実際は「9月ならば本来は帯を冬物にしなければならない」という呉服屋さんあり、「季節先取りが大事なので、お彼岸以降は冬の帯にすべき」という呉服店さんもあり、「夏帯を合わせてこそ単衣!9月末まで夏帯」というメーカーさんもありで……。フォーマルがそうなら、カジュアルだってそれに準じているということになります。9月に夏帯をしているわたしを見て「野暮だわぁ」と思っている人もいるということか?こりゃ大変。正解はどれなの!?というわけで、知り合いの呉服屋さんやメーカーさん、着付け教室の先生など30名の方々にアンケートのご協力をいただき、生の声を集めてみたのでした。

そのときの結果は以下の通り。

アンケート結果

9月の単衣に合わせる帯について、夏帯を合わせるべきと答えた人は、9月上旬は93%でしたが、下旬になると37%に急減します。
小物も、上旬は97%の人が絽の半衿や帯揚げなど夏物を使っていますが、お彼岸以降になると使用率が逆転し、絽を使う人は17%まで減るという結果になりました。つまり、お彼岸の前後で夏と秋を分けているということになります。

ここで大事なのは、この数字だけを見て、9月はコーデがややこしい、と尻込みしないことです。たくさんの意見があるということは、正解もたくさんあるということ。9月は夏帯でしょ、と決めつけるのも、袷の帯ですよ、と決めつけるのも間違いということです。逆を言えば、好きなように組み合わせてOK!ということ。この上なく自由な9月ということですよ。とりあえずわたしも、箪笥に入っている月と萩の袋帯は9月になったら堂々と締めてよし、ということがわかってホッとしています。

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