染匠市川
創業70年の「染匠市川」が手がけるのは、すうっと抜けるようなうつくしい地色に、極上のエレガンスで描き出された伝統的な手描き京友禅。
一瞬でそんなあこがれを抱かせ、心を虜にする老舗「染匠市川」のきもの。卓越したセンスを感じる作品の数々は、すべて三代目 市川 昌史 社長の指揮のもとに仕上げられたものです。今回は社屋へ伺い、「染匠」の仕事、制作へのこだわりを取材させていただきました。
僕たちはそのすべての工程を、予算や納期から逆算して、イメージ通りに仕上げるのが仕事です。企画を職人のところへ持って行って、また出来上がったら次の行程の職人のところへ持って行く…プロデューサーのような感じですね。
京友禅の制作行程で、よく図案から染色まで一列で順に説明されているものがあるのですが、個人的にはサークル(円)のような形の方が正解だと思っています。
つまり、それぞれの工程に職人がいて、反物は職人から職人に受け渡されていくわけではなく、各工程の出来上がりを染匠が確認作業(チェック)しながら、次の工程の職人に指示を出して持っていく。
その真ん中で行程をコントロールするのが「染匠」なのかなと。うちの中にも専属の職人はいますが、ほとんどが個人で自宅でされているような感じです。
それぞれ完成イメージに沿った方に依頼して、企画段階からブレのない仕上がりに持って行くのが僕の仕事だと思っています。
大枠はそうですね。
ラフ画のようなものを雛形にざっくり描いて、職人に渡して、きれいな形に図案を起こしてもらっています。
口だけではやはり伝えづらいですから、「ここの下前まで流水を、ここに花びらを…」というふうに描きながら説明します。
会社にある古典の資料を参考にすることもありますね。
一番大事なのは、職人とのコミュニケーションだと思っています。図案もそうですが、例えば“薄い黄緑色”と言っても、その場にいる全員がまったく違う色を想像しちゃうんです。
このイメージを阿吽の呼吸で理解できる関係は、やはり毎日会って、毎日行って、出来上がったものを見て、あれこれ言わないと出来ません。
自分がいいな、と思う好みの組み合わせが多いですが…女性のファッション誌などを積極的に見て、今っぽいテイストをベースに持つようにしていますね。
ハイブランドショップに立ち寄って、バッグやスカーフを見るのもとても勉強になります。
こんな茶色にこの青を足すとおしゃれだ!とか。笑
変わらず伝統を伝えるために、変わり続けていかないといけない。僕たちがわくわくしながら、お客様がときめくものを作っていきたいです。
着用される方の気分を高め、彩りを添えるような1着となれば、大変うれしく思います。
これからも時代に挑戦していきます。
染匠市川
昭和48年 京都市中京区に染匠市川株式会社を設立
平成7年 現住所へ移転
【所属】 京都工芸染匠協同組合 会員(理事)
京都染色美術協会 会員
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